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【あらすじ】「戦いの後で」1945年5月、ヒトラーの別荘のあるベルヒテスガーデンに入る第101空挺師団第506連隊。ナチのSSがゲリラ戦を仕掛けるかと思われたが、街には人影がない。第2大隊E中隊は山を登り別荘:イーグルズネストを占拠。間もなくドイツ降伏の知らせが入る。VEデー(戦勝記念日)をゲーリング邸の酒で祝う。
名誉除隊の85点に達していない兵はそのまま占領軍として残る。抽選で特別に除隊となったパワーズは帰国途中に交通事故で入院。101空挺師団は沖縄に転戦するとの噂が専らで、訓練を始めさせるウィンターズ少佐。転戦の決まった13空挺師団への転属願を出したウィンターズだったが残るよう言われる。
検問のヤムベックも交通事故で死に、酒に酔ったI中隊の工兵は殺人事件を起こし、止めに入ったグラント軍曹も頭を撃たれ死亡。E中隊に残ると決めた中隊長のスピアーズは犯人をMPに引き渡す。リプトン少尉は大隊本部付になりドイツの将軍の降伏に立ち会う。将軍は兵に最後の訓令をする。
「諸君らは特別な絆で結ばれている。戦場でのみ生まれる絆だ。兄弟達と共に戦い、死も苦しみも共に味わった。諸君と共に戦えた事を誇りに思う。これからは平和な人生を送って欲しい」
精神疾患で戦列を離れていたコンプトンが復帰し、野球をする隊員達。そこへ日本降伏の報が入る。戦後、コンプトンは検察官→判事になった。ウェブスターは記者、マーティンは鉄道員→建築、ラズは便利屋、ロウは建築屋、ペルコンテは郵便配達、リーブゴットはタクシー運転手、ランドルマンは土地開発、モアは事故死、リプトンはガラス工場長、ウェルシュは教育委員、スピアーズは朝鮮戦争にも参加し刑務所長になり中佐、ニクソンは二度の離婚を経て再婚し世界旅行、そしてウィンターズはニクソンの会社の人事課長だったが軍に呼ばれ訓練担当官に。今は小さな農場を経営している。
【感想】○
ナチ親衛隊のゲリラ戦もほとんどなく、あっさりとヒトラーの別荘を落としたE中隊。ここが戦争のゴールとなる。しかし古参兵でも点数が足りず帰国できない者が多数。沖縄転戦の噂も流れる中、やる事の無くなった兵達に事故死や不幸な死が相次ぐ。幾多の戦闘でも死ななかった兵があっけなく死んでいく。結局、オーストリアにいる間に第二次世界大戦は終結。各員は社会復帰していく。
ベルリン占領がロシア軍の担当となり、最終目標を失った米英仏軍の中、ヒトラーの別荘占拠を果たしたE中隊は幸運な方だったと言える。カラヒー山の走破訓練に始まり山荘の奪取で終わったE中隊。別荘で絶景を眺めながらワインを飲んではしゃぐくらいのご褒美は、今までの戦いを思えばあっても当然。
そんな幸福な時間はあっという間に終わり、帰国したくても出来ない現実が待っていた。活躍の点数が足りないというつまらない理由。鬱屈の溜まる兵達は気の緩みもあって、これまたつまらない事故で次々に死んでいく。死は戦争と平和に関係なく、古参兵にも補充兵にも関係なく訪れる。
沖縄転戦の噂は、隊員達の気を引き締め、士気を維持するための上層部の策とも思えた。ウィンターズの転属願が受理されなかったのも、経歴がどうこうより、そもそも転属の必要がないからという事だったのでは。
行き場のない兵に何とか口実を付けて隊を去らせるウィンターズの優しさ。そんな最中にドイツ将軍の言葉が感動的。戦場で戦った兵には特別な絆があると。ドイツ軍も連合軍も、兵士達の意識に対立などなかったのだ。これをドイツ側に言わせて嫌味を無くすニクイ演出。
勝った側も負けた側も、兵は戦争が終わって社会復帰をしなければならない。部下を去らせて自分は軍隊に残るか迷うウィンターズだったが、戦場で結ばれた絆は永遠だ、生き残った者にも散った者にも…と気付いて軍隊を去ったのだろう。
【総評】○
スティーブン・スピルバーグとトム・ハンクス制作で制作費も映画スケールだったバンド・オブ・ブラザース。CGを極力使わず徹底的にリアルな描写にこだわり、史実を再現しようとしていた。ただ、そこに固執したせいか、軍隊という組織の中で同じ動きの要求される兵隊という面がどうしても出てしまい、個々の兵達の人物描写が弱かった。
よってキャラを覚えるのも難しく、感情移入もしにくかった。全体的に戦闘描写が淡々と進む演出からテーマや主張を見出すのも一苦労で、ドキュメンタリードラマにそれが必要なのかという根源的な疑問を感じる時もあった。でもそれでは記事に出来ないのでこちらで勝手に見出してみたのが実状。以下、各話を振り返ってみる。
#1はスパルタのソベルによって鍛えられる隊員とそれへの反感を描いた回。訓練に必要な要素が実戦向きとは言えないという教訓。ソベルは去り隊員達の絆は既にここで生まれた。
#2はノルマンディ降下で散り散りになった兵がウィンターズの下に集まっていく様子が描かれる。兵達の身体的な距離だけでなく、急に指揮官となったウィンターズに信頼が集まっていく。
#3はカランタン攻略と戦闘拒否のブライスを描いた回。ドイツ軍の反撃で極限まで追い詰められた状況で、戦う意識と戦う理由が目覚める。それは政治的でも銃後にある発想でもなく、大義名分など関係無い目覚めだった。
#4はマーケットガーデン作戦の流れを、E中隊とブルの動きで説明しようとしていたようにも思えた意欲作。その試みは失敗気味だったが、この手法自体は興味深かった。
#5はトム・ハンクス監督回。戦いの合間という中途半端な時期を、戦争と平和にある人間の違いという全体にも繋がるテーマで描いた。主人公ウィンターズの心にも迫っていて、ハンクスがこの回を担当したのも分かる(自ら望んだのかは知らないが)。
#6はスピルバーグがこだわる「衛生兵」に焦点を当てた回。最大の激戦を、命を救う衛生兵視点で描いて戦闘モノではなく人間ドラマにしていた。
#7は指揮官と隊員の亀裂を描く。両者に信頼関係がない事が最大の敵だった。強い絆で結ばれた兵達には、その中から自然に生まれた信頼できる人物こそ指揮官だった。
#8ではさらに、元E中隊指揮官ウィンターズの温情の決断が光った回。中間管理職のような地位になったウィンターズが、上のためでなく部下のために軍規に反する行動に出る。それが事の本質のため最善の手段だったから間違いなく正しいと思えた。
#9は強制収容所の解放。この記事ではその非道さにもっと触れる必要があったかもしれないが、それは当然、人が持つべきものとの前提に立って、あえてニクソンの苦悩に目を向けてみた。
そして最終回の#10。国家と国家、国民感情の対立という戦争にあって、そんな単純なものではない戦場の兵の思いは、敵味方に関係無く存在する。戦争を実際に行う場所:戦場には何があるのか。絆や生と死は戦場以外にも存在するのに、戦場には特別な絆が存在するという。その絆が生と死に関係無く永遠だという。これを知ってなお、「戦場ドラマは格好いい」とか「戦争はいけない」との感想を持てるだろうか。
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【あらすじ】「なぜ戦うのか」1945年3月、ドイツ・シュテッツェルベルク。農家の卵と鶏を取るペルコンテとラズ、情事を楽しむ兵、高級食器を持ち出すスピアーズ大尉、ニクソン大尉は酒に溺れ連隊付から大隊付に降格。ウイスキー:バット69を探して店に押し入るニクソン。妻から離婚申し立ての手紙。ペルコンテは歩哨任務でいつ戦闘が始まるかと聞く補充兵オキーフと口論。
「戦争の中では今が一番快適。いつ戦闘がとか考えるな!」
ヒトラーのゲリラ戦に備えてアルプスのババリア地方に進軍する101空挺師団E中隊。新聞記事を読むウェブスター。ドイツ民族は悪だから戦うと書いてある。降伏した30万のドイツ軍と擦れ違う。ランズベルグに到着。降伏したドイツ兵を射殺する米兵。ペルコンテ達は民家を接収。
「こいつらナチじゃないってよ!何で会う奴みんなナチじゃないんだろうな?」
ルーズベルト大統領死去の報が伝わる。ニクソンは上級将校の家に押し入り酒を探すが、その妻に睨まれて出て行く。森を偵察した中隊は収容所を発見。ウィンターズ少佐とニクソンはリーブゴットを通訳に中に入る。衰弱し切ったユダヤ人やポーランド人。警備のドイツ兵は殺せるだけ殺して逃走。小屋の中には病気が蔓延し横たわるユダヤ人、列車に積まれた無数の死体、あちこちに死体の山。食料と水を与えたが、連隊軍医長ケントが急に与えるとショック死すると止める。移送先が決まるまで強制収容所から出す事もできない。
テーラー将軍は戒厳令を敷き地元民を死体処理に動員。何も知らなかった住民達。ニクソンは作業している将校の妻を目撃。一ヶ月後、ヒトラーはベルリンで自殺。だが戦争は終わらず、E中隊はヒトラーの別荘のあるベルヒテスガーデンへ出発。
【感想】◇
ドイツの敗北と連合軍の勝利は決定的になり、ドイツ兵は逃げ、続々と降伏してくる状況。低下していたE中隊の士気も回復して来るが、目立った戦闘も無く緊張感が薄れ、軍の規律は緩む。各自がやりたい事をやっても止める者も無く、何をやっても許される。そんな天国を味わう兵達の眼前に突如として現れる強制収容所。戦場とは違う別の地獄を見た兵達。
「なぜ戦うのか」が問われる。ドイツ兵を倒す任務が薄れた状況の中、一人ひとりの兵の行動によって答えの例が示される。食料強奪、情事、略奪、酒、処刑、悪の打倒。悪を倒す善の軍隊が行う所業。どれも正解とは言えない。長い戦闘で心に傷を負った兵は他人の悪行を笑って見るだけで止めようとしない。
勝利の結果としての、咎めを受けない快楽を享受する兵達だが、一方で誰も彼も、戦争は終わってほしいと思っている。いつベルリンに降下するかを気にしている。オキーフに言い放つペルコンテが象徴的。終わらせたいが自分が戦闘をするのは考えるのも嫌だと言う。
ニクソンは妻から離婚され、息子も犬までも失う。家族のために戦う必要も無くなったニクソンは一層、酒に溺れていく。将校の家でその妻に睨まれ、犬にも吠えられ無言で出て行くニクソンが、自分の家の状態と重なり合う。大統領死去も知り、最高司令官のためという大義も無くなる。
天国にあって全く満たされない兵達。そして発見した強制収容所。ただ殺されるために集められたユダヤ人や少数民族。最初はそこが何なのか解らない。自分達の常識を超えた光景だけが目に飛び込んでくる。すぐに解放したいがそれも出来ない。集めておいた方が効率的に治療できるから。効率的に殺すために集められた収容所に戻すしかない。
そして地元民も収容所の存在を知らなかった。怒りの持って行き場所もない。ニクソンの押し入った将校の家は、恐らくこの収容所の所長の住まいだったのだろう。所長の命令で無数のユダヤ人は殺された。だがその妻もまた、夫が何をしていたか知らなかった。毅然とした態度でニクソンを追い払った所長の妻が、死体処理を行う惨めな姿。それを見たニクソンは何も言えない。
空挺に志願し、一発の銃弾も撃たずに大尉にまで昇進したニクソン。自分が負傷したり、敵を殺傷した兵達の痛みも分からず、家族も放っておいて仕事をしていたから、戦死した兵の家族に手紙も書けない。ニクソンは妻の離婚申し立てに最初は怒ったが、惨めな将校の妻を見て悟った。知らなかった・知ろうとしなかった事の罪を。戦いによってそれを知ったのだ。
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【あらすじ】「捕虜を捉えろ」1945年2月9日、仏ハーゲナウでライン川を挟んでドイツ軍と対峙する101空挺師団E中隊。マーケットガーデン作戦で負傷していたウェブスターが復帰するが、バストーニュを共に経験しなかったため補充兵扱い。隊員は減り、新顔も多く、皆一様に暗い顔。幹部候補生上がりのジョーンズ少尉と共に第2小隊へ配属される。
シンク大佐の命により、ドイツ兵を捕らえて情報を聞き出すため、斥候15人の選出を大隊長ウィンターズ大尉から任されるスピアーズ中尉。第2小隊の全員が選ばれる。マラーキーは精神状態が悪くジョーンズと交代、ウェブスターは通訳で参加。ゴムボートで対岸に渡り、指揮所建物を襲撃、2名を捕虜にする。だが突入時の手榴弾でジャクソンが重傷、直ちに引き返し猛烈な銃撃をくぐり帰還。ジャクソンは皆が見守る中、死亡する。
ベストやポパイは捕虜を殺そうとし止められ、翌朝、コップは酔って悪態をつく。シンク大佐は任務成功と見てあちこちに自慢し、もう一度斥候をE中隊に要求。ウィンターズが直々に作戦説明。しかし、作戦を決行した事にして皆に眠るよう命じる。
ニクソン「新しい戦争のやり方だな」
翌日、前線を離れる事になった101空挺師団。肺炎だったリプトンは正式に少尉に、ジョーンズは中尉に、そしてウィンターズは少佐に昇進。
【感想】○
過酷な戦場での連戦により、仲間を次々に失い、断続的な砲撃で士気の低下しているE中隊。そんな事情を知らずに戻ってきたウェブスターと新任のジョーンズ。小規模な戦闘での更なる仲間の死が隊員に与えた影響と、その心を知らない上層部の間にあって、ウィンターズが下した決断とは、作戦の偽装だった。
失敗に終わったマーケットガーデン(#4)、膠着した戦線でも続く戦闘(#5)、装備もなく放り込まれたバストーニュ(#6)、その掃討戦での指揮官への不信(#7)、そしてまた前線に立つ今回といったように、E中隊は何度も休暇予定を取り消された上、一番厳しい戦場に配属される。勝利の実感もなく転戦し、兵達の士気は低下する一方。
だがドイツの降伏は目前とされ、誰もが死を避けたいと思うようになり、斥候に誰が選ばれるか、自分が選ばれない事を皆密かに願っている。本来は士気を上げるための成功確率の高い任務であるが、それすら拒否感を持つようになっている隊員達。士気の高い(というか普通)のウェブスターとジョーンズが志願するのと対照的。
戦闘で新たにジャクソンが死に、斥候達の精神状態は異常なものになる。捕虜を殺そうとする者と止めに入る者とのケンカ、酒に浸って上への文句を公然と口にする者。しかもこの斥候作戦が、シンク大佐の自慢のネタにするためのものだと判明した時、ウィンターズも上に反抗する。
そつがなく面白味がないが従順で忠実だったウィンターズが、意外にも作戦の偽装を命じる。呆気にとられた後、喜ぶ斥候達。士気の回復が目的なら、戦闘をしないという選択が正しかった。同時に起きた時限爆弾を仕掛けた敵指揮所の爆発は、兵達の怒りと喜びの感情の爆発にも思える。
兵達の気持ちを知らずに、無意味な作戦を命じる上層部へのささやかな反抗が示された後、米本土では生活が向上し、戦場の事など忘れかけられていたと入るナレーション。国民も上層部と同じ。そして戦線膠着の間の小競り合いやそこでの兵の死は、戦史家からも注目されていない。でもそこで生き、死んだ兵士がいた。
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【あらすじ】「雪原の死闘」1945年1月2日、ベルギー・アルデンヌの森。ヒトラーの反撃は頓挫し、バルジ(突出部)からドイツ軍を押し戻す作戦に就くE中隊。フォイ奪還のため、高地ボアジャックを占拠したものの、中隊長ダイク中尉はいつも不在で、隊員は戦況がよく分からない。フーブラーが敵伝令を殺しルガーを奪うが、そのルガーが暴発して死亡。報告にはリプトン軍曹が赴き、大隊長ウィンターズ大尉は何故ダイクが来ないのかと不服。
フォイには第10装甲歩兵師団の一個中隊がおり、88mm砲とタイガーI型戦車3両を確認。陣地構築中にドイツ軍の砲撃を受けるE中隊。トイが片足を吹き飛ばされ、救助に向かったガルニアも足をやられる。それを見たコンプトンは精神崩壊。ダイクはリプトンに処置を任せると告げて前線から去る。続く砲撃でマック、ペンカルらも死亡。
「恐怖は伝染し人格を破壊する。集中力を失い士気が低下する。戦闘では一番危険だ」
リプトンは各隊員を見回り励まし続ける。
フォイ攻撃前夜、リプトンはウィンターズにダイク指揮下では何人も死ぬと意見するが、確固たる解任理由もないため、そのまま攻撃当日に。E中隊は機関銃援護の下、フォイまで200mの雪原を突っ切るため、迅速な前進が不可欠とダイクにアドバイスするウィンターズ。だがダイクは途中でパニックになり停止命令を出す。ドイツ兵の銃眼の餌食になるE中隊。各員散り散りで遮蔽物に隠れ、戦闘指揮はますます困難な状況に。
自ら前線に出ようとしたウィンターズだったが、シンク大佐に引き戻され、予備のD中隊長スピアーズ中尉をダイクと交代させる。スピアーズは砲撃をものともせず一直線に進み、合流して突撃再開。フォイに突入しドイツ軍の反撃も始まる中、東のI中隊との連携が必要と判断するや、ドイツ兵の真っ只中を一人で突っ切りI中隊と打ち合わせ。さらにドイツ兵の中を突っ切り戻って来る。呆気に取られてドイツ兵はスピアーズを撃てなかった。
フォイを占領、ダイクはクビ。尼僧院で聖歌を聞くE中隊。去ろうとするスピアーズにこのまま指揮官で居て欲しいと頼むリプトン。部下達を支え、常に士気を上げ、的確な指示を出したのはリプトンだと言うスピアーズ。リプトンは少尉に昇進。
【感想】◇
百戦錬磨のE中隊兵士の無能な指揮官への不信感が大きくなり、両者の亀裂は戦闘において続出する死者という形で決定的となる。伝説的な英雄行為をするスピアーズに交代し危機を救ったが、真の指揮官は、隊員の事を第一に考えていたリプトンだったという話。そのリプトンの視点で描かれた今回。
至る所に挟まれるリプトンの独白が少々うるさい。バンドオブブラザースは、あまり説明的なものはなく、ただ戦場を見せるのが基本だと思っていただけに、今回はやたら説明するリプトンのナレーションが雰囲気を台無しにしていた。最後のオチと教訓も会話で全部説明されちゃってるし。毎回監督が違うからこの辺の統一感がないのは仕方ないが。
無能な指揮官という点ではダイク中尉は#1のソベル大尉と同じ。ソベルは戦闘前に配置替えとなったが、もしソベルが戦場指揮していたら…をダイクでやってみたと考えればいいのか。ソベルは訓練教官としては優秀で、ダイクはエール大学出身のエリートという違いはあるが、どちらも戦場指揮には不適格だったというわけ。
指揮官更迭には単なる兵士の不満では理由にならず、何かしらの失敗が必要という所がポイント。ダイクはE中隊を昇進のための腰掛けと考えており、出来るだけ関与しない不作為を選択していた。だから平時には表立ったミスも起こらない。問題が表面化したのが戦闘の最中でようやく更迭。そのために隊員が何人も死んだという所がやるせない。
ダイクと対照的に描かれるのがスピアーズ。部下射殺とか捕虜20人を虐殺したなどの噂が囁かれる伝説の人物。タバコを勧められた後に射殺と話している兵達の所へスピアーズがやって来てタバコを勧め、恐怖の面持ちで首を振る兵士のシーンは笑える。無能なダイクと切れ者のスピアーズは正反対だが、兵達の信頼を得る点ではどちらも失敗している。
ダイクは馬鹿にされ、スピアーズは恐れられている。リプトンは「タフなE中隊から尊敬される指揮官はいない」となだめる。タフだと思われていたコンプトンは精神疾患で離脱。そしてE中隊員よりもっとタフなスピアーズは人間とは思えない恐怖の人物。戦場での勇猛果敢な行動はパニックに陥るダイクより遥かに頼りにはなる。ドイツ兵の中を突っ切る単独行動は英雄的行為として語り継がれるが、実はスピアーズが部下を信頼していない事の証拠でもある。
スピアーズ本人は伝説や噂が大きくなる事を黙認している。その方が指揮しやすいし威厳が出るという事なのだろう。損耗率の高い部隊で手っ取り早く部下を掌握する方法としては、指揮官の伝説や噂が大きい恐怖支配が良いのかもしれない。だが、皆が自分と同じには出来ないため、スピアーズは信頼・絆を大事にするリプトンこそが指揮官だと告げるのだった。
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【あらすじ】衛生兵:ユージーンは皆から救急キットやモルヒネを集め回る。1944年12月、バストーニュを守る第101空挺師団には救護所も無く、防寒具・食料・弾薬も不足。防御線は隙間だらけで人員も不足していた。予備隊の第3大隊に貰いに行くがここでも医療品は不足していた。夜になってもユージーンはモルヒネを各タコツボから集め回っていた。
バストーニュの教会に負傷兵を運んだユージーン。ここの救護所にはもっと酷い負傷兵が集まっていた。看護婦:ルネから少しだけ医療品を分けてもらう。ルネはユージーンにチョコレートを投げる。E中隊から戦闘斥候を出す事になり、ドイツ軍と接触するまで前進。攻撃を受け前線を確認し退却するが、負傷したジュリアンは置き去りに。衛生兵:ヘグロンはそれを悔やむ。
塹壕でユージーンは祖母が治癒師だったと話す。患部に手をかざし祈って治したという。ルネが手をかざしているのを目撃したユージーン。だが二人は重傷兵の止血に失敗し死なせてしまう。ルネは素人同然の看護婦で、もう患者を看るのは嫌だと話す。それでも運ばれてくる負傷兵達。
マッコーリフ准将はドイツ軍による降伏勧告に「アホ(Nuts!)」と答える。ドイツ軍の本格的な攻撃が始まる。教会も爆撃を受け、瓦礫の中からユージーンはルネの看護帽を拾う。手を怪我したヘグロンにその看護帽を包帯代わりに巻き付けるユージーン。12月26日、パットン将軍の米第3軍によってバストーニュの包囲は解かれた。
【感想】○
バルジの戦いで最大の激戦地となったバストーニュの攻防を衛生兵の視点で描く。包囲されたアメリカ軍に血漿もモルヒネも包帯も不足する中、次々と出る負傷兵。強まるドイツ軍の攻撃…との概要からすると、銃弾の飛び交う戦場を衛生兵:ユージーンが駆け回って治療にあたる展開を想像しがちだが、看護婦:ルネとの交流を主軸に据えたため、激しい戦闘(戦場シーンとユージーンの闘い)の印象は極めて薄くなっている。
ユージーンが走り回っていたのは主に攻撃前でモルヒネ回収のため。前線で死なれると皆が困るからと斥候にも同行を許されない。負傷兵が出てもすぐにジープに乗せてしまう。これはジープに乗った先のルネとのシーンを作るため。そのためにユージーンの医療行為は極力省かれ、戦闘シーンはブツ切りになってしまっている。
キーワードは「手」か。手に宿る不思議な力で治していた祖母。薬も未発達な時代の祖母と、薬がない中で治療に当たるルネ。ユージーンの中でルネと祖母が重ね合わせになる。だがルネは素人同然の看護婦だった。役に立ちたい一心で看護婦になったばかりの町娘。そして負傷兵が次々と死んでいく様に耐えられなくなっていた。
何で衛生兵になったか分からない、気付いたらいつの間に…と語るヘグロン。祖母の影響で衛生兵になったユージーンと対照的な人物がもう一人出てくる。ユージーンもルネもヘグロンも特別な才能がある訳ではない。でも衛生兵・看護婦として負傷兵のために働く。
マッコーリフ准将の名言「ナッツ!」は味方の士気を上げたかもしれないが、包囲に留めようとしていたドイツ軍を逆上させ猛攻撃を招いた迷言でもある。その攻撃でルネは死んでしまう。ルネの看護キャップを引き裂き、ルネとの思い出を終わらせたユージーンは、ヘグロンの手当てにその看護キャップを使ったのだった。
ルネの看護キャップという「物」が役立ったのではなく、ルネの誰かの役に立ちたいという「思い」をユージーンが受け継いだと解釈すべき。その思いは手当てしたヘグロンや他の兵士にも伝わっただろうか。
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【あらすじ】「岐路」1944年10月5日の戦闘詳報を書くウィンターズ大尉。ドイツ軍と接触したE中隊。どこかにMG-42機関銃を撃っているドイツ兵達を迫撃砲と銃撃で倒す。ドイツ軍も反撃し翌朝に。敵の数が多く、側面に回られたら危険と判断したウィンターズは、中隊を3つに分けて突撃。真っ先に敵陣に乗り込んだウィンターズは、丸腰の若いドイツ兵を一瞬の躊躇の末、射殺。中隊は陣地を銃撃し続け、SS(親衛隊)2個中隊を敗走させる。
第101空挺師団 第506連隊 第2大隊副大隊長に昇進したウィンターズ。新任のE中隊長:ハイリガーと、ニクソン大尉がマーケットガーデン作戦で取り残された英国兵140人を救出するペガサス作戦を成功させる。ウィンターズはデスクワーク。だが10月31日、ハイリガーは警備兵に撃たれて前線離脱。12月、フランスのムーメロン・ル・グランで兵力65%に回復したE中隊。補充兵ばかりで、中隊長も補充兵のダイク中尉。
ウィンターズに48時間の外出許可。ニクソンの勧めでパリを見学。地下鉄で戦闘情景がフラッシュバック。あの若いドイツ兵が忘れられないウィンターズ。終点で声を掛けてきた少年がその兵士の顔と重なる。
ドイツ第5機甲軍・第6SS機甲軍がアルデンヌの森を突破。第101空挺師団は防寒具も弾薬も不足のまま交通の要衝バストーニュに向かう。東はE中隊もいる第2大隊、第1大隊は左翼、第3大隊は予備として死守せよと厳命される。前線から戦意喪失し退却してくる味方兵。その兵達から武器弾薬を貰うE中隊。弾薬を満載したジープを操るジョージ・ライスが、このままだと包囲されると伝える。
ウィンターズ「落下傘兵だからね。包囲されるのは慣れてる」
【感想】◇
トム・ハンクス監督回。失敗に終わったマーケットガーデン作戦から、兵力補充してライン渡河してドイツ本土進行を覗っていた連合軍は、突如として独機甲軍の反撃を受ける。フランス侵攻の再現を夢見たヒトラーによる、米英軍分断を狙ったラインの守り作戦の幕開けだった。E中隊は皮肉にもバルジの戦いで最大の激戦地となるバストーニュに送られる事になる。世界の名(迷?)言「ナッツ!」は次回に持ち越し。
大規模な作戦と作戦の合間を繋ぐ回であり、小規模戦闘と小休止の期間に、戦闘と平和の狭間で揺らぐウィンターズの姿が描かれる。フランス解放が一段落し、マーケットガーデンから膠着した戦線にあっても、戦闘は行われていた事がドラマ前半に示される。常に先頭に立って指揮していたウィンターズは、若いドイツ兵を撃ち殺した事を気に病みながら昇進し、デスクワークに就く。
戦い続けていたウィンターズは、躊躇したものの丸腰の少年兵を撃ってしまった。連戦が人としての感情を失わせてしまったのだろうか。だが、ウィンターズが撃たなくてもあの少年兵は誰かに撃たれる事は確実だった。敗走したドイツ兵に執拗に撃ち続けるリーブゴットがそれを示す。だからといってウィンターズの気休めにはならない。
また、はっきりと描写されていないが、最初にMG-42を撃っていたドイツ兵達は、どうも捕虜かレジスタンスを処刑していた可能性が高い。リーブゴットの弾薬を回収して捕虜を連行させていた(処刑の応酬を断ち切るため)から。丸腰の人間を撃つ点で敵も見方も同類だとの主張が込められているのかも。
休暇で行ったパリ。雑談に興じる人々。カップルだらけの夜の街。ゆっくりと風呂に入れる平和。ウィンターズはあの丸腰のドイツ兵と電車内の少年の区別がつかなくなる。戦場を離れれば自分は大尉でも指揮官でもなくただの人。だったらあの少年兵も、あの場にいなければ、いま目の前に居る少年とどこが違うのか。
戦場が人を狂気に変え、人間性を失わせるのか。それとも自分の中の凶暴性が少年兵殺害へと至らせたのか。その答えは出ぬまま、ウィンターズやE中隊は再度戦場に送り込まれる。そこが、あの少年兵の事など考える余裕も無くなる激戦地:バストーニュだとは知らずに。
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バンド・オブ・ブラザース Vol.1(1、2話)
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バンド・オブ・ブラザース―男たちの深い絆(単行本)
廃墟の鳩(イメージソング)
プライベート・ライアン(スティーブン・スピルバーグとトム・ハンクスの映画)
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【あらすじ】1944年9月13日、英国アルトボーン。第101空挺師団 第506連隊 E中隊にも補充兵が入って来る。だが連隊への勲章を戦闘に参加していないからと外される新入り達。モントゴメリー将軍のマーケットガーデン作戦説明。アイントホーフェンからアルンフェムまでの橋を空挺が確保、戦車隊が突き進みライン河を越える。上手く行けばクリスマスまでに戦争は終わる。
9月17日、無抵抗で降下成功しアイントホーフェン解放。歓迎する無数の市民で前進不能。市民はドイツ兵と親しかった女を丸刈りにしていく。男は銃殺。ゴッホ生誕の地:ニュウネンでブリューワ少尉が狙撃されドイツ軍Sdkfz251装甲兵員輸送車が出現。クロムウェル巡航戦車で破壊。E中隊は前進展開し狙撃兵を追うが、ティーガー戦車を発見。しかしシャーマン戦車はそのまま前進し次々に撃破される。ヤークトパンター・III号突撃砲G型(初期型)も現れ、連合軍は撤退開始。
補充兵ミラーは砲撃で戦死、パージはショックを受ける。ウィンターズ大尉の隣に居たニクソン大尉も頭を撃たれるがヘルメットで助かる。E中隊は4人戦死、11人負傷。ブルは行方不明のまま夜に。民家に潜みドイツ軍をやり過ごそうとするブル。民家の主と娘に傷の手当てをしてもらう。だがドイツ兵に見つかりそうになり、ブルは銃剣で格闘の末、ドイツ兵を殺す。
アイントホーフェンを連合軍が空爆。ウィンターズはつぶやく
「明日戻っても歓迎されないだろうな」
Sdkfz251/22やマルダーIII自走砲も加わったドイツ軍はニュウネンから転進、翌朝ブルは斥候ジープに乗って帰還。中隊のガルニアや補充兵レズがブルを捜しに敵陣に乗り込むつもりだったと聞いて
「こんな良い隊、他に無いよ」
と感謝するブル。506連隊は180人を失い、第101空挺師団は750人戦死。アルンフェムで戦った英第1師団は8000人の犠牲を出し、マーケットガーデン作戦は失敗に終わる。
【感想】△
慎重なモントゴメリー将軍の危険な賭けと言われたマーケットガーデン作戦の回。敗走を続けるドイツ軍に反撃能力なしと見て、少数の空挺と戦車で突破口を開こうとした作戦だったが、戦力を立て直しつつあったドイツ軍機甲師団は迅速な反撃を開始し、空挺は消耗、正面からぶつかった連合軍戦車は重武装のドイツ戦車に太刀打ちできなかった。
物語の主人公である第101空挺師団は進撃路の根元であるアイントホーフェンからフェーヘルを担当。手痛い反撃を受け橋も落とされ、連合軍機甲師団の進撃遅延という最初のつまづきとなった。…というのが舞台背景にあるが、あくまでも現場の兵士の視点にあるため劇中では全く説明されない。
それでも、戦場の攻防から全体を示唆する描写が進撃・解放・戦闘・撤退という流れでなされている。もし、一戦場から全体を説明という製作意図があるのなら、これは秀逸な手法だと思う。ニュウネンに取り残されたブルは、アルンフェムで孤立した英第1師団を暗喩しているのかもしれない。
しかし、戦場の展開はあまりにも大雑把で、息詰まる攻防には程遠い内容。フワフワと進んでいたら戦闘になってワーっと前進したのに反撃されるやワーっと退却。でもニュウネンに入ったドイツ軍は何故か去って行き、取り残されたブルは帰って来る…というように。
息詰まる攻防といえば、ブルと彼に気付いたドイツ兵の死闘がそれに当たるのかもしれない。だが、体格のがっしりしたブルとひ弱そうなドイツ兵で、しかもブルは後ろから襲い掛かる奇襲では、最初から勝敗は見えていて面白くない。
「補充兵」というタイトルなのに、古参兵のブル視点で描かれている。補充兵でも生死が分かれたり、補充兵の世話を良くしたブルと、ブルを助けようと突入を志願した補充兵などから絆も描かれてはいるが、ブルも補充兵も今回が初登場みたいなもので、キャラの掘り下げがないためどうも浅い気がする。
むしろ今回は、解放され歓迎したアイントホーフェンが、再度ドイツ軍に侵入され空爆される様子が胸に迫る。それを縮小版にしたかのようなブルと民家の住民とドイツ兵の関係。大国の戦争に巻き込まれ、土地を蹂躪された小国オランダの住民のやるせなさ。
占領者を常に歓迎するしかない選択肢。占領者と親しく協力関係にあった者は、占領者が変わると天国から地獄に突き落とされる。ナチスドイツの鍵十字を書かれ服を剥がれ丸刈りにされる女達。でも食料を市民から分け与えられず、路肩に立ち尽くす丸刈り母子に食料を投げる米軍によって、米軍肯定がちゃっかりされている。
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遠すぎた橋(マーケットガーデン作戦といえばこの映画)
遠すぎた橋(サウンドトラック)
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【あらすじ】カランタン攻略。1944年6月8日、E中隊にブライスが合流。第506連隊は内陸進撃の障害となっているカランタンを占領せよ、とのテーラー将軍からの命令を受ける。第1小隊が真ん中から突撃しようとした時、ドイツ軍が町の建物から撃って来る。ウィンターズ少尉は立ち上がり、伏せる兵に進め!と鼓舞。
町に突入し手榴弾・ロケットで建物を攻撃。ドイツ軍は砲兵に支援を要請し、E中隊の兵士は次々に吹き飛ばされる。ブライスは突然目が見えなくなる。ウィンターズは足を負傷。頻繁に移動して対処し、占拠した建物から機関銃でドイツ兵を掃射。カランタンは意外にも早く陥落。町で応急処置を受けるウィンターズ達。ブライスを励ますと目が見えるようになる。
ドイツ軍の主力は既に撤退しており、カランタンには1個中隊がいただけだった。ドイツ軍の反撃に備え、高地で防御陣地を作ろうと移動する506連隊だったが、反撃のため行軍していたドイツ軍と遭遇戦に。互いに茂みに隠れ日が暮れる。夜、見張りをするブライスとウェルシュ。これはゲームだと言うウェルシュ。スピアーズ少尉にブライスは、降下した日に何もせず溝で寝て、起きても中隊を探さなかったと明かす。
「どこかで戦いを避けようとしていたんだと思います」
スピアーズは「死んだも同然と思えば、兵士として課せられた役割を果たせるようになる。情けも容赦も無く。胸も痛まない。戦争とはそういうものだ」と教える。
翌朝、両軍はほぼ同時に攻撃再開。ドイツ軍の迫撃砲を避け、前線を引っ込めて稜線に出て来るドイツ兵を狙い撃ちにする戦術に切り替え。だが、ドイツ軍のヤークトパンター・III号突撃砲G型(初期型)・マルダーII自走砲・Sdkfz251装甲兵員輸送車が出現。D、F中隊は無断で逃亡。攻撃は残ったE中隊に集中。ブライスはタコ壷の中で叫ぶ。マクグラスが近距離でIII号突撃砲の下部をバズーカ攻撃。第2機甲師団のM4A1シャーマン戦車も到着し、ドイツ軍は退却開始。
ウィンターズが叫ぶ「ブライス!ぶっ放せ!」
ブライスは退却しながら銃を撃とうとしたドイツ兵を狙撃で仕留める。戦闘後、そのドイツ兵の死体を見に行く。Dディから25日後、志願して農家の中を調べようとしたブライスは首を撃たれる。その傷が元で2年後に死亡。
【感想】○
要衝カランタン攻略戦とその郊外でのドイツ軍との攻防を、戦闘拒否気味のブライスを中心に描いた回。バンドオブブラザースはドキュメンタリードラマだが、今回のブライスの死は実際とは違うらしい。遺族の指摘により、負傷したのは右肩で1967年に死亡と判明している。また、個人的に気付いたマニアックな指摘になるが、ドイツ軍のヤークトパンター駆逐戦車は6月末から7月にかけてノルマンディに実戦配備された。従って6月9日には戦闘を行っていない。W・J・シュピールベルガー著の『重駆逐戦車』を参照の事。
とはいえ、カランタンでの市街戦シーンは迫力満点で、映画プライベート・ライアンと同じ特殊なカメラを使って臨場感を出し、建物の爆発も本当に行っている。その破片が飛び散る様やそれを避けようと頭を押えしゃがむ兵士の反応などもリアル。
加えて、第二次世界大戦の戦争映画やドラマにありがちな、戦後の退役戦車や、実在しない型の張りぼて戦車を撮影に使ったりするような事はしていない。本物と見間違うくらい精巧に作られた実物大模型と思われる。だからこそ史実にないヤークトパンターの実戦投入という粗が少し残念。
今回の物語の柱となるのはブライスの心境変化。ブライスが戦いの現実に気付くまでと、それに気付いてから待ち受ける彼の運命が描かれている。空挺降下しても戦闘に参加しようとしなかったブライス。前回で散り散りに降下した状況があったが、独りぼっちでノルマンディに置かれた彼には、戦争がまだ遠い所にも思えていたのだろうか。
やがて偶然にもE中隊に拾われ、カランタンで初の実戦に巻き込まれる。その状況を受け入れられないブライスは、ヒステリー症状で一時的に視力を失う。ウィンターズから「ここが終わればイギリスに帰れる」と聞いて安心したために視力が回復する。
だが、郊外でまたもや戦闘に突入。ここの見張りでウォルシュは「これはゲーム」と語り、捕虜虐殺の噂もあるスピアーズから、心を無くしてマシーンのように動く事を助言される。それぞれの兵は自分なりに戦闘参加の心構えを持っていた。
翌朝の戦闘でもブライスはまだ、戦う意義を見出せずタコ壷でうずくまるのみ。いよいよE中隊が追い込まれ、仲間が次々にやられ死が迫ってくると発狂したように叫ぶ。それでも諦めずに戦うウィンターズ達。そのウィンターズに手を差し伸べられ、タコ壷から這い出し銃を撃ちドイツ兵を殺すブライス。彼が現実を受け入れた理由は明確には説明されない。
戦闘後、自分が倒したドイツ兵の死体を見てさらに現実を知る様子と、将軍や大佐が言葉だけでE中隊の健闘を称えたと冷笑するウィンターズ、勲章を貰って新聞写真に収まるハンサムな兵士などが皮肉っぽく描かれる。少なくとも将軍を喜ばせるためや名誉のために戦うのではないとの主張はされている。
そして生まれ変わったように兵士として働くブライス。誰かがやらなければならない農家偵察に志願して撃たれる。戦うために戦地に送り込まれ、そして戦う兵士達。自分が死ねば替わりが送り込まれるだけ。自分が居なくても戦闘は続く。だが誰かがやらなければならない。その矛盾の中でブライスは目覚めたのだ。
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バンド・オブ・ブラザース Vol.1(1、2話)
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【あらすじ】ノルマンディ降下作戦。C47輸送機で降下地点に向かう空挺師団。しかし天候悪く機体は揺れ、ドイツ軍の高射砲で撃墜される機が相次ぐ。E中隊のC47もエンジンに被弾し降下地点より前で降下開始。ウィンターズ中尉の装備は吹っ飛び、ライフルも無い状態で着地。直ぐ近くに着地したA中隊の無線士:ホールも無線機を吹っ飛ばされた。ドイツ軍の銃撃を避け、着地地点がどこなのか、仲間も探すウィンターズ。
次第に味方が集まり、現在地が目標地点まで7キロ離れていると判明。あと4時間でドイツ軍駐屯地を制圧しなければならない。線路でガルニアらと合流し指揮を執るウィンターズだったが、ガルニアは勝手にドイツ兵に発砲。夜が明けて戦死している味方空挺兵から武器を調達。第2大隊集結地に到着し、ユタビーチを狙う88ミリ砲4門の砲塁破壊を命じられるE中隊12人。
機関銃で戦闘開始、3人ずつの分隊で手榴弾を投げて突撃、塹壕に入り1つ目の砲を破壊。塹壕づたいに進んで2つ目も破壊、ポパイらが負傷。3つ目の砲にTNT爆薬を持って進んだホールは戦死。4つ目の砲は到着したD中隊が破壊。数に優るドイツ兵の反撃の前に速やかに退却したE中隊。
夜までにサンマリーデュモンを確保し、第4歩兵師団の一部は内陸に侵攻。E中隊のミーハン中尉は行方不明で、ウィンターズ中尉が指揮官に。保塁でウィンターズが見つけたドイツ軍の地図は活用される事になったが、ウィンターズはホールの死を気にやむ。
【感想】◇
ドイツ軍の猛烈な対空砲火で散り散りにノルマンディに降下したE中隊が、中隊長もいない中、集まった分だけの少人数でドイツ軍陣地の破壊を命じられる。果敢な攻撃で任務を果たすが、戦死者・負傷者も出る。
とはいえ、兵士達それぞれの特徴が描かれる要素に乏しく、誰が誰かまだ識別しにくい。ウィンターズの指揮官としての能力が試される戦闘と、ホールの死、兄を失ったばかりのガルニアがウィンターズを認めるまでが辛うじて分かる程度。
冒頭の輸送機と対空砲火の場面は、とにかく激しく、降下する前に多数の犠牲が出ている。ウィンターズ機も被弾し、このままでは墜落と判断した機長によって発進信号が出て、炎上する機内から逃げるように降下していた。降下というより脱出。作戦も何もあったものではない。
銃をどこかに落とした丸腰のウィンターズと、無線機をなくした別中隊の無線士ホールが隣に着地。部下と合流するが、兄を亡くして少々ヤケになっているガルニアは、武器を持っていないウィンターズを馬鹿にするかのように勝手に発砲する。降下時に死んだ味方兵からライフルを得るウィンターズ。敵地の真っ只中に落とされた降下兵の悲しい補給手段。
大隊集結地では捕虜となったドイツ兵が無抵抗で射殺される。その中にはアメリカで生まれ育ったドイツ兵もいた。保塁の攻防でも、ドイツ兵の味方撃ち、銃の故障、自分の手榴弾の爆発から逃げる兵、ケツをやられて惨めなポパイ、倒れた衛生兵から薬を調達しようとして銃撃されるマラーキー(しかもそれは衛生兵ではなかった)などのドジから、戦闘が決して格好良くない物だという描写がちらほらと。
E中隊のブレクール保塁攻撃は、固定目標攻撃の手本として現在も陸軍士官学校で演習に使われているとの事。素人目には、機関銃での陽動、敵兵が砲付近に必ずいると見越しての手榴弾攻撃、機動力を活かした多方向からの突撃が成功要因かなと思う。
肝心のホールの死の場面は、どういった経緯で死んだのかが不明。3つ目の砲に突撃した際に死んだように見えたが、その後、3つ目の砲はホールによって破壊されたと説明され、いつ死んだのかが不明確。
もう1つの、ガルニアがウィンターズを認める場面。戦闘後の食事でミーハンが死んだものと見なされ、ウィンターズが指揮官だと話す兵達。ウィンターズとガルニアが目を合わせ、その表情で認めたと分かるが、その際に交わしたジョークが文化の違いからか分からず仕舞い。
降下して最初に出会った味方、という意味で別中隊の兵ながらホールに好意を持っていたウィンターズは、自分の部下の死のように気落ちする。しかし泣くわけでもなく、独り静かに遠くの戦闘を眺めるだけという抑えた演出は良かった。奪った地図よりも失ったホールの方が大きいという主張も込められていたような。
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【あらすじ】1942年、アメリカ陸軍空挺部隊に志願した若者達。第101空挺師団 第506連隊 第2大隊 E中隊に配属。指揮官のソベル中尉は服務規程を振りかざし、兵達の外出許可を取り消し、罰として近くのカラヒー山まで頻繁に走らせる。毎週金曜夜は武装して20キロの夜間行軍。E中隊だけに行われる猛訓練。その成果は現われ始め、ソベルは大尉に訓練監督のウィンターズは中尉に昇進。
1943年6月、ノースカロライナ州マッコーヒル駐屯地で実戦訓練。ソベル大尉は地図が読めず、E中隊は敵にやられる。兵達の間からソベルへの不満が漏れ出す。9月6日、輸送船でイギリスに向かい実弾訓練を積む。ここでもソベルは道を間違え、集結地点に間に合わない。
ソベルは命令変更に対応しなかったとしてウィンターズを処分しようとするが、軍法会議に署名されてしまう。このままではウィンターズは配置転換だと知った下士官達は、任務拒否を上層部に示し「反乱」を起こす。ソベルは訓練学校へ転属。後任はミーハン中尉。ウィンターズはE中隊第2小隊を率いる。
1944年5月、英アポッタリーにてノルマンディ上陸作戦をミーティング。上陸5時間前に空挺降下し、集結地点と目標地点の途中にあるドイツ軍駐屯地:サンマリーデュモンの制圧をE中隊が行う事に。重武装した兵達は輸送機に乗ってドイツ軍要塞「大西洋の壁」の裏を目指して飛んで行く。
【感想】◇
スティーブン・スピルバーグとトム・ハンクス制作の映画スケールのテレビドラマをTVKで放送開始。プライベート・ライアンコンビ。それは映画館で観た。中だるみだったが全体的には○の映画。このドラマはそういった予備知識なしで観てしまったのでちょっと調べると、ノルマンディ降下作戦、マーケットガーデン作戦、バストーニュ死守、ユダヤ人収容所解放など第二次世界大戦の西部戦線の重要局面で、常に前線にあった実在の中隊を描くらしい。
Dディでも「遠すぎた橋」でも空挺部隊は作戦通りの活躍が出来なかったし、バルジの戦いで最大の激戦地:バストーニュを守ったりと、戦闘場面は今後過酷な描写になりそう。収容所の解放も…。
今回は戦いに赴くまでを描いているので、言ってみればかなり地味。延々と続くソベルによるスパルタ訓練と、まだまだ個性を表わさない兵達に感情移入もできず、今後の展開を知らなければ見続けるのはちょっとキツイ。
ソベルはユダヤ教徒で、ナチスドイツに対する憎しみは人一倍強かったのだろう。もちろん個人的な栄誉への渇望もあって、E中隊を連隊中最高の部隊にしようと容赦ない訓練を課す。新兵よりも遥かに優る体力で山に登り、檄を飛ばし続ける。気力・体力ともに申し分ない指揮官。
ソベルの下で次第に体力を付け、連帯意識も高まって来る兵達。そんな折、ソベルの欠点が浮かび上がる。地図が読めず、実戦向きではない事が分かってきた。空挺にとって地図が読めないのは致命的。ソベルが指揮官では皆死ぬと公然と口にし出す兵達。自然とナンバー2のウィンターズに信頼を寄せる。
ソベルは自分の欠点を認識し、その欠点を部下に補わせる選択肢もあったように思う。ウィンターズらに地図を任せ、助言を聞く方法。だがソベルはプライドからかそれをせず、逆にウィンターズを追い込んだ。軍法会議で受けて立ったウィンターズ。ソベルのこれまでの上層部の評価から軍法会議になるとウィンターズ不利。
ここで下士官達がソベルの下での任務拒否書類を提出。銃殺刑もありうる「反乱」行動によって、皮肉にもE中隊の連帯意識は強まった。そして戦場へ。今後E中隊が活躍すれば、ソベルによって深まった「兄弟の絆」が感動を呼ぶだろうし、活躍できなくても、過酷な訓練を積んだのに…という悲哀が生まれる事になるのだろう。そういった意味で重要な、訓練だけの第一話だった。
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【あらすじ】コンジット修理をするオブライエンとノーグ。必要部品がカーデシア製なので時間が掛かる。元カーデシア領で現在は放置されているステーション:エムポック・ノールから調達する事に。だがカーデシアは撤退時にトラップを仕掛けているらしい。カーデシア人のガラックも連れて行く。
移動中、オブライエンにボードゲーム:コトラーの対戦を申し入れるガラック。元軍人でセトリック3の英雄のオブライエンは、今はエンジニアだからと断る。セトリック3での戦闘の模様などを聞きたがるガラックだがオブライエンは相手にしない。
エムポック・ノールの罠を解除しつつ部品探しする隊員達。だが冷凍保存されていたカーデシア兵が生き返り、シャトルを爆破、ペチェッティ・ストルゾフを殺害する。ガラックがその兵隊を殺す。パルス信号で救助を呼ぼうとするオブライエンだったが、ボクター・アマロも殺される。
ガラックはカーデシア兵に投与されていた精神興奮剤に触れ、攻撃衝動を抑えられず隊員も殺していたのだった。ノーグを人質に取られたオブライエンはガラックと決闘。フェイザー銃を爆発させガラックを倒す。DS9で治療を受けるガラック。見舞ったオブライエンは「殺すつもりだった」と告白する。
【感想】○
元軍人で今はエンジニアとして生きるオブライエンが、殺人をプログラムされたカーデシア兵の襲撃を受けたり、薬で殺人衝動に駆られたガラックとの対決で戦闘状態に追い込まれ、ガラックへの殺意を生むまでを描く。ガラックとオブライエンの殺しの衝動に違いはあるのか無いのかがテーマ。
誰も居ないはずのステーションで隊員が死んだり、ミイラ取りがミイラになっていくガラックといったミステリーとサスペンス要素が緊迫感を生み出し、追い詰められていくオブライエンの最後の判断がなかなか考えされられる。
温厚な性格のオブライエンが、セトリック3で多数のカーデシア兵を殺した英雄だったとの過去。同じカーデシア人のガラックは、オブライエンが本当はカーデシア人をもっと殺したいとの欲求を持っていると分析する。コトラーのゲームで挑発するがオブライエンは乗ってこない。
カーデシア兵の再起動を幸いに、オブライエンの本性を引き出そうと考えるガラック。だが自分も薬で殺人衝動が出ている事は自覚していない。元スパイで暗殺などもしていたガラック。昇進のために独自判断で人を殺した経験もあると思われる。
ガラックはこの自分の経験をオブライエンにも当てはめようとしている。オブライエンにも殺人願望があるのではないかと。だがオブライエンは軍人として、命令によって人を殺していた人物だった。ここが二人の大きく異なる部分。軍隊は殺人集団との見方もあるが、それは命令があって初めて成立するものであり、むやみに罪を犯す軍隊は軍隊ではない(本来は)。
最後のガラックとの決闘で「殺すつもりだった」オブライエンだが、個人的感情ではなく隊長としての判断だったのではないか。オブライエンは戦闘状態に追い込まれ、軍人意識には目覚めたものの、殺人願望は元々持ち合わせていなかったのだ。
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【あらすじ】マキがカーデシアに向けてミサイル発射したとの通信を傍受したマートク将軍。送信先はかつてマキを率い、今はDS9に拘留されているマイケル・エディングトン。シスコ司令はミサイルを止めるようエディングトンを無理矢理に連れ出し、発射基地まで案内させ、停止コードを送らせようと考える。
保安候補生:ノーグは、クリンゴン人への対応に苦慮。禁止事項だと注意しても無視される。シスコ司令はノーグに正面から戦えとアドバイス。だがノーグはなかなかクリンゴン人のマートク将軍に正面きって言い出せない。
シスコとエディングトンのシャトルはジェムハダー戦艦に追尾される。止む無くエディングトンの手錠を外し操縦させ、ミサイル基地のアソス4に到着。しかしそこにもジェムハダーがおり、多数のマキが殺されていた。コントロール室に着いたが、そこは単なるマキのアジトだった。エディングトンを解放させるために妻レベッカが実行した罠だったのだ。
脱出しようとするが、ジェムハダーの総攻撃を受けエディングトンは死亡。シスコはレベッカらを連れDS9に戻る。ノーグは勇気を出してマートク将軍らに厳重注意。以降、マートクはノーグに挨拶するようになる。
【感想】△
「裏切り者は誰だ」で連邦からマキに加わり「エディングトンの逆襲」でカーデシアと連邦を窮地に追いやったものの逮捕されたエディングトン。その後カーデシアはドミニオンと同盟し、マキはドミニオンから虐殺される。今回はその残党がエディングトンを救い出そうとする話。
クリンゴンから遮蔽装置の人道支援を受け、それを改造して生物兵器搭載の遮蔽ミサイルをカーデシアに向けて発射したという。命中すればカーデシア・ドミニオン連合が惑星連邦とクリンゴンに報復し全面戦争へ。その間隙をぬってマキは領地回復を目指すシナリオのようだ。
だがこれらは全て偽情報で、真の狙いはミサイルを止めるために拘置を解かれるエディングトンの救出にあった。シスコはこの作戦にまんまと引っかかる。頭脳戦では毎度のようにエディングトンはシスコに勝っている。対するシスコは逆上気味で、力で押え込む強引な手法。
しかし今回は囚人であるエディングトンに司令官の力を見せ付ける事はできなかった。まずジェムハダーに見つからないよう、行動は戦艦ディファイアントではなく小型シャトルで一対一。行き先までの道のりに詳しいエディングトン。行き先はマキの基地。シスコが優る要因がない。
結局エディングトンを殺したのはドミニオンのジェムハダー戦士で、むしろシスコはエディングトンに助けられている。エディングトンはマキの英雄となり、シスコはライバルを失った。
サブストーリーであるノーグとマートクのささやかな戦いだが、メインストーリーとの関連性があまり見出せない。ノーグに言った正々堂々と立ち向かえとのアドバイスが、テロリストであるマキへの言葉とも取れるくらいか。不正改造した遮蔽ミサイルに生物兵器という戦術が卑怯だと。
仮にミサイル発射が本物だとしても、大国間の戦いで漁夫の利を得ようとする作戦はいけない。そんなことだからマキは正式な国家として認められないテロ集団。前にも書いたようにシスコはマキ撲滅を望んではいない。協定でカーデシア領となった星に拘らず、他の星へ移住し一国家となるべきと思っている節がある。
マキがパレスチナでカーデシアがイスラエルとの読み替えが可能。シスコの考えがアメリカの方針なのだが、これでパレスチナが土地を手放すはずもないわけで…。もちろんアラブ諸国もこれを認めたくないわけで…。
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【あらすじ】ガンマ宇宙域調査から帰還中の戦艦ディファイアント。ダックスが生命反応を見つけ、その惑星に降りる事に。環礁帯の陽子変動でキラが感電。惑星ガイアにはディファイアント乗員の子孫と名乗る人々が居た。ディファイアントは2日後の出発事故で200年前にタイムワープするのだという。
最初は疑うシスコ達だったが、シスコ達にしか知り得ない事を知っていたり、DNA鑑定も本物を物語る。亜空間二重効果を利用してタイムワープする船と帰還する船を作り出し、お互いの存在が消えないよう準備を進める。だがその成功率が実は10億分の1。ダックスの子孫イエドリンがデータ偽造していた。
200年前からガイアに暮らす8000人の命か、ディファイアント乗員と2週間後に死ぬとさせるキラの命かの選択を迫られるシスコ。激論の末、帰還する事にしたが、ガイアの人々は普段通りの生活を続ける。苗植えを手伝う乗員達。
やはりタイムワープしようと出発するディファイアント。だが飛行プランが変更されていてタイムワープせず。8000人は歴史から消えた。ガイアに居たオドーがキラを助けるためプラン変更したのだった。
【感想】○
8000人のガイア人を守るためディファイアント乗員の将来を犠牲にするか、ディファイアント乗員、特にキラを守るためガイア人を犠牲にするか、命の数と重みという究極の選択話。キラを愛するオドー1人の身勝手とも思える行動で8000人の200年は消え去った。
ガイア人はディファイアントがやがて来る日も知っていたし、その時にタイムワープを繰り返してもらわないと自分達が消える事も知っていた。周到に準備を進めデータ偽造し、それがバレても情に訴える。実際、住民には何の罪もないし、ここで生きて行く権利がある。
ディファイアントから見れば、帰還して家族と会う権利もあれば、DS9で生活して行く権利もある。タイムワープすればキラが確実に死ぬ事も分かっている。
ガイアで過ごす内に情が移り、8000人の命を消せないと思い始めるクルー達。しかも自分達の子孫だ。帰還を決めても住民は責める事もせず、「たとえ明日世界が滅びるとしても、今日私はリンゴの木を植える」の言葉を実践するかのような行動。一度は帰還を決めたシスコは、キラ自身が運命を受け入れる覚悟でいる事もあり、タイムワープを選択。
こうして悩み抜いた末の結末は、10億分の1の確率が的中するハッピーエンドかとも思ったが、オドーがキラのためにガイア人を消す結果となった。それに対しキラの「愛してるからといって、それで良いの?!」との叫びで終幕。
流動体生物で寿命が無く、ずっと生き続けるオドー。ガイア人はディファイアントの子孫とはいえ何世代も交代している。キラの死を200年も引きずり、これからもずっとというのは耐えられなかったのだろうか。それならばキラを帰還させ、もう1人のオドーに託した方が良いと考えたのか。
ガイア人8000人よりもディファイアント乗員48人よりも、キラへの200年の愛の方がこのオドーにとっては絶対だったのか。
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【あらすじ】マートク将軍に、カーデシア国境で行方不明になった戦艦バモス捜索の命が下る。戦艦ロタランにはウォーフがマートクの右腕として乗船。ダックスも科学士官として付いて来る。部下達はジェムハダーの元捕虜:マートクと不名誉な家柄のウォーフに不満顔。
戦艦ロタランは何ヶ月も負け続きで、クルー達の士気は最低。今度の任務も失敗だろうと公然と口にする。途中でジェムハダー船と遭遇するも、マートクは捜索が第一といって攻撃せず。絶好の機会を見逃してクルーに不満が鬱積。ケンカも起きる。
戦艦バモスを見つけるも、国境を越えているとして引き返そうとするマートク。遂にウォーフは上官解任を決意し、マートクと勝負。だがわざと負けてクルーはマートクに従う。そこへジェムハダー戦艦が出現。
戦闘に勝利し、バモスの負傷者も救助した戦艦ロタラン。マートクとクルー達は祝杯を上げる。ウォーフは静かにDS9に戻るが、マートクはウォーフを一族に迎え入れ、兄弟の契りを交わす。
【感想】◇
敗れざる者(前編)および(後編)でドミニオンの371捕虜収容所で共に戦ったマートクとウォーフの絆を描いた回。上官への反逆・解任劇に込められたウォーフの真意がポイント。
クリンゴン帝国は、戦いにおける精神の高揚を神聖な物とし、戦士である事を尊ぶ文化。家柄が重視される反面、弱肉強食で強い者が支配する構造でもある。よって、捕虜経験のあるマートクも、父が不名誉になったウォーフも、部下からは慕われない。そのクルー達も負け続きの不名誉で自嘲気味になっている。
ウォーフがマートクばかり見ていると指摘するダックスがサブストーリーとなる。ウォーフとマートクの上下関係と、ダックスとクルーの横の関係で、狭い戦艦内に広がりのある人間関係を描く形。
不満が溜り反乱を心配するダックスは、その回避に力を注ぐ。ウォーフはマートクに自分は絶対に裏切らないと言っていたが、上官解任という裏切り行為に出る。だがそこでわざと負けてクルーの支持をマートクに集めようとの、マートクへの忠誠を示すものだった。
物事の解決を戦いによって図るクリンゴンは、常に野蛮・危険と思われがちだが、強さ・名誉を重んじる文化の中では、戦いの行為の中に様々な思いが込められたりもする。惑星連邦での士官経験の長いウォーフは、両方の文化を分かった上でクリンゴン方式に則った行動を選択した。連邦の視点で危険を知らせるしか出来なかったダックスとは異なった。
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【あらすじ】クワークのバーはネズミ被害で一時閉鎖。弟:ロムがリータと婚約したと聞き、さらに落ち込んだクワークは母:イシカの家へ。何とそこにはグランドネーガス:ゼキィが居た。イシカと恋仲だったのだ。
ロムとリータは権利放棄証書を巡って種族の違いから婚約を取り止め。FCA(フェレンギ会計監査局)のブラントはクワークにイシカとネーガスの関係を破綻させるよう依頼。見返りは剥奪した取引ライセンスの復活。ネーガスにイシカの悪い噂を吹き込み二人は別れる。
ライセンスを得た上にネーガスの第一書記となったクワーク。だがネーガスは記憶力に問題があり、政策決定にはイシカが大きく関与していたのだと知る。ロムは全財産をベイジョー戦争孤児基金に寄付。
ネーガスの解任を企んだブラントに対し、会議で逆にやり込めて危機を乗り切ったクワーク。イシカを再び元の鞘に戻してDS9に帰る。ロムは権利放棄証書も財産も捨て、再びリータに告白する。
【感想】○
金儲けを主義とするフェレンギ人が直面するそれぞれの愛の形。クワークは金儲けのためにイシカとネーガスの愛を終わらせるが、ブラントの金儲けを阻止するため関係修復に奔走する。ロムは金儲けが苦手なフェレンギ人だったが、他種族のリータとフェレンギ文化の間で苦悩。全財産を捨てて身を立てる。
フェレンギは金儲けと男尊女卑が文化の特徴。それぞれのカップルはこの二つの要因で揺れ動く。
イシカは女性でありながら服も着て金儲けもする。男尊女卑への徹底的な反抗。ネーガスは個人的な金儲けもするが、その地位からフェレンギ全体の金儲けを考える人物。男尊女卑の思想はあるが、イシカは自分にとって政策的にも女としても必要と思っている。ネーガスの金儲けと男尊女卑の考え方には、どちらも杓子定規でない幅がある。だからイシカとは金儲けも男尊女卑も超えた愛で結ばれる。
ロムは人間との生活が長く、もともと金儲けが苦手という事もあって、フェレンギ文化を捨てた生活をしていた。だからこそリータと婚約できたのに、そういう形式・契約的な時点になって始めて、人間文化に全部従っていいのかと疑問を持つ。だが徹底的に金儲けを捨て去り全財産を失ってでもリータと結婚したいと願い、男尊女卑の権利放棄証書を無効化する全額寄付をする。
「愛しかないけどそれでもいい?」
フェレンギ人男性にとっては最悪な言葉のプロポーズだが、人間のリータには最高のプロポーズ。
記憶力の無いネーガスが、解任会議をどうやって乗り切ったのか曖昧な所が少々残念。記憶力が無いとクワークが気付くシーンの、強弁なネーガスと側近の悲しげな表情が強く印象に残る。このシーンはとても良かった。
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【あらすじ】カーデシア反政府活動家:テケニィ・ゲモール評議員を出迎えるキラ少佐。キラは幼い頃に誘拐され、ゲモールの娘:イリアナそっくりに整形された事があった。その縁でゲモールはキラを娘と呼ぶ。イリアナは現在行方不明、そしてゲモールは不治の病で余命僅か。
カーデシアの実権を握ったガル・デュカットは、ゲモールの引き渡しを要求するがシスコ司令は応じず。ゲモールはカーデシアの習しに従い、キラを家族として自分の知識を与えると表明。そのカーデシア情報は惑星連邦が喉から手が出るほど欲しい物だった。
キラはゲモールを看護しながら情報を聞く。キラの本当の父がゲリラ戦で重傷を負った時の事を思い起こしながら。DS9にはデュカットとドミニオンのウェイユンが直接乗り込んで来る。だがゲモールはカーデシアへの帰還を断固拒否。デュカットからゲモールのキアザ修道院虐殺への関与を示されたキラは、看護を止める。
ゲモールの死が迫り、思い直してその最期を看取るキラ。デュカットはゲモールが現政権を祝福したと偽って国葬したいと申し出るが、既にキラが埋葬した後だった。
【感想】△
ドミニオンと同盟したデュカット政権を批判し続け、キラとも繋がりのあるゲモール評議員は、カーデシアと敵対する惑星連邦にとって重要な人物であったが、機密情報を得るもその希望は病気で失われる。番組での焦点はそういった政治情勢ではなく、キラ視点でゲモールと実の父の死を対比させて描いていた。
キラとゲモールの繋がりが突拍子な誘拐事件であるのに、その事件の経緯や事後の説明はなく、なぜキラがカーデシア人のゲモールと仲が良いのか不明。正義を貫く姿勢に共感して接近していったのか。
肝心のキラ父の死に対する思いが最後に全部説明されてしまい、記事にするのが非常に難しい。父の死を見るのが怖い・受け入れられないから、父の側を離れて出撃し臨終に立ち会わなかったキラ。ゲモールの死でもそれを繰り返す寸前で思い直し最期を看取った。説明されると解釈の仕様が無い。
キラはゲモールに亡き実の父の姿を重ね合わせ、ゲモールは行方不明の娘の代わりを見ている。互いに擬似関係にある所は少し面白い。だが虐殺への関与疑惑でキラは関係を絶とうとする。それでも結局は看取ったのは、完璧な父はいないと悟ったからか。死んで欲しくない時に死んでしまった実の父も完璧ではなく、過去に悪事を働いたゲモールも完璧ではない。しかしそれをも受け入れる事が擬似関係の完結だと。
擬似関係を実の父の死への思いと重ね合わせる事で昇華させて終わらせれば、二人の父への供養となる。ゲモールが死の間際に「ドミニオンとの同盟を祝福した」と偽って政権基盤強化に利用しようとしたデュカットとは対照的に(何とか解釈完了)。
…と書いてきて、小渕元総理の最後の言葉とされる「後は万事よろしく頼む」と、その弔いとして立候補した娘:小渕優子を思い出した。キラとは大違いだ。
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【あらすじ】クワークが破産寸前の借金を抱えたと知った従兄弟のゲイラは、ホロスイート用の武器取引の話を持ち掛ける。オブライエンの生まれたての息子:キラヨシは、抱きかかえていないと直ぐに泣き出す。
武器商人:ハガスの部下として武器仲介を始めたクワークは、取引をどんどん拡大。しかしハガスを裏切ったファラックは殺される。違法ではないが倫理に反するとして連邦士官はクワークの店に来なくなる。
遂に某国総督代理との商談にありついたハガスとクワーク。反乱軍ナサックとその領民2800万人を根絶やしにする武器を購入する総督代理。クワークは良心に目覚め、この取引を中止に追い込もうとナサックと接触。キラヨシは中継ピットで寝付く。しかしここには長く居られない。
総督代理とナサックを鉢合わせさせたクワーク。銃撃戦となり総督代理は死亡。ナサックは逃亡したハガスとゲイラに暗殺部隊を送り込む。自室のベッドでようやく寝付いたキラヨシ。オブライエンは椅子で眠ってしまう。
【感想】◇
金のために大量殺人に使われると分かっている武器を売る「死の商人」の世界を知ったクワークが、良心に目覚めてその取引を止めようと命を賭ける話。クワークは一線を超える事は無かったが、武器商人は絶える事はない。
金儲けを文化とするフェレンギ人は、金儲けのためなら何でもすると思われがちで、他の人種からは倫理に反する・節操無しと思われている。クワークもフェレンギ人として金儲けのために何でもしているが、連邦相手の商売なので法律は守るようオドーの強い監視を受けている。
ホログラムの武器取引は違法ではない。だが法規範に反しなくとも社会規範には反する。クワークの店は閑古鳥となり、本業でますます赤字になる。罪悪感を持ち始めるクワークだったが、だからこそ武器取引に精を出す。
良く分からなかったのは、人が死なないホログラムの武器のはずだったのに、いつのまにか2800万人の命云々…の展開になってしまった所。執筆者が何か見逃し・聞き逃し又は誤解したのかもしれない。後半はこの疑問が気になって入り込めなかった。
オブライエンとキラヨシのサブストーリーも関係性がいまいち見出せないが、親の手がないと生きていられない赤子を育てていくのは本当に大変で、たった一つの命を守るのにこんなにも苦労する。それなのに武器商人は大量殺人をもビジネス・金儲けとして心を痛める事も無いのだ…という対比による批判が込められているのだろうか。
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【あらすじ】保安チーフ:オドーはクワークのバーで誰かと待ち合わせているアリッサから「目がセクシー」と言われる。その待ち合わせ相手:トービットは自室で殺害されていた。彼からクリスタルを受け取る予定だったアリッサは、クリスタルを探し通信システムと金庫室に侵入して見つかり、オドーの事情聴取を受ける。
実はオレンジシンジケートのドレイムの部下だと白状したアリッサ。しかし組織を抜けようとしており、協力者:トービットは殺し屋に殺された模様。クリスタルには組織の情報が入っているらしい。
オドーはアリッサを保護し、惹かれ合う二人は関係を結ぶ。裁判所への告発を勧めるオドーだったが、アリッサは殺し屋と取引しようとする。その頃アイダニア政府から、アリッサは記憶を消してオレンジシンジケートに潜入させたスパイだと知らされるオドー。クリスタルにはアリッサの元の記憶が入っていた。
クリスタルを殺し屋に渡すアリッサ。だが殺し屋は取引を無視しアリッサを殺そうとする。オドーが間一髪で助ける。その後、記憶を取り戻し結婚していたと知るアリッサ。オドーとは別れる。
【感想】◇
過去の記憶を消し、偽の記憶で組織に潜入していたアリッサに恋してしまったオドーの話。自分が愛したのは架空の女性だったのかと落胆する。だが、アリッサは二人の過ごした時間と気持ちは嘘ではなかったと言って去る。
作られた記憶と生い立ち、そしてこの話では人種も偽りだったが、そうした偽設定にも惹かれて恋をしてしまったオドーの嘆きは最もだ。一方、貧しいフィネア人でネットガールとしてドレイムに拾われ、美貌も武器にテロ組織で働いていた(←偽設定)アリッサは、外見ではなく内面を誉めてくれたオドーに心惹かれたと言う。
本当はアイダニア人で既婚でありながら、志願して記憶消去のスパイとなったアリッサ。偽の記憶で生きながらも組織を抜け出そうと動いた辺りに、アリッサにある真贋を超えた本質が現れてはいないだろうか。オドーはそのようなアリッサの本質に惚れた面もある。
サブストーリーは、ホロスイートで女性を奪い合うベシアとオブライエン。プログラムされた架空の女性をゲームとして争奪する二人と、プログラムされた実在のアリッサを得ようとするオドーとの対比となる。
クリスタルを渡して自分の命を助けてもらおうとの取引。そのクリスタルには自分の記憶が入っているがそれを知らないアリッサ…という設定は、科学の発展と人間の命の普遍性の差で起きる悲劇的要素があり、これぞSFと言いたくなる。この設定はもっと違う話で生かしても良かったのでは。オドーとの恋愛に隠れてしまい何だかもったいない気がした。
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【あらすじ】ドクター:ジュリアン・ベシアはホログラムドクターのモデルに選ばれ、ホログラム開発のジマーマンから身辺調査を受ける。ベシアの精神構造のパーソナリティを読み込み、新しいアルゴリズムをホログラムドクターに適用するため。
クワークの店ではその弟:ロムがダボガール:リータに告白するかどうかで迷っていた。ベシアの身辺調査でリータと出会ったジマーマンはリータと食事を共にする。先を越されると焦るロムだったが告白する勇気が無い。
ベシアはジマーマンと両親の面談を拒み続けていた。しかしジマーマンは勝手に両親を呼んでしまう。実はベシアは6歳で違法な遺伝子操作を受けた過去があった。25年間の秘密はジマーマンにバレてしまい、辞職を決意するベシア。
父:リチャードは法務総監に掛け合い、自分が刑を受ける代わりにベシアの身分を保証してもらう。ジマーマンと共に去ろうとするリータを追いかけ、ロムは遂に告白。それを待っていたリータは快く受ける。
【感想】◇
自分が遺伝子操作を受けた違法な存在である事をひた隠しにしようとするベシアと、自分がリータを好きだと告白したくても言い出せないロム。秘密は他者によって発覚し、秘めたる思いは自分で伝えるしかない。真実には代償がつき、正直さは報われる。
ジマーマン役の人は「スタートレック・ボイジャー」でホログラムドクター役を務めた人。設定や世界観がシリーズを通して繋がっている。ボイジャーのドクターは社交的で軟派な印象だったが、このジマーマンはそれに頑固さと皮肉屋を付け足したような感じだった。
リータは「享楽の星・ライサ」の回でベシアと別れた元恋人。さらに前に、クワークの店での労働組合運動でロムと共同戦線を張った回があり、どうやらロムはこの頃からリータに恋をしていたのだろう。
今回の中心はベシアであり、先天性の障害を遺伝子操作で克服した違法行為が問われた。だとしてもその後のベシアの性格・情緒は後天性のものだから、艦隊士官としての資質に問題は無い、と慰めるオブライエン。だがやはり苦しい見解といえる。
今までベシアには、情熱を前面に出しているようでいてどこか冷めている印象を持っていたが、このような過去があったと知ると納得の行く部分がある。オブライエンとのダーツ勝負にそれが端的に表れている。飽きもせずに毎日ダーツをやるベシア。本当の力を発揮すれば外さないダーツの腕がありながら、手を抜いて勝負していたのだ。オブライエンとの友情と社交性を保つために。
実はベシアにとっては遺伝子操作の秘密よりも、このような偽りがバレる事の方が怖かったのではないだろうか。障害児から突如として天才になった子供時代。誰にも相手にされないのはどちらも同じだった。だから手加減して打ち解ける処世術を身に付けた。それが発覚し、また独りになるのが一番嫌なのだろう。それでも友情を変えないオブライエンは優しい立派な人だ。
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【あらすじ】ワームホールから出現したジェムハダー艦隊はカーデシアへ。カーデシアとドミニオンは同盟を組み、新政府指導者にガル・デュカットが就任。クリンゴン、マキとの戦いで失ったものを取り戻し、再び大国になる事を宣言。
371捕虜収容所では脱出信号を送ろうとガラックが作業。しかし閉所恐怖症で倒れる。ウォーフはジェムハダー戦士と決闘場で勝負を重ね連戦連勝。だが傷を負いベシアは止める。それでも止めないウォーフとガラック。
カーデシアの攻撃を受けたクリンゴン艦隊がDS9に避難。惑星連邦とクリンゴンは新協定を結び、カーデシア・ドミニオンとの決戦の構え。また、ロミュラン艦隊の援軍も到着。
可変種ベシアは爆弾を搭載したシャトルを盗み太陽へ。超新星爆発によりDS9付近の艦隊を吹き飛ばそうとの魂胆。脱出した本物ベシアからの情報を得たシスコ司令はシャトルを事前爆破。DS9にはクリンゴン艦隊も常駐する事になり、マートクがその指揮官となる。
【感想】△
クリンゴンとマキ、ベイジョーゲリラに押されっぱなしで領土を縮小していたカーデシアが、謎の多いドミニオンと同盟し反転攻勢に出る。その第一歩がガンマ宇宙域とアルファ宇宙域を結ぶワームホールの出口にあるDS9の破壊。ただ破壊するのではなくDS9に出来るだけ艦隊を集結させ、拠点と艦隊を同時に消滅させようとの大胆な作戦。
ドミニオンの侵攻を水際で阻止するには、DS9が連邦にとって重要な戦略拠点であるからここで決戦を挑む。一方のドミニオン・カーデシアはその連邦の作戦を逆手にとって、太陽爆発で一気に片をつける。双方の作戦は共に理に適ったものといえる。
それにしては今回の後編もあっけない幕切れで拍子抜け。これは「スタートレックDS9」での前後編に分かれた話ではお決まりのパターンなのだが、そう分かっていても毎回大決戦を期待してしまう。しかも今回はシナリオ的にも粗が目立ち、戦闘もストーリーも盛り上げに欠けた。
左遷中のデュカットが唐突に新政府を起ち上げられるものなのか。ドミニオンとの事前交渉はどうやって行ったのか。可変種ベシアはどうして性格までコピーできたのか。ワームホールから出現したジェムハダー艦隊は全てバーチャルだったのか。
敗れざる者というキーワードでの括りは出来ていた。押され気味のカーデシアの再起。閉所恐怖症を克服したガラック。不屈の闘争心を見せたウォーフ。絶望的戦局でも諦めず決戦を挑めるだけの戦力を整えたシスコ。
今まで辛うじて戦争に巻き込まれずにいた連邦とDS9だったが、カーデシアとドミニオンが組み、カーデシアを一方的に攻撃していたクリンゴンと連邦が組む事で、遂に連邦も戦争を覚悟しなければいけない状況になった……アルファ宇宙域の力関係に変化が起きたのだという点では重要な回。
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【あらすじ】カーデシアの暗号通信を解読したガラックは、司令部に嘘を付き一人で出かけようとする。ドクター・ベシアに見つかり、これはドミニオンにやられた艦隊からの救難信号だと明かす。ガラックはジアルと、ウォーフはダックスと別れ。二人はシャトルで出発。
しかしガラックとウォーフはガンマ宇宙域でジェムハダーに捕まり、371捕虜収容所へ。そこに救難信号の発信者:エラブラン・テインとクリンゴン人のマートク提督がいた。さらにベシアも一ヶ月前からおり、DS9にいるベシアは可変種だという。
ガンマ宇宙域からアルファ宇宙域へのジェムハダーの侵攻が明らかとなり、戦力不足のシスコ司令は両者を繋ぐワームホール封鎖を決断。ジアルの父でカーデシア時代のDS9司令官ガル・デュカットは、ジアルをカーデシアに脱出されようとするが、ジアルはガラックを待つと拒否。
収容所生活で虫の息となったテイン。ガラックが看取る。実はテインはガラックの父だった。その頃DS9ではワームホール封鎖に失敗し、ドミニオンのジェムハダー艦隊が襲来していた。
【感想】○
これまでの伏線やゲスト出演者の再登場で総決算のような展開。いよいよ惑星連邦とドミニオンの全面戦争か?!という所で後編へ。まぁ、ガラックとシスコ、デュカットの活躍で最小限に抑えられるのだろうが。
カーデシアの諜報工作員でありながら裏切り者としてDS9に置いていかれたガラック。かといって連邦からも警戒され信用されていない。本心を明かさぬよう言葉巧みに振る舞い、仕立て屋として生き延びてきた。そのガラックが珍しくテインからの救難信号に拘る。テインが元上司で認めてもらいたいからとの説明は、最後の最後でテインが実の父だと明かされ、血も涙もないと評されるガラックも人の子だったと判明する。
テインが行方不明になったのは「可変種の脅威2(前編)」の艦隊全滅の時か。そのテインと一緒にいたマートク提督は「可変種の脅威2(後編)」で可変種だった犯人。本物はこんな収容所にいたのか。8ヶ月前の伏線だ。ジェムハダー、連邦、クリンゴンの特徴は「戦士の宿命」に既述。ジアルとガラックの出会いは「裏切り者は誰だ」で11ヶ月前にある。
連邦とドミニオンの戦争がメインストーリーならば、今回は二つのサブストーリーがある。まずは父と子の絆。ガラックは父:テイン救出に向かい、デュカットは娘ジアルを助けようとする。ガラックは敵の手にあるテインの元へ行く事をいとわないし、ジアルは敵の手に落ちるDS9から離れようとしない。目的を半分しか遂げていないガラック、デュカットの今後の行動はポイントになりそう。
そしてもう一つは可変種の存在。固形種から可変種に戻り、可変種らしい生活を送ろうとするオドーと、固形種に成りすます可変種ベシア。可変種はジェムハダーにとって創設者でもある。二人の可変種の対決もあるかもしれない。シスコがどう裁くかも見所になるか。
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