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【あらすじ】「家族の闇/モンスター・ファミリー」
2007年8月、パチンコ中毒の坂下ミドリ(馬渕英俚何)は意図的に子供:拓実を車に置き去りにして熱中症で死なせる。夫:坂下守(吹越満)は怨み屋(木下あゆ美)に800万でミドリの実質的殺害を依頼。3ヶ月後に釈放されたミドリは生命保険500万を手に入れ恋人のフリーター:大久保ユウヤと遊ぶ。
情報屋(寺島進)の盗聴と杉河里奈(葵)の睡眠薬でミドリは溶鉱炉へ連れ出され、守の操作で900度に焼きを入れられたパチンコ玉の下敷きに。さらに守はユウヤの殺害も500万で依頼。シュウ(竹財輝之助)がユウヤを一流ホストへ仕立てる。
一方、白川幸一郎が事故死した東京・あけぼの市では妻:タエ(島かおり)、長女:由紀(三浦理恵子)、由紀の夫:義雄、次女:亜紀(小阪由佳)、由紀の娘:美咲(美山加恋)が、ひきこもりで由紀の弟:タカヒコ(竹山隆範)への対処に悩んでいた。タカヒコは迷彩服で銃を放ち、家族を支配すると宣言。幸一郎も自分が殺したと言う。
医師一家の白川家は家族会議の結果、怨み屋にタカヒコ殺害を依頼。情報屋はマクロイン王国の上官を装って十二月田猛臣(前田健)を呼び出す。十二月田はプリティプリンちゃんをネットオークションの餌にしてタカヒコのパソコンにウイルスを仕込む。
遺産相続でタエだけが得をすると知った由紀と義雄はタエの殺害も依頼。パソコンを買いに来たタカヒコに十二月田は同情するが、部屋が掃除されていると伝え、シュウがユウヤに譲渡した車で猛スピードで帰ったタカヒコは事故死。持ち主のユウヤは寄木警部(きたろう)に逮捕されミドリ殺害容疑でも捜査される。
現場で怨み屋を見かけた寄木は向かい側のホームまで追い詰める。
怨み屋「まだこの世に正義はあるって信じているの?」
寄木「正義はある!」
怨み屋「生と死はいつも隣り合わせ。気を付けてね寄木警部」
白川家に聞き込みに行った寄木は爆発に巻き込まれ瀕死の重傷。由紀・義雄・亜紀は死亡。その殺害を依頼したのは由紀から虐待を受けていた娘:美咲とタエだった。
情報屋「家族より自分。自分さえ良ければの世の中」
怨み屋「でも血は水より濃い。だから余計憎しみ合うのよ」
【感想】◇
怨み屋本舗 最終回から1年3ヶ月。2008年正月のスペシャルとして続編が放送(3月20日再放送)された。と言っても最終回で残った疑問(怨み屋の正体や親の死の謎)が解明される展開ではなく、1エピソードに過ぎなかった。今後の展開に含みを持たせるつもりなのか、そもそも物語の決着はないのか。
キャストに変更はなく、出てくる人物がそれぞれに懐かしい決めゼリフ「然るべく」や「俺が調べられないのはあんたの経歴だけ」などを発してくれて嬉しい。ただやはり懐かしさのまま進展もなく終わってしまったのは少々残念。
メインとなったモンスターファミリー:白川家の設定は、家族構成や家族殺し、犯人の特徴などは現実に奈良と山口と長崎で起きた事件のごちゃまぜ。サブのパチンコ熱中症もちょっと前から話題になっている死亡事故パターン。それを合わせ技にし、怨み屋と絡めて事を進めて行く脚本は難しそうだが割と上手く描けていた。
事故死や爆発のCGがいかにも安っぽい、ひきこもりのタカヒコを外に出す方法のいい加減さ、シュウ→ユウヤ→タカヒコの車の渡し方に御都合主義が…など粗い部分もあるが。あと、里奈やシュウの使われ方の下手さ、十二月田の余計さは最終回記事での記述から変化なし。主軸の木下あゆ美・寺島進・きたろうはしっかりと演技。竹山隆範のオタク描写はハマり過ぎてて怖い。カンニング竹山とマエケンのシーンは画的にヤバい(笑
パチンコ熱中症を利用して無実で邪魔な子を消し保険金も手に入れたミドリが、狭い車中で熱さに苦しみながら死んだ子と同様に、狭い溶鉱炉で熱いパチンコ玉の下敷きで死ぬのは、因果応報が効いてて筋の通ったエピソードだった。殺しにも理と知性を感じさせる怨み屋の鮮やかさがある。
社会的地位があり、道徳や規範が期待されている医師家系の白川家は、そうした体裁に拘るあまりに家庭内に余裕がない。医師に向いていない・やりたくないタカヒコは逃げ場を失い、ひきこもりの末に凶行に走る。
対照的に由紀は医師になり医師の夫とも結婚して上手くいっているようにも見えるが、幸一郎から虐待されて育ったために、娘:美咲を同じ方法で育てようとしている。その方法以外ないと思い込んでいるため、タカヒコをバカに育てたタエを無能扱いしている。
由紀とタカヒコの生育を見てきたタエは、夫:幸一郎の方針に疑問を持っていたが、口出しできずにいた。だが美咲への虐待を見て、医師に進むかどうかは本人の意思で決めさせるのが一番だと確信し、この孫だけは救おうと決意する。
それは由紀とタカヒコの状態を見ていた美咲も同様で、外(社会)の視線と内(家庭)の抑圧から開放されるために、白川家を爆発させ、名前を捨てて新たな土地で生きる事を怨み屋に依頼した。
タエの殺害と由紀の殺害がほぼ同時に依頼されるという展開だったが、名前を捨てさせる事でどちらも達成する怨み屋。憎しみ合い殺し合う家族の中、子供が真の依頼者でそちらの命を助ける解決法に救いを見出している。「必要悪」と言い切っていた怨み屋だったが、若干の優しさも持ち合わせている。
さらに、爆発に寄木警部を巻き込ませるのは、最終回のオチで寄木殺害を依頼されていたから、という経緯もあったのか。それでも死なない寄木に正義への執念が感じられる。家族や社会崩壊の世にあって首の皮一枚で繋がっている正義だとしても。
最終回記事
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