テレビ批評的視聴記 - 2007/05/05

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2007年05月05日(Sat)▲ページの先頭へ
柳生十兵衛七番勝負 最後の闘い #4

【あらすじ】柳生十兵衛(村上弘明)と共に旅をしていた妻:るい(牧瀬里穂)は柳生の里へ戻る。江戸では家光(寺泉憲)の葬儀後、堀田と阿部も殉死。松平伊豆守信綱(西郷輝彦)は自害せず家綱の後見となる。しかし紀州藩主:徳川頼宣(西村雅彦)を次期将軍に推す声も高まり、家綱の将軍就任は一時見合わせとなる。

京への道中、十兵衛一行は織田家元家老・志賀清兵衛(石橋蓮司)と出会う。跡取りがなく取り潰しとなっていた丹波織田家が旗本として再興する事になり、息子に家老職を譲るため京に迎えに行くのだという。だが息子の志賀道場は軍学者:由比正雪(和泉元彌)の張孔堂となっていた。

清兵衛は息子:次三郎(浜田学)に御家再興を伝えるが、逆に正雪の新たな幕府の計画を聞かされる。元織田家家臣500人も正雪に加えさせるという次三郎。その話を十兵衛の指示で潜入し聞いていた西岡大次郎(高野八誠)は丸橋忠弥(照英)に追われながらも脱出。これで正雪の後ろ盾が頼宣だとの情報が幕府に露呈。だが伊豆守は下手に動くと危ういとして様子見。

その頼宣は、決起せずとも将軍になる芽が出てきたため、正雪を軽んじ始める。正雪は次三郎に清兵衛を斬るよう命じるが、次三郎は斬れない。代わりに十兵衛を斬るよう命じる正雪。出来なければ京都は加藤市右衛門に任せると伝える。翌朝、十兵衛と次三郎は決闘となるが、十兵衛は剣を置き、父と丹波に帰るよう説得を試みる。

構わず斬り掛かる次三郎との間に清兵衛が割って入る。だが清兵衛の必殺技が失敗して倒れると十兵衛は剣を抜く。そして次三郎を斬るのだった。頼宣は尾張の徳川義直の菩提を弔うとして尾張に出立。伊豆守は尾張で事が起きると予想し十兵衛を向かわせる。

【感想】△
禄高が激減(3万6000石から3000石)しても御家再興を喜ぶ父と、それでは家臣の身が立たぬと反対し、浪人を救済する武士の世を実現する由比正雪に与する事にした息子の悲劇。互いに互いを説得しようとして失敗し、剣での決着を防ぐため十兵衛が割って入ったが、結局は父の目の前で息子を斬る事になる。

主君第一の父:清兵衛と、家臣救済の息子:次三郎という題材で、父と子・主君と家臣がテーマとなっているのだが、そのどちらにも十兵衛が絡んで来ない所が拙すぎる。父と子ならば宗矩と十兵衛の関係を重ね合わせ、主君と家臣ならば家光と十兵衛のエピソードでも持って来るべきではなかったのか。

宗矩はとっくに死んでいるし、十兵衛は一匹狼だから絡めないとも言えるが、それでは本当に十兵衛がただの偶然の仲裁屋となってしまい、物語上の必要性が薄れてしまう。最後に十兵衛が決闘するのも、親子対決に巻き込まれただけになってしまう。そうではなく十兵衛が幕府の象徴だからとの理由で正雪が決闘の差し金をするのだが、そうなるとそれはそれで正雪がただ十兵衛を倒したいだけになってしまい、敵役正雪の人物像も薄っぺらいものになっている。

主君と家臣で考えると、十兵衛は旅を続ける事が家光への奉公だとの部分で辛うじて繋がる。一方、頼宣と正雪は主従関係ではなく、しかも互いに不信感を持ち始めたという部分が対比関係にはなっている。十兵衛と家光、頼宣と正雪は直接の主従ではないものの、その信頼関係は対照的に展開し始めている。

今回は殺陣のシーンも意味を持たせるという事はなく、父と子・そして十兵衛が混ざっての斬り合いという点のみが新味だった。妻:るいの願いに従って最初は剣を置いて説得を試みた十兵衛だったが、次三郎の覚悟を変えられず、清兵衛のピンチにやむなく剣を取る事になる。

真剣白刃取りの部分が斬新。振り下ろされる剣を両手で受け止める(実際にはほぼ不可能)技を繰り出すのではなく、振り下ろされて剣が一瞬止まった所で両手で挟む十兵衛。妙に現実的でハッとするシーンだった。

(…あんまり書いてはいけない事だが、今期時代劇はNHKの柳生十兵衛七番勝負よりもテレビ東京の藤沢周平時代劇「よろずや平四郎活人剣」の方が肩肘張らずに観られて、それでいて娯楽に走ってるわけでもなく、無理のない展開で良く出来てる。十兵衛、島原の乱で終わらせた方が良かったかも。そうじゃない、と思わせてくれるよう十兵衛の今後に期待したいが…)
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前作:島原の乱のレビュー
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