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【あらすじ】松平容保(かたもり)は文久2(1862)年に京都守護職に就任し、幕府に反発する長州藩を武力で封じる。新撰組なども配下に置き、元治元(1864)年の禁門の変で薩摩藩と共に長州藩を破る。連日徹夜で御所を警護した容保は病に倒れるが、孝明天皇から絶大な信頼を得た。
しかし孝明天皇が慶応2(1866)年に崩御すると薩摩藩は長州藩と同盟を結び、慶応3年には新政府を樹立して徳川家に官位と領地返上を求めた。徳川慶喜は対決姿勢を強め、慶応4(1868)年の鳥羽伏見の戦いに至るが、錦の御旗を前に朝敵となった事に動転。徹底抗戦の容保の意見に耳を貸さず、大坂城から江戸へ逃げ帰ってしまう。
一ヶ月後、会津へ戻った容保は恭順謹慎する慶喜に倣い、藩主の座を息子に譲って謹慎。朝廷に慶喜の助命嘆願書を書き続けた。4月に江戸城無血開城がなされると、新政府は容保を「朝敵のみならず徳川家にも不忠の逆賊」として討伐戦を開始。会津に同情する東北各藩は奥羽越列藩同盟を結成し新政府軍と戦闘状態に入った。
8月21日、母成峠を突破した新政府軍は一気に会津城下に迫り、迎撃した容保も城へ退却。藩士の家族は足手まといになるとして自刃者多数。29日、会津城から出撃した佐川官兵衛ら1000名の反撃が失敗、早くも9月には食料不足。8日には元号が「明治」となり、14日からの新政府軍の総攻撃で、アームストロング砲により城に砲弾が一日に2500発撃ち込まれた。
東北各藩も降伏し、会津に続々と新政府軍が集まる中、明治元(1868)9月21日に容保は降伏の意思を示し、翌22日に会津藩は降伏。2500人が犠牲となり逆賊の汚名も晴らせぬ敗北だった。容保は晩年を東京で過ごし、朝廷への反逆の罪を許され、明治26(1893)年に59歳で死去。
【感想】◇
戊辰戦争の中で最大の激戦:会津戦争の主役であった松平容保が降伏を決断した時を描く。徳川家と朝廷への忠誠で働いた容保が、朝敵となって逆賊と呼ばれ、徹底抗戦も虚しく多数の民の犠牲を出して終わった会津戦争。
会津藩士の「義に死すとも不義に生きず」の精神で、正義か不正義かは後世の判断を仰ぎたいとして始めた会津戦争だったが、結果として武士よりもその家族や町人の方に多数の死者が出た。
勝てば官軍で押した薩長が、明治以降の歴史を作って会津を逆賊としてきたわけだが、会津側から見た今回は、義を重んじ義を貫いた容保ら会津藩士の良さが前面に出てくる。そしてその戦いの犠牲になる民…というのが構図か。
容保の悲劇は、忠誠と義のズレによるものという気がしてくる。徳川家への忠誠で財政難の懸念を他所に京都守護職となった容保。当時は公武合体政策であるから朝廷への忠誠も誓い、孝明天皇からも信頼される。だが天皇が代わり公武合体も失敗した潮目を見逃した。忠誠の対象であった朝廷そのものが方針転換したのだ。
徳川慶喜が薩長と当初は対決姿勢であり、徳川への忠誠から薩長と戦闘に入る。しかし慶喜もまた、江戸へ逃げ帰って恭順謹慎へと方針転換。徹底抗戦を主張していた容保は取り残され、逆賊として討伐の対象となってしまう。
忠誠を尽くす義によって働いていた容保だったが、その対象である朝廷・幕府ともに変わってしまった。朝廷は薩長に欺かれていると考え、徳川家を守る家訓のある会津藩としては、その変化に対応できない。求められていない忠誠が容保に残った。
一方の薩長は、容保の斬首・城と領地の没収という事実上の無条件降伏の方針で臨み、会津に新たな義を生じさせた。上記の降伏案は会津に限らずどこの藩でも飲めない条件である。こんな案を突き付ける薩長よりも、我が藩に義があると会津藩士が徹底抗戦に傾くのは当然だ。
一時は奥羽越列藩同盟で新政府軍と互角の戦いを繰り広げるが、会津の義に同情して味方となった各藩も、実際に戦闘をするとその犠牲を無視できない。同盟は瓦解し、会津城は包囲される。徳川家・朝廷といった上への忠誠で、会津から離れた京都で戦った時とは違う…と容保も気付く。
城下は火に包まれ、砲撃で老人・子供・女性から犠牲者が出ていく惨状を目の当たりにした。さらに藩士も食料を得るために敵陣に乗り込むなど、下の者の苦境を知り嗚咽した容保。上への忠義では済まないのが自分の城下・城の戦闘だった。
松平アナが、容保の決断は遅かったのでは?と問うていたが、この価値観・人生観の転換に時間が掛かったのだと思う。容保はこうして明治の世で戦没者追悼をするが、生き残った藩士らはその時歴史が動いた:西南戦争で「戊辰の仇!」と叫び薩摩陣地に突撃する抜刀隊になった。薩長と会津の禍根は今でも強く残っている。
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