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【あらすじ】「人生の間違い探しをしたらどうです?」
間違い探しをする生徒達に糸色望:絶望先生は提案。人生は間違いだらけ。人生に正解はない。つまり人生には間違いしかない。先生の間違いは、この世に生まれてきた事、あの親の子に生まれてきた事、この時代に生まれてきた事、受信料を銀行引き落しにしてしまった事、このクラスの担任になった事。
生徒の方も、この学校に入学した事、2のへ組になった事、私が担任になった事が間違いだからお互い様の間違い合戦。しかし、風浦可符香は
「間違い探しの正解って変な話。間違いは発覚した時点で正解になる」
と指摘。インサイダー取引、インフル予防接種、ゆとり教育、横文字都市名、干拓事業、年金制度、自首する人…など、全て正解だと言う。糸色の隠し子?が発覚するがそれも正解。
隠し子でなく兄:糸色縁の子だった糸色交(まじる)。絶望先生は証明問題から、まずは本人の証明から始めるべきと考える。学生証を提示した木津千里を偽造だとして欠席に。証明写真は隠し撮りが本当のものだと力説。日塔奈美は一般論の受け答えから本人証明。(不法入国の)関内太郎は出身をスラスラ答えて本人証明。
先生の証明は?なりすまし授業?女子高生と話したい変態?などの疑惑を突き付けられた絶望先生。死を持って潔白を証明しようとするが、生徒達が思う本当の先生のイラストを見せられ自我崩壊。逃亡し海に溺れ、異国の海岸に打ち上げられて記憶喪失。
【感想】○
人間の根幹部分に関る問題を、哲学的なギャグに持っていく展開。途中で先が読めてしまう部分もあったが、AパートとBパートは密接にリンクしていて、A→Bで深まったように見えるだけでなく、Bを終えてAに戻って見るとさらに深い意味があるような第9話。
人生に正解はないとは、誰にでも当てはまる正解がないとの意味で、自分にとっての正解を探していくのが人生だという事。だからその途上でたくさんの間違いを犯す。絶望先生の主張は短絡的かつ極端で、正解がない=間違いだけ、生まれた時点で間違い、とするもの。
そんな自分に関る事になった生徒達も間違っている。糸色の自分否定は関りのある他人の否定に向かい、世間、日本、世界の否定に向かいかねない。
一方の風浦は、間違いは発覚すれば正解と主張。事件や犯罪、政策や制度の間違いも全肯定して赦しを与える。間違いが公になったら正解。間違いを犯した個人は救われる。誰にでも当てはまる正解はないから、間違いは誰にでもある。
そんな間違いだらけの世界の影響を個々人は受けざるを得ない。風浦の全肯定は身近でない他人をも赦す行為となり、それに感銘を受けた犯罪者は自首。メディアに凶悪犯として報じられようとも、風浦を信じた犯罪者は世間からの赦しに希望を見出し、悔い改めて更正の第一歩を踏み出すかのようにパトカーに乗る。
先生と生徒と教室。この3つで授業が成立するのは何故なのか。本人の証明も出来ていないのに教室で授業をする事は正しいのか。学生が学生である証しとは何か。絶望先生の追及が始まる。
教室に居て、自分が生徒だと主張しても、先生がそれを認めないなら授業は出来ない。逆に、教室に居て、自分が先生だと主張しても、生徒がそれを認めないなら授業は出来ない。生徒を追い詰めた絶望先生は同じ論理で窮地に陥る。
他方、カウンセリング室の新井知恵先生と、学校に引きこもっている小森霧。居眠りし、お茶を飲み、カップを落として割り、小森の膝枕で眠る新井先生。どこかの教室に居て、先生とは思えない行動をして、制服もハンガーに掛けている生徒と繰り広げられる光景。
先生と生徒と教室。この3つで授業も成立していない新井と小森。だが小森は眠る新井の頭を撫で、その後は入れ替わって新井が眠る小森の頭を撫でる。これも立派な授業かもしれない。
さらに糸色は、生徒が思い描く先生像を渡される。それは「私は私」と自分で思っていた絶望先生とは似ても似つかないものだった。そのギャップの大きさにショックを受けて糸色のアイデンティティーは崩壊。教室から逃亡するしかない。
糸色は先生と生徒と教室のどれもを失う。異国に流れついての記憶喪失はそんな糸色を象徴する描写。自分が糸色先生だとも認識されず、自分の生徒も居ない、当然教室でもない地で糸色は何を思うのか。
「母さん…」その呟きは、生まれた時点で間違いと言っていた糸色を否定している。この世に生まれてきた事、あの親の子に生まれてきた事、この時代に生まれてきた事は、間違いだと言って消し去れるものではなかったのだ。
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