テレビ批評的視聴記 - 2007/05/30

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2007年05月30日(Wed)▲ページの先頭へ
柳生十兵衛七番勝負 最後の闘い #7

【あらすじ】家綱の将軍宣下が8月18日と決定し、徳川頼宣(西村雅彦)は決起日を7月24日と定める。柳生十兵衛(村上弘明)は紀州和歌山城入りし、頼宣と面会。由比正雪(和泉元彌)との関係を問い質すがかわされる。自分の御墨付きも偽物だと言い張る頼宣。十兵衛は母:りん(富司純子)と再会。妻:るい(牧瀬里穂)の説明によって、互いに誤解していたのだと知る。

泣いて詫びるりんだったが、松下兵衛(大沢樹生)の恨みは消えず、兵衛は十兵衛に襲い掛かる。間に入った佐山寛平(苅谷俊介)が斬られ、十兵衛は小刀を抜いて兵衛を突き刺す。
兵衛「母上、私は何者だったのです?柳生の男になりたかった」
十兵衛「お前は柳生の男だ。俺の弟の柳生兵衛だ」

頼宣は船で江戸に向かい、十兵衛も決起を防ぐため江戸に向かう。同時にこれが最後の務めだとるいに誓う。十兵衛を襲おうとした国家老:鈴村播磨(大森啓嗣郎)を木村助九郎(江原真二郎)が止める。決起の万一の失敗に備え、お家安泰のため柳生に恩を売っておくべきだと。

江戸の張孔堂では正雪が公儀と頼宣の裏を掻いて23日決起の準備を進めていた。江戸を火の海にする計画を聞いた丸橋忠弥(照英)は密かに十兵衛に相談。正雪を斬ろうと戻るが、やはり斬れず、十兵衛に決起日を教えて袂を別つ。23日決起を伝え聞いた松平伊豆守信綱(西郷輝彦)は厳戒体制を急がせる。

【感想】×
母との和解、寛平と兵衛の死、決起を巡る情報の攻防、正雪と十兵衛のどちらが速いか対決で最終回へ。終盤なので色々と盛り上がりの要素を詰め込んであるものの、一つ一つに不自然な点が目立つ上に、母方との再会と決起との闘いという二本柱が何ら噛み合っていない。

柳生十兵衛はようやく紀州に辿り着き、頼宣と対峙。#4で御墨付きという証拠も握っているのに言葉であっさりとかわされる。そして母というニンジンに釣られて引き下がる弱腰。

母との再会と誤解の解消は感動要素となるべきなのに、視聴者には既に前回、るいによって誤解だったと判明しているので、りんと十兵衛のやり取りはおさらいになってしまい、感動も何も沸き起こらない。

兵衛との対決も、#5記事で指摘したとおり笙の運命と同じで、これもまた繰り返しとなる。しかもこの回で十兵衛は兵衛の存在を知ったのに、なぜか今回、弟がいた事に衝撃を受けていたのも不可解。

寛平の死に際も拙い演出。寛平は十兵衛と母との仲を割いた原因を作ったとの自責の念があり(#3)、それは違うと慰められつつも、自分が斬られて因果応報なのだというような事を言って死ぬべき所を、十兵衛への感謝を述べるだけで息絶えてしまった。

木村助九郎は父:宗矩の配下であり、十兵衛と敵対と言って良いほど相対してもおかしくない存在として#5で登場したのに、何ら見せ場もなく従い、十兵衛を助ける行動にまで出ている。

由比正雪は、今まで何年も掛けて幕府転覆の準備をしてきたのに、突如として荒唐無稽な計画を口にし、正気を失った人物として描かれ始めた。十兵衛を斬る事にあれほど執着していたのに、そしてそれがことごとく失敗したのに、決起が近づくと十兵衛の事など気にも留めない。

丸橋忠弥の葛藤からくる優柔不断は、行動としては分からなくもないが、結局は正雪側に付いてしまう。つまり十兵衛よりも正雪の魅力が上回った事になり、迷い続けた十兵衛との共感よりも一本気な正雪の方が人は付き従う事を意味する。主人公:十兵衛の人間性やカリスマ性が丸橋によって否定されてしまっている。

そして今回、最も意味不明な流れは、最速の船で江戸に向かった頼宣より後に徒歩で出立した十兵衛が、江戸の丸橋と二度も会い、時間的猶予すら与えている点だ。頼宣はまだ駿府沖に居るのに。母との再会を頼宣が画策したのは、十兵衛を紀州に足止めする意図もあり、今回はその目的が達成され二本柱がようやく噛み合ったかに見えたが、全て無にする俊足十兵衛。都合良すぎ。
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前作:島原の乱のレビュー
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