テレビ批評的視聴記 - 2007/03/08

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2007年03月08日(Thu)▲ページの先頭へ
しにがみのバラッド。#9

【あらすじ】町野源(眞島秀和)は恵子(小野麻亜矢)と離婚し、娘:彩(高坂真琴)を男手で育て始める。同僚:恩田(長澤奈央)は町野が生き生きしていると評する。町野は動物園に彩を連れていくが、彩はインフルエンザに倒れ、熱も下がらず死んでしまう。葬儀の後、母親の恵子がやってきてこう言う。
「これであんたも第二の人生を送れるわけだし、良かったのかもよ」

町野は恵子を追い出す。何もする気の無くなった町野の前に死神モモ(浜田翔子)とダニエル(吉田里琴)が現れる。
「あなたの様子を見てきて欲しいって言われたの」
なぜ彩が死ななくてはいけなかったのか尋ねる町野にモモは、運命だからと答える。
「何が運命だ!この人殺し」

町野は会社を辞めるが、心配した恩田が町野の家を訪ねてくる。自分も幼い頃に父を亡くし、母と共に落ち込んだが、前向きに生きる事が供養になると思っていると話す恩田。励まされた町野は再就職面接を受け合格。その帰りに動物園に寄ってみる。

だが、彩が好きだったキリンを見て町野は泣き崩れる。現れたモモとダニエルに町野は泣き叫ぶ。
「何でオレ一人残したのか。頭では分かっていても、どうしても理解できないんだ」
「オレはお前達を許す事は出来ない!」

【感想】○
いやー、やったねぇ。やりきったね。娘の死で打ちひしがれた父親が、立ち直るかに思わせておいてやっぱり受け入れられない。問題が何も解決しない、ドラマとしては逆のオチとなる展開にしての終幕。遺族の悲しみをストレートに爆発させ、死神に現実を突きつけた。

普通の一話完結ドラマだったら、恩田の励ましで少しずつでも立ち直る所でエンド。でもこのドラマは微妙に連関しているため、後々のシリーズ展開のために悲しみ続ける人のエピソードを差し込んだ。このドラマ形式ならではの展開とエピソードになっていた。

第二の人生のため、子供が邪魔だと思っている恵子に対して、源は彩と一緒が第二の人生だと思っていた。彩の死を恵子は喜び源は落ち込む。彩が自分の中で大事であればあるほど、それを失う事に耐えられない。

彩の遺品整理はさらに失う事だからそれもできない。対して会社の私物整理をして出て行く源。源は自分を失ったかのような行動をとる。自分の中で彩の重要性がその死によって増し、自分の生計よりも大事になってしまっている。

そんな源に救いの手を差し伸べる恩田。自分の境遇と重ね合わせて源を励ます。だが恩田の立場はむしろ源とは逆だった。父が亡くなり母と二人で生きてきた恩田。源は母:恵子が出ていき、彩と二人で生きていこうとしたのにそれが出来ないのだから。

恩田がくれたクッキーも食事も実は母が作ったものだという。恩田には母が居る。しかし源は一人残された。彩と二人で作ったハンバーグの思い出。恩田の施しは源にとっては、辛さを増すだけのものだった。

それらが噴き出すのが動物園。キリンが好きでその絵を描いていた彩。そのキリンを見る前に彩は倒れた。そして今、自分はキリンを見ている。彩なら楽しめたであろうキリンを見ても、自分は何も楽しくない。キリンを見るべきなのは彩なのに、彩はもうこの世にはいない。ここにいるべきなのは彩であって自分ではない。

「死ななきゃいけない人間がいくらでもいる」
それは自分。彩を助ける事も出来なかった自分。運命で片付ける事は責任放棄ではないのか。娘を置いて出ていった恵子と変わらない。だから源は悲しみ続ける。

死神モモは死を運ぶのを仕事とし、運命だと片付けてきた。それを少しでも緩和するため普通の死神とは違う行動もしてきたが、そんな優しさで死を打ち消す事など出来なかったのだ。
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