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【あらすじ】駿府の吉岡道場に乗り込んだ柳生十兵衛(村上弘明)は、決起に参加しようとする浪人達を斬り由比正雪(和泉元彌)を追い詰める。江戸の張孔堂は柳生又十郎(森岡豊)らに取り囲まれ、丸橋忠弥(照英)や後藤陣十郎(細見大輔)が撃って出るも捕縛される。
頼宣の御墨付きで形勢逆転を狙う正雪だったが、宿屋も取り囲まれ、十兵衛の介錯によって自刃。紀州藩主:徳川頼宣(西村雅彦)は品川に到着したが、松平伊豆守信綱(西郷輝彦)が出迎え、決起の失敗と決起日を正雪に騙されていたと知る。
丸橋忠弥は磔処刑の直前に降ろされ、約束どおり十兵衛と勝負。十兵衛に斬られて波打ち際に倒れる忠弥。一方、頼宣には咎めは無かったものの、政事への口出しを禁じられる。十兵衛は家督を又十郎に譲り、自分は死んだままにしてもらう。
紀州に母:りん(富司純子)を迎えに行った十兵衛は剣を置き、松下小源太として生きると誓う。慶安5年春、妊娠した妻:るい(牧瀬里穂)らと共に、柳生の里で穏やかに暮らす十兵衛だった。
「剣を極めようと努めた先に見つけた、生涯の答えでござる」
【感想】△
ここ2回ほどの破綻し切った展開など忘れて視聴してみれば、物語の終わりとして無難にまとめたように思える回だった。代わりに意外性も無く終わったが。
結局、初回で穏やかに暮らしていた生活に戻っただけで、罪を背負って生きていくという悲壮感もなく、子供まで出来て十兵衛達だけが幸せなのね。剣で犯した罪を背負うなら剣を捨てちゃだめでしょ。
敵役の由比正雪は剣術が不得手でも、最終回では対峙しなければならない。武術は丸橋との勝負の約束がある。でも2人は駿府と江戸で離れている…という難題も、今回は瞬間移動などせずに時間差を置いて何とかクリアしていた。
唯一、やや意外にも思えたのは、頼宣が伊豆守の出迎えで観念した所。知らぬ存ぜぬで通し、御墨付きも偽物だった事を盾に、嫌疑は無礼千万だとでも騒ぐのかと思ったが。これで紀州藩存続が決まった事にしないと面白くない。駄々っ子キャラで手がつけられない頼宣だから逆に存続したという風に。しおらしく伊豆守の決定を受け入れる頼宣は性格が違う。頼宣のキャラは最後までブレていた。
【総評】×
失敗作。由比正雪の乱(慶安事件)と柳生十兵衛の母との和解を二本柱にした今シリーズだったが、一本一本の柱が腐ってた上に二本柱の土台も別々で絡み合わず、何の構造物も支えられずに倒壊した印象。
あと、このドラマの題名「最後の戦い」だと勘違いしてる人多数。単純に打ち間違いと考えられるが、視聴者としては十兵衛の「闘い」でなく「戦い」を見たかったのかなとも思えてくる。
村上十兵衛は島原の乱で終わったと思い込むしかない。パート4やスペシャルでの復活を望む声もあるらしいが、もう一度パート1や2を見返した方が遥かに有益。でもここでは今シリーズを吹っ切るためにも振り返ってみる。
#1○は十兵衛の過去から現在までが明かされる回。再び政事に巻き込まれる理由が母の存命と絡み合っていて、この初回を見る限りでは期待を持たせるものだった。
#2◇は浪人の困窮を描き、武士を救えない治世への疑問を提示した回。十兵衛が江戸を発つ理由として母との再会が掲げられていた。
#3◇は敵役である由比正雪の生い立ちと人格形成を解明した回。身分の違いを越えるために努力した正雪だったが、武士が武士らしく生きられる世を作るという理想は、自己矛盾を来している。そこが歪んだ思想の元凶ではないかとも思う。
#4△は父と子・主君と家臣がテーマだったが、十兵衛が話と絡まないし、そうなっては当然、母との再会もどこへやら。頼宣はブレ、正雪は私怨で動き、丸橋も煮え切らない。
#5△は柳生に迎え入れられない笙と兵衛の境遇を重ね合わせた回。ここで笙の顛末まで描いてしまったので、後の兵衛の物語が何ら意味を持たないものになった。
#6×は十兵衛の迷いの極地を描く。同時に物語も迷走してしまい、この回の存在意義がわからない。母との誤解も妻によって解消され、柱の一本が腐り切った。
#7×は母との再会と決起という二本柱を持って来たものの、不自然・不可解なシーンの連続で、展開も人物の行動も、キャラ設定に至るまで間違っていると思えた回だった。暗澹たる気分。
そして最終回△。大団円でもなく、主人公だけが幸せになる おめでたい結末。父の政事に疑問を持ちながら、幕府の思惑どおりに動いてしまい、迷いながらも悪とされる人々を斬り、これで最後と勝手に決め、家族の幸せという器で満足し、それをドラマで伝える事で普遍化した村上十兵衛。それはそれは良かったね。
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前作:島原の乱のレビュー
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