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【あらすじ】天正10(1582)年6月2日の本能寺の変で織田信長が明智光秀に討たれ、羽柴秀吉は毛利と和睦して11日には大坂へ戻る。一方、上杉と戦う柴田勝家軍では、すぐ戻るよう進言する佐久間盛政と、追撃を恐れる前田利家の意見が割れ、13日の山崎の戦いに間に合わず。
6月27日の清州会議で勝家は、信長の後継者に三男:信孝を推すが、秀吉は山崎で共に戦った丹羽長秀・池田恒興を味方に付け、孫の三法師を後継者に決定。加領も秀吉が+70万石に対し勝家は+6万石に留まった。勝家は信長の妹:お市の方と結婚し織田家を守ろうとしたが、秀吉は独断で信長の葬儀を行い勝家は出席できなかった。
勝家の北ノ庄城が雪に覆われている間に、秀吉は長浜・岐阜城を攻め、信孝から三法師を奪う。秀吉との戦いを決意した勝家は、信孝・滝川一益と組み、足利義昭を仲介者として伊達正宗・長宗我部元親・毛利輝元と連携、反秀吉包囲網を敷いた。そして雪解けを待たず天正11(1583)年2月28日に越前を出発、3月12日に3万の軍勢を賤ヶ岳(しずがたけ)に布陣。
17日には秀吉が5万で賤ヶ岳に着陣し堅固な柵・堀・土塁を築いた。4月に入ってもこれを突破できない勝家だったが、信孝・滝川一益が挙兵し秀吉は20日に2万を率いて大垣へ。この機に佐久間盛政4千が奇襲を敢行し、賤ヶ岳の裏手に回る事に成功。だが勝家は秀吉の早さを恐れて動かず、予想どおり秀吉は10時間で戻り、盛政は孤立。
4月21日深夜、盛政の支援部隊であった前田利家が、突如として戦線離脱したのを契機に勝家軍では離反が相次ぎ、賤ヶ岳の戦いに敗れた勝家は、24日に北ノ庄城でお市の方と自害。
【感想】△
信長の死後、露骨に天下取りに動く羽柴秀吉を快く思わず、何としても織田家を盛り立てて守ろうとした柴田勝家。後継者争いは賤ヶ岳で両軍が激突し、勝った秀吉が天下統一への道を歩み出した賤ヶ岳の戦い。
新資料の公開で賤ヶ岳の戦いを新たな切り口で描こうとした今回だったが、新資料は今まで云われて来た説を裏付けただけで、何ら新しい面が感じられなかった。勝家は独断の秀吉に対し合議制を理想とし、水面下の政治工作で対立。そして賤ヶ岳の戦いで信孝・滝川一益と連携するが、秀吉の常識を超えた速さの前に敗北したと。
常識的にはNo.1の家臣だった勝家が後継者になるはずだったが、戦果を上げた秀吉は強引に主導権を握ろうとする。そして勝家本人には自分が後継者になるよりも、織田家を守る意志が強かった。それは柴田家と織田家が斯波高経を祖先とする同族であったからとの事。
織田家の誰が後継者になるかを話し合うつもりで勝家は清州会議に臨んだが、秀吉は後継者選びを利用して、実質的には秀吉が後継者か否かに論点をすり替えた。合議制を理想とする勝家だったが、清州会議では事前の根回しで多数を得た秀吉に言い負かされた。
戦場でも合議にこだわる勝家は、盛政と利家の意見対立をまとめられずに山崎の戦いに間に合わず。賤ヶ岳では前日の軍議で盛政の奇襲を容認しておきながら利家の真意を読めず、要の部分に秀吉の親友の利家を配置して敗北を招いた。
自ら理想とする合議制を平時でも戦場でも使いこなせなかった勝家。合議の対極にある独断専攻をも、平時と戦場で抑えられなかった。
勝手に信長の葬儀を行うなど、後継者を自認して動く秀吉の素早さに苦戦した勝家。水面下で包囲網を形成して戦場で一気に叩く作戦で賤ヶ岳に乗り込んだ。皆でまとまってとの姿勢は迅速な秀吉とは対極にある。その織田信孝・滝川一益との連携で上手くいくかに思えた。
だが、勝家軍の内部にも独断専攻型の佐久間盛政がいた。この勇猛果敢の塊のような盛政を勝家は抑えられなかった。信孝・一益と共に秀吉を叩くのが勝家の最終目標だったので、急遽決まった盛政の奇襲には曖昧な指示しか出せなかった。
勝家の一貫性のなさで利家の、親友の秀吉とは戦いたくない厭戦気分を増幅させ不安にさせた。清州会議の合議に納得しなかったから秀吉と対決した勝家だったのに、この前日の軍議に納得していない利家の気持ちを推し量る事が出来なかった。
同じ独断専攻の盛政と秀吉の激突は、4千しかいない盛政が負けるのは目に見えていた。勝家が動いても3万と5万で分が悪い。勝家が織田信孝・滝川一益との連携に拘った理由もここにあったはずだが、その戦略が崩れて勝ち馬に乗った利家と、常識を超えた秀吉の速さもあって敢えなく敗北した。
平時と戦場での合議制と、敵と味方の独断専攻で死に至った勝家。別に勝家が無能だったわけではない。当時の武士の常識では勝家のやり方で平時も治まり、戦場でも収まったはずなのに、性格も出世も戦術も常識外れな秀吉の力がずば抜けていただけ。
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