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【あらすじ】寄木警部(きたろう)に突如として襲い掛かった野田巡査(マイク・ハン)だが、頭を殴られ死んでしまう。正当防衛だったが野田の母:文枝(原知佐子)は霊安室で寄木を「人殺し」と罵る。寄木にGPS携帯が届き、寄木はそこへ向かう。警視監:権藤徳男(寺田農)は怨み屋(木下あゆ美)を廃工場へ運ぶ。そこには渋谷南署署長:宮野(池内万作)によって拉致された吉村順蔵(左右田一平)と十二月田猛臣(前田健)もいた。3人はSM女王様:高森はづき(夏生ゆうな)と同様、麻薬中毒死として処理するシナリオ。
情報屋(寺島進)、杉河里奈(葵)、シュウ(竹財輝之助)は車から廃工場を見張る。権藤は宮野を刺し殺す。麻薬横流しを3人に見つかり殺されたとの追加シナリオ。中毒死したと思われた3人だが、実は注射器の中身を十二月田が摩り替えていた。縄抜けした怨み屋が権藤を問い詰める。怨み屋の隠しカメラの宮野殺害映像も情報屋によって全国配信。銃を向ける権藤。
里奈「上に立つ人間が悪い事ばっかりしてたんじゃ、世の中よくなりっこない」
十二月田「事件が起こる度にマンガやアニメのせいにされ、僕達オタクは迷惑してるんだ」
情報屋が発煙筒を焚き、逃げる一同。寄木が擦れ違いで到着し権藤を逮捕。
情報屋は里奈に「振り返るな、前を向いて生きていけ。お前はちゃんとした大人になれ」
工場屋上に怨み屋の姿を見つけた寄木。登ってみると今度は下に怨み屋。携帯で話す2人。
「怨みのある所に私はいる」
「怨みなんて、晴らしても晴れるもんじゃねー。お前のやってる事は社会の正義に反する」
「この世の中のどこに正義があるって言うの?私はあなたの手の届かない闇の中にいる」
消えた怨み屋。寄木は怨み屋の首飾りを拾う。それは新城聖美がしていたのと同じ物だった。
新城一家殺害事件調書にあった、新城聖美の収容先:恵港精神医療センター。院長:根本晴子(今本洋子)を訪ねる寄木。何と聖美は14年経った今もここにいるという。聖美と面会する寄木。少女のままの精神を持つ聖美。海を見て、見えない青い蝶に喜ぶ聖美。
「怨み屋は夢かうつつか…」
野田の墓参りをする寄木。それを陰から見る文枝。怨み屋から名刺を渡される。
文枝「息子を殺したあの警官を抹殺して下さい」
怨み屋「しかるべく」
【感想】◇
ひき逃げ事件の証拠隠滅に失敗した権藤は、目撃者を宮野署長に拉致させ、関係者も消そうと考える。だが、怨み屋はお見通しで情報屋達と共に大逆転。警察官僚の腐敗を暴いた一同だったが、寄木は怨み屋追及を諦めない。怨み屋の身元を追った寄木は当てが外れ振り出しに。そんな寄木に怨みが向けられて終幕。
前回同様、登場人物達は単純化され、さらに今回はセリフでステレオタイプな主張を言ってしまうオマケ付き。そんな分かり易すぎる答えとは裏腹に、怨み屋の正体や寄木の運命は曖昧で、新城一家殺しの犯人も分からず仕舞い。このドラマも続編ありきの最後なのか。まだ続いている原作への配慮という面では上手い結末だと評価できるが。
野田が寄木を襲った動機が希薄で、前回書いたように調書持ち出しと絡めた方が良かったのでは。そしてあっけなく死ぬ展開も淡白。怨みを買う結末のためだけの死か。権藤は自分のシナリオを説明してばかりで、悪者というより解説者のようで物足りなかった。配信映像を見て笑う大衆。殺害映像でも笑う軽さが引っ掛かる。里奈・十二月田や情報屋のセリフは直球すぎて、別にどうこう思う所も無い。
怨み屋と寄木の会話は少し味があった。2人は表と裏。正義があると思っている寄木と、正義なんてどこにもないと思っている怨み屋。寄木が正義を信じる限り、怨み屋を捕まえられない。
新城聖美が病院で生きているとの設定は意外性があった。精神を病んでいるように見える聖美に、怨み屋の追及を止める寄木。ここのきたろうの演技は上手かった。怨み屋とは何者か?聖美とは別人との解釈も可能だが、怨み屋の変身能力からして、やはり聖美が怨み屋だと思う。根元院長らも味方につけての。一家殺害から14年後との設定が少々気になる所。時効まであと1年。犯人逮捕の可能性はまだある訳だ。
文枝が寄木に抹殺を依頼するのは、単にオチを付けるためのものであって、この後どうなるんだー!という気持ちにまではならない。続編があるならある、無いなら無いで別にどちらでも構わないな…というのが率直な感想。
【総評】○
限りなく◇評価に近い甘めの○評価。シリーズ前半の面白さと役者の演技を最大限に評価してのもの。
◇評価だったが思い返せば、#1が一番凝った展開で面白かったかもしれない。因果応報、工作員の使い方、登場人物の新鮮味、斬新なカメラワーク。インパクトはかなりあった。
#2は裏社会の掟をしっかりと貫いた所が良かった。
#3は本来、杉河里奈役の葵が注目を浴びるはずの話だったが、ゲストである松沢恵美子役の渡瀬美遊のリアルなHシーンが視聴者に強烈な印象を与えw、同じく体当り演技した葵は鳴かず飛ばず。
#4は放送コードとの闘いを思わせるギリギリのレイプシーンが話題に。実は木下あゆ美と寺島進の掛け合いの面白さに注目して欲しかったような。
#5で十二月田が仲間入り。執筆者はこの十二月田が出てから急速に面白くなくなったと感じているが(リンダちゃんも寺島進が散歩させた方が面白そうだし)、ネットでの評判は原作と同じく高かったようで…。
#6は木下あゆ美と鈴木砂羽の悪女対決。後述するがこの話の展開はある意味頂点に達しており、後半の失速の原点ともいえる回だった。
#7はこれまでの回での手法との重複ばかりで、楽しめる要素に乏しい。特に#6との違いがなく一気にグレードダウン。また、#5・#6が「黒い太陽」と放送時間が重なったせいで、一話完結の怨み屋本舗を捨て、そちらに走った視聴者も多かった模様。
#8は後半で唯一評価できた話。怨み屋の正義感を言い当てたような五反野役の柄本佑。朴とつな青年だからこその良さが出ていた。
#9辺りから、一話ごとの面白さよりも、怨み屋の過去や正体に焦点を少しづつ移行している感じがした。離れた視聴者の若干の戻りもあったようで、この策はそれなりに成功だったと言える。
#10は怨み屋の正体が判る重要な回。シナリオも凝った作りだったが、視点は怨み屋よりも寄木に移行し、主役交代を思わせた。
#11はその寄木役のきたろうの眼光の鋭さが素晴らしく、きたろうなのに怖い、きたろうなのに格好良いと思ってしまった(笑)。木下あゆ美もSM女王になって頑張ってたが。
そして最終回。社会に対して物申す姿勢のドラマをやった点は高評価したい。手持ちカメラで臨場感を出そうとの演出意図を貫いた点も。あとは、木下あゆ美の成長ぶり、寺島進のシリーズ前半での曲者ぶり、きたろうのシリーズ終盤の輝きは見物だった。対して、里奈やシュウの使われ方の下手さ、引いてしまう十二月田の余計さは最後まで解消されず。シリーズ中盤のネタ切れをも思わせる失速は残念だった。
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