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【あらすじ】外国船打払令の報復として、文久3(1863)年6月に下関は攻撃を受け、長州藩の武士は大敗(下関事件)。高杉晋作は身分を問わない奇兵隊を組織し、上海視察で見た西洋式銃隊の訓練を開始。また、各地で朝市隊・角力隊・僧練隊・パトロン隊などの「諸隊」が結成されたが、これらを侮蔑する武士との対立から殺害事件が起き、高杉と奇兵隊は左遷。
元治元(1864)年8月、英・仏・蘭・米の四ヶ国艦隊が下関を攻撃(四国艦隊下関砲撃事件)、長州藩は奇兵隊を下関に戻して激戦となった。一歩も退かずに講和に成功した長州藩は賠償金や領土を取られなかった。しかし10月、第一次長州征討で幕府軍15万が押し寄せると藩は降伏の意を示し、奇兵隊にも解散命令を出す。
だが、高杉もいない奇兵隊の隊士(武廣 九一遜)達は、幕府とも藩とも戦う決意を固める。11月に高杉が戻るや萩へ進軍し藩軍を破り、元治2(1865)年2月には高杉らが藩の中心勢力となった。慶応元(1865)年4月に第ニ次長州征討で再び幕府軍が攻め入るが、諸隊は次々と幕府軍に勝利。
下関の小倉口で幕府軍と対峙した奇兵隊は、慶応2(1866)年6月17日に陸海共同作戦で田野浦上陸戦に勝利し小倉城を残すのみとなった。機動力の通用しない攻城戦に奇兵隊の損害も出るが、かがり火を多くし砦を築く心理作戦によって幕府軍は戦意喪失。8月1日に小倉を焼き払って撤退していった。
奇兵隊は明治元(1868)年の戊辰戦争で東北まで転戦し、新政府軍の勝利に貢献したが、手厚い恩賞はなく、近代軍創設の徴兵制に伴って強制除隊。これに抗議した隊士100人は斬首された。
参考記事:その時歴史が動いた:西郷隆盛と徴兵制
その時歴史が動いた:神戸事件
その時歴史が動いた:薩英戦争
【感想】○
正兵の武士とは全く異なる奇兵隊が、解散命令に反しながら戦いを続け、長州藩を変え、幕府軍にも勝利したその時。高杉晋作の視点ではなく、農民・町人などの庶民のパワーを前面に押し出して描いていた。
外国からの攻撃(下関事件と四国艦隊下関砲撃事件)、幕府からの攻撃(第一次と第ニ次長州征討)の中、それぞれ二回目の戦闘では長州藩の実権が違うとの背景を理解していないと苦しい。奇兵隊が長州藩の方針を180度転換させたのは分かったが、外国とは二回とも派手に戦い、幕府とは二回目が本格戦闘だったのか。どうもごっちゃに憶えていて…。
身分や家柄に縛られた武士では、隊長の命令一下で統率行動は取れず、西洋式軍隊に太刀打ちできない。だから素人である百姓や町人に一から訓練をさせた方が、ましな戦力になるとの高杉晋作の考え。また、庶民の方でも外国への憎しみがあり、次男三男などが自分の居場所として奇兵隊に志願したとの事。
この二つが合わさり奇兵隊の士気は高く、武士が逃げる中、四ヶ国艦隊の上陸部隊と互角に戦った。だが藩はこの奇兵隊の強さを理解せず、幕府軍が迫ると戦わずして高杉を追放し解散命令を出した。隊士の戦意の異常な高さに気付いていないため、高杉さえ除けば解散すると踏んだのだろうか。
だが隊士は高杉にも頼らず戦いの継続を決める。「庶民のものは草一本たりとも奪ってはならない」と隊中諭示を定め、庶民の協力で軍資金や食料を得る方針。番組中では農家が握り飯を率先して提供したとだけ紹介されたが、この後の奇兵隊の進撃ぶりを見ると、庶民や商人から無数の協力があったと思われる。それにしては奇兵隊の数が当初300人、小倉でも1000人とは少ない気もするが。
そんな戦力数のためか、高杉は徹底して一撃離脱戦法をとり、戦力を温存させる。でも小倉城攻めでは正面攻撃せざるを得ず、1割100人の損害を出す。近代兵器を備えていても城攻めに寡兵ではどうする事も出来なかった。高杉は一気に弱気になるが、ここでも隊士の士気は崩れず、再度の攻撃を志願している。
高杉が奇兵隊を率いて引っ張っていったとの今までの概念は、今回の番組によって、隊士一人一人の意識の強さに支えられていた面が相当あると分かったのは良かった。ただ、包囲している強みを生かして、戦力欺瞞による心理戦で最終的に勝利したのは高杉の知恵の為せる技か。
だが、奇兵隊が西洋式軍隊の先駆けであったのに、その士気や意識の強さが全国に西洋式軍隊を導入する徴兵制では邪魔になったのは皮肉だ。あくまでも上意下達の統率行動が求められる徴兵と、奇兵隊では性質が異なっていた。武士でも軍隊でもない奇兵隊は、時代の狭間に一時だけ生まれた文字どおりの奇兵だったのか。
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