テレビ批評的視聴記 - 2007/07/15

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2007年07月15日(Sun)▲ページの先頭へ
さよなら絶望先生(新番組)

【あらすじ】春。卯月。満開の桜。首を吊る男性。
風浦可符香(ふうら かふか)は男性を引っ張り降ろそうとして余計に首を締める。
男性「死んだらどうする!」

風浦は解釈する。桃色ガブリエルを筆頭とする桜の木の下で自殺なんてありえない。この男性は桃色若社長(桜の木)にぶら下がっていたから「桃色係長」。男性は過去の風浦の両親のように身長を伸ばそうとしていただけ。

物事をなんでもネガティブにしかとれない「男」
物事をなんでもポジティブにしかとれない「少女」
出会ってはいけない二人が出会ってしまった…

ニのへ組の新任教師。それは朝の男性:桃色係長。



(いとしき のぞむ)という字画の悪い名前。横書きすると糸色望。絶望先生。カウンセリング室の新井知恵先生の所へ頻繁に通う糸色。毛にしか見えない東北野球チーム帽。そう捉える自分の汚い心に「絶望した」

「今朝も中央線が遅れましたね」
進路希望調査。糸色は将来絶望的だと思う進路を書かせる“進路絶望調査”をすると宣言。
「希望がどれほどアナクロで、絶望がどれほどリアルか知って下さい」
生徒は東大・セリエA・ミュージシャン・アイドルなどと回答。
「絶望的だ!希望とは名ばかり。その実態は絶望なのです」

しかし、風浦は努力すれば可能性はあると反論。後に職員室にて教頭から生徒の志の高さを誉められる糸色。唯一、要注意人物として風浦を指摘される。風浦は進路希望調査に神・未来人・ポロロッカ星人と回答していた。

【感想】◇
「アニメを観る時は 部屋を明るく 心は暗く」
画面後ろの黒板の書き文字小ネタ。そんなテンションで観るとこの番組は笑えるのかもしれない。当ブログでのアニメ記事は昨年末のN・H・Kにようこそ!(最終回)から半年以上も経っている。毎度のお断りだが原作コミックスは知らない。久米田康治の前作「かってに改蔵」も知らない。この新房監督とスタッフの作ってきた「ぱにぽにだっしゅ!」「ネギま!?」も観ていない。そんな何も知らないバカ視点で書いていく。

作画は千代紙を貼り付けたような。でも奥行も出ている不思議な感じ。時代背景は昭和初期のようなレトロ感がありつつ、でも色合いはモノクロでなく鮮やかな配色。音楽は映画を意識した壮大さから単純なものまで。レトロと今がマッチしていて、かなりレベルが高い。

すぐ絶望して死のうとするが、本当に死ぬ気は無さそうな糸色。自殺癖というのか。それで特定の誰かの気を引こうという意図もないから本当に死んでしまいそうだが、死が迫る(自分で迫らせる)事で生きている実感を得て、今まで生き延びてきたのかもしれない。もしくは、もともと簡単に死のうとする軽い動機だった分、自殺のポーズをとる事で満足するのかもしれない。

一方、目の前の現実を自分勝手に解釈する風浦。父親が首吊りを何度も図ったのを、身長を伸ばそうとしていたと解釈したのが原点。ポジティブ思考で乗り切って来た。何だか糸色よりも風浦の方が精神的には病んでるように思える。

桜の木に命名したり桃色係長と呼んで喜んでいる。最後にはポロロッカ星人。独り世界に浸る風浦に、実は友達が居ないからでは?と余計な心配をしてしまう。糸色と風浦は表裏一体でともに危うい存在。議論は平行線を辿るが、二本あるから平行線。一本が無くなるともう一本も存立しえない。

進路希望調査の正体が絶望だと指摘する糸色。けっこう鋭い所を突いている。絶望的な希望でしかない叶わぬ夢。小中高生への将来なりたい職業調査は毎年行われているが、挙がってくるのは、メディアに影響されたものが多い。メディアに取り上げられる職業ばかり(最近急上昇の「お笑い芸人」なんて、テレビのお笑いブームの影響下ならでは)。メディアの虚像に希望を委ねなくてもいい。

進路希望の「希望」と、希望と絶望の「希望」は、少々意味合いが違うのでは…とも思ったが、それは野暮か。
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