テレビ批評的視聴記 - 2006/12/22

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2006年12月22日(Fri)▲ページの先頭へ
たったひとつの恋(最終回)

【あらすじ】神崎弘人(亀梨和也)と工場で再会した月丘菜緒(綾瀬はるか)だったが、弘人は「会いに来たりすんなよ」と菜緒を追い返す。後日、菜緒は斎藤(池内博之)とその両親と会食。北海道の養護学校へ赴任する話も結婚を理由に断る。弘人は造船所で仲間を助けながら働く。現場監督:原田(平泉成)はそんな弘人に
「お前の楽しそうな顔は人の事ばっかり。もっと自分の事を楽しめ」
と声を掛ける。

神崎亜紀子(余貴美子)は松坂屋のデパ地下で月丘みつこ(田中好子)を見掛け、その後姿に深くお辞儀をする。菜緒はウエディングドレスを試着するが斎藤は「笑顔が足りない」と言って、自分は安全パイではないかと尋ねる。結婚辞退を決意した斎藤。菜緒は養護学校の話を請ける事にする。

菜緒の送別会に行こうとする弘人に、亜紀子も付いて来る。月丘家で亜紀子は泣きながら「ゆすり」の件を謝罪。みつこは許し亜紀子を喫茶店へ誘う。草野甲(田中聖)、大沢亜裕太(平岡祐太)、本宮裕子(戸田恵梨香)らと楽しく過ごす5人。だが、亜裕太がオレンジのイガイガの思い出話を始め、弘人が覚えていないと発言した事に菜緒が激怒。
「弘人は壁作って人の陣地に入ってこない。自分の陣地にも人を入れない」
「弘人は、ちゃんと人を好きになる事なんて出来ないんだよ!」
弘人は反論せずに帰る。

菜緒の出発の日、裕子と工場跡を訪れ、3年前に渡されるはずだった菜緒宛のクスリマス&バースデーカードと、クジラの置き物を見つけた菜緒。裕子は甲に芝居を打たせて弘人を工場へ向かわせる。弘人は菜緒からの手紙を見つける。
「私はどこかでずっと弘人が私を見ててくれるような気がしてた。私、あなたの事、忘れません。今もやっぱり好きです」

弘人は菜緒の出発する空港行きバス乗り場へ走る。追いついてバスを降りる菜緒。
弘人「今だったらその壁、一緒に乗り越えられないかな?」
菜緒「がんばる。乗り越える。二人でもう一度がんばる」
弘人「でも養護学校の先生はちゃんと頑張るんだからね」
菜緒「遠距離恋愛ってやつ?」
弘人「でもいつも一緒だから。そいで、そいで一緒になるから」
菜緒「うんっ」
バスにスーツケースを忘れたと知り、弘人・菜緒・甲・裕子・亜裕太はバスを追いかけ走り出す。


【感想】◇
やや無理をしてあっさりとハッピーエンド。身分の違いも周囲の反対・妨害も過去の事にして3年後を描き、時間こそが障害を乗り越える力だった。その時間を想い続ける二人は幸せをいつか手に入れる。

…と書けばキレイかもしれないが、要は視聴者のハッピーエンドを望む声に製作側が応えざるを得なかっただけかも。当初の設定を下回る視聴率で制作費の回収が放映(CM料)によっては叶わなくなった今、関連商品の売上で赤字を埋めるしかなく、買ってくれるファンの期待を裏切る結末には出来なかったんでしょ。この最終回も予算節約で、送別会がスタジオセットの菜緒の自宅開催だったり、普通は空港がラストになるはずなのに、バスって(笑

だからこの結末を良いとか悪いとかあんま言えないよね。視聴者が決めた事だし。特に、公式BBSにハッピーエンドを望む書き込みをした人(カキコした人ほぼ全員だけど)は、関連商品を買う義務がちょっぴり生じるのでは。自分の予算や好みに応じて、書店でノベライズ本を買うも良し、CD店でサントラを買うも良し、DVD-BOXを予約するも良し…。

前回にも書いた通り「このドラマのラストシーンは次回の劇的な展開には繋がらない法則」があるので、再会の工場では二人は結びつかなかった。そこで話す二人の間にロープが強調され線引きの分かり易い演出。で、前回も書いたように、そういった場面場面での演出が後に活かされない。その線とか壁だとかを越える弘人のシーンが最後にセットになってないと意味が無いのに。

#8で書いた「弘人と斎藤が対決、菜緒が断るのに悩んだりする」ではなく、悩むのは斎藤の方だった。結婚辞退を自分から申し出る斎藤。視聴者からすれば「いい人だな」で消えていくわけだが、会社中に社長の娘との破綻が知れ渡る事を考えれば、彼は今後スタージュエリーに居続けられないでしょ。彼の結婚適齢期3年と今後の人生へ菜緒が与えたダメージは大きい。

亜紀子の謝罪をきちんと描いた所は偉い。#8で罪悪感を喚起させる時間の掛かる方法と書いたが、本当に3年越しの謝罪になるとは。でも謝るべき相手は雅彦(財津和夫)だと思うけど。他にも亜紀子(余貴美子)は美味しい役だった。総菜屋の黄色エプロン制服姿とか。Yさん、ちゃんと録画して見ました?(個人的な発信でごめん)

菜緒の北海道行き、工場で見つける置き物、手紙の発見、バスに追い着く、長距離走の割には息切れが小さくプロポーズまでいったり、もう最後になるにつれ御都合主義満載だ。ベタと明るい雰囲気で許すしかない。

以下妄想。一番のミラクルハッピーエンドは、菜緒と廉(齋藤隆成)が結ばれる展開(ォィォィ)。養護学校に赴任した英語教師:菜緒。そこには養護学校で学ぶマセガキ:廉が居た。女教師と中学生の禁断の恋。二人には弘人とも無かった年齢差という障害が加わる。でも弘人は他人の事で喜ぶ人間だから大丈夫。

菜緒の「おいしい」手料理で健康になった廉は野球選手に。月丘家の面々も最初は反対してたが、廉が「60億の男」となってメジャー入りすると知るや手のひら返しで賛成。廉は菜緒から教わった英語を駆使しつつ、米国で「サンシーン!(三振)」の山を築く…。
…ホント、いつもとノリの違うテキトーな感想ですみません。そのくらい本編から心が離れたという事で。


【総評】◇
当ブログ:テレビ批評的視聴記でゴールデンタイムの恋愛ドラマの記事というのは初の試みで、書き方の勉強のつもりで記事を執筆してきたが、やっぱりドラマの読み方も記事の書き方も間違えてばっかで、各話を振り返るのも気が進まないが、例外を作らないためにも振り返る。

#1は、かなり気合を入れて書いただけあって、弘人の屈折、水と魚のキーワード括り、脇役の活躍ぶりへの期待、今後の波乱要因など、良く書けた方だった。この記事での指摘である脇役は、このドラマでもあまり活かされなかった。そして病死を匂わせた演出も、最終回では全く関係無い結末に。

#2で既に「前後の文脈よりもその場のトキメキやもどかしさを重視」と指摘している自分に驚き。この、部分と全体の不整合が回を重ねる毎に悪い方向に作用した気がする。

#3が一番楽しんで観られた。あまりに入り込み過ぎてあらすじが全然まとまってない。この回の良さを思えば、そもそも悲劇設定や環境悪化のシリアス展開がこのドラマに必要だったのか?という疑問にまで突き当たる。

#4では一気に波乱材料が噴出する展開と、弘人の自分の責任を放棄したあんまりな怒りシーンに引いた。はっきり言ってこの回からもう、弘人にも菜緒にも感情移入できなくなっていたのかもしれない。

だから#5では脚本の伏線や構図、甲と裕子を評価したり。

#6は#5との対比で見て、ヒーローとヒロインの入れ替わりや男女の役割の描かれ方に言及。どうもこの辺から弘人も菜緒も相手に言えない事が次々に出てきて、それでも付き合おうとする無理っぽさが出ていた。終わりを予感させたという点では巧かったのかも。

ひと恋 出演者が選ぶもう一度見たいシーンという番宣記事も書いた。これも初の試み。この記事を書いてる間が一番楽しかった。だらだらと書いたが、甲のカットの多さの原因、リアル演出と視聴率・制作費の関係などの指摘もした。

#7はとにかく月丘みつこ(田中好子)の演技が良く、みつこへの感情移入で一本記事を書いた感じ。

#8は展開の読みを見事に間違え、既成事実がどうのこうのと諦めの悪い執筆者。その感情が各シーンへの難癖へと転化し、全体の流れを正当に評価しないダメっぷり。

#9は最終回の結末予想のみ。「互いの身体的距離は離れても、心は繋がっているという結末」という部分が当たったが、色々書けばどれかは当たるわな。

そして最終回#10では強引な結末を、非視聴者と他の視聴者のせいに転嫁した執筆者。このエンドは最初から予定されていたものかもしれないのに。テキトーな菜緒と廉の物語で笑いに逃げるしか…。

…なんか、番組の総評でなく自分の記事の総評になったが、「たったひとつの恋」について上手く評価するだけの力が執筆者になかったという事。勉強になりましたと言うしかない。この失敗を少しでも教訓にして次のドラマの記事執筆に活かすよ。失敗を糧にって、恋愛も同じでしょ(←これも逃げ)。「亀サイコー」って言ってる方がどんなに楽か…と思いつつ(←これも転嫁)。いや、亀梨も綾瀬も良い演技をしてたと思うが。


【追記】
あまりにも低レベルな記事だ!との自分自身からの心の抗議があったので追記してみる。「たったひとつの恋」はシーン毎の良し悪しとドラマ全体の良し悪しがちぐはぐだったと思う。

シーン毎には弘人と菜緒の恋愛シーンと悲劇設定シーンが評価軸。弘人と菜緒の恋愛シーンは最初から最後まで、くすぐったさ、甘い切なさ、もどかしさなどが良く表現されていた。一方の悲劇設定シーンは、身分違いというスタートは有り得るとしても、各人物の行動がやや無理やりというか、悲劇にするための御都合主義が感じられた。

恋愛シーンの多かった#1から#3までは、良く出来た恋愛ドラマだと思わせたが、段々と悲劇設定シーンが多くなり、そうなっても弘人と菜緒の恋愛シーンの調子は変わらない所に次第に疑問を持つようになった。弘人には弘人の、菜緒には菜緒の悲劇がそれぞれに振りかかるが、二人が一緒にいる時はそんな事が無いかのようなラブラブが続く。

それが、悲劇(陰)を打ち消す「陽」だと思えればまだ良かったが、二人は互いにひたすら陰を表に出さず、陰の部分を明かして二人で解決しようとか、励まし合ったりだとかも無く、ラブラブを続けている仮面恋人のようだった中盤以降。

それでいて弘人は命を差し出すだの、菜緒は弘人しか見えないだの、なぜこの二人は好き合っているのかという根本からして、見ている方としては良く分からなくなっていった。悲劇設定シーンも増えていったが、これも極めて外面的な悲劇で、弘人は悪くない、菜緒は悪くないという説明を補強するだけ。マイナスではないからといってプラスにはならないのに。

弘人も菜緒も恋愛部分での心は守られていて、それ以外の人間関係が次第に破綻していく。よって二人が会えばラブラブになるというのは、良く考えると稚拙な設定ではないか。そして二人の関係が破綻するのも、二人が会えなくなるという理由による所が大きかった。

これで再会によるハッピーエンドへの道筋が完成しているわけだが、二人の心は純愛なままと評価していいものやら。愛を育んだとは言えない・プラスになっていない好きの感情では悲劇設定を打ち崩せない。だから3年の時間で解決させたという所が、最終回で感じた強引で非現実的な部分。そして結局は時間だったのかよとの拍子抜けが、あっさりした結末に思えた部分だった。

序盤の恋愛シーンは、ドラマ全体の良さに繋がっていたが、回を重ねても調子の変わらない恋愛シーンは、悲劇設定シーンが多くなるに連れ、滑稽でズレてるように感じられ、悲劇設定シーンの御都合主義もあって、ドラマ全体の良さがどんどん崩れた。

ところが困った事に、それぞれのシーンを切り離して見てみると、亀梨和也は細かな一瞬の表情や息遣いまで駆使して感情表現しているし、綾瀬はるかは戸惑いとトボケの表情が抜群で、主役二人の演技には文句の付け所がない。

演出も終始抑えたトーンで音楽ともマッチしていて、小道具・背景・効果音も割と分かり易く距離感や危機・心象表現を描写していた。脚本もちゃんと伏線を張ったり、印象的なセリフがバシバシ繰り出されたりで、流石は北川悦束子!と毎回唸らせるものがあった。

それらの個別の良さが、なぜ全体の良さに繋がらない、ひいては視聴率に繋がらないのか、非常に難しいものがある。で、良く考えると上述のような拙さが浮かび上がってはまた個別の良さを捨てられず……と果てしなくループする。

この解決しない無限ループが今の執筆者にはとてもストレスで、笑いに逃げたり、誰かに責任を転嫁させたくなって今回の低レベルな記事になったとさ。
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