【あらすじ】12歳の広日向アズリ(小野明日香)は夜、一人で外食した帰りに男に絡まれる。それを助けたのは担任教師の原上誠剛(牧田哲也)だった。アズリの母:文(夏生ゆうな)は作家で、自宅には原稿の上がりを待つ編集者達がたむろしている。
アズリの誕生日も母は机に向かい、相手にしてもらえない。放課後、アズリは小松北小学校へ行き原上先生を遊園地に連れ出す。原上はアズリがある人物に似ているから、一緒に居ると楽しいと言う。
アズリ「楽しいってよく分からないな」
原上がソフトクリームを買いに行っている間、一人になって泣いてしまうアズリ。
原上「泣いたって良いんだよ。それが普通なんだから」
雪が降り、雪だるまを作ろうと原上。明日には溶けて無くなると言うアズリに原上は
「でも、何か残るさ。何かは作ってみれば分かる」
と答える。完成させ、笑顔になるアズリ。
一方、死神モモ(浜田翔子)と仕え魔ダニエル(吉田里琴)から死の猶予を貰った母は、残りの原稿を仕上げようとする。
モモ「それがあなたがやり残した事なら、やればいい」
母は手を止め庭に出て、アズリに誕生日を祝えなかった事を謝り、抱き締める。
【感想】◇
難しい内容。アズリと母の関係に絡んでくる原上先生との関係。さらに原上が#2と同一人物である事、そしてその話での原上と七星(斎藤夢愛)の関係が、この話にどう影響を与えているのか。…等々考えると解釈は容易ではない。
アズリは母から相手にされず、学校にも行かず、友達も居ない。感情表現に乏しいが、本心では母と楽しく過ごしたい、一人になりたくないと思っている。
母は激務が祟ってか余命幾ばくもないが、死期をモモから教えられ、編集者へ迷惑を掛けたくないとの思いから一層原稿書きに励む。アズリは自立しており自分が死んでも大丈夫だと思っている。
原上先生は七星の死を乗り越え、その思い出を大切にしながら生きている。アズリと七星が似ていると感じ、アズリを楽しませようと努力する。
アズリには、母と過ごしたいと思う気持ちがあるのに、母はアズリは一人で大丈夫と思っている。この乖離を原上が埋める役割を果たしている。アズリは母への思いを原上で代行する。誕生日に遊園地で過ごすという歳相応の普通の子供の楽しみを実行。しかし全然楽しくない。それは一緒に居るのが母ではなく原上だからなのか。
実はそうではなく、アズリの置かれた環境からの思考形式が原因だった。原上は学校に来ないアズリの家庭環境を探る。父はなく母は忙しく友達も居ないアズリ。でもアズリは母からカードを与えられ、金銭的には不自由なく暮らしていた。
自分では何も生まず、与えられた環境で育ったがゆえ、一人になる(失う)事を恐れているアズリ。与えられた環境だから満足しているのでもなく、さらにその環境から何かが減る事に怯えている。
アズリには何かを生み出したいとの欲求がない。その喜びを知らないのではと考えた原上は雪だるまを作る事を提案する。原上は何もない紙から絵を生み出す喜びを知っている。そしてアズリの母は何もない紙から文章を生み出す人物。
雪だるまはどうせ無くなると最初は思っていたアズリ。でも作ってみて「何か」を知り、段々と笑顔になっていく。金で得た一人の夜食でもなく、遊具のある遊園地での遊びでもなく、自分の力で無から有にした時の思い出はいつまでも残るのだ。
母が死んでいなくなっても、母の気持ちと自分の気持ちは思い出となって残る。自分が成長し、思い出になるにつれ、母の本心が分かってきて理解できるようになる。原上は七星の死から年月が経ち、こういった変化をも大切に思えるようになっているのだろうか。アズリにもそれを教えたかったのかもしれない。
…原上がアズリの母の状況を知っていないと成立しない所が、上記の解釈の穴だね。やっぱ難しい。
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