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【あらすじ】「戦いの後で」1945年5月、ヒトラーの別荘のあるベルヒテスガーデンに入る第101空挺師団第506連隊。ナチのSSがゲリラ戦を仕掛けるかと思われたが、街には人影がない。第2大隊E中隊は山を登り別荘:イーグルズネストを占拠。間もなくドイツ降伏の知らせが入る。VEデー(戦勝記念日)をゲーリング邸の酒で祝う。
名誉除隊の85点に達していない兵はそのまま占領軍として残る。抽選で特別に除隊となったパワーズは帰国途中に交通事故で入院。101空挺師団は沖縄に転戦するとの噂が専らで、訓練を始めさせるウィンターズ少佐。転戦の決まった13空挺師団への転属願を出したウィンターズだったが残るよう言われる。
検問のヤムベックも交通事故で死に、酒に酔ったI中隊の工兵は殺人事件を起こし、止めに入ったグラント軍曹も頭を撃たれ死亡。E中隊に残ると決めた中隊長のスピアーズは犯人をMPに引き渡す。リプトン少尉は大隊本部付になりドイツの将軍の降伏に立ち会う。将軍は兵に最後の訓令をする。
「諸君らは特別な絆で結ばれている。戦場でのみ生まれる絆だ。兄弟達と共に戦い、死も苦しみも共に味わった。諸君と共に戦えた事を誇りに思う。これからは平和な人生を送って欲しい」
精神疾患で戦列を離れていたコンプトンが復帰し、野球をする隊員達。そこへ日本降伏の報が入る。戦後、コンプトンは検察官→判事になった。ウェブスターは記者、マーティンは鉄道員→建築、ラズは便利屋、ロウは建築屋、ペルコンテは郵便配達、リーブゴットはタクシー運転手、ランドルマンは土地開発、モアは事故死、リプトンはガラス工場長、ウェルシュは教育委員、スピアーズは朝鮮戦争にも参加し刑務所長になり中佐、ニクソンは二度の離婚を経て再婚し世界旅行、そしてウィンターズはニクソンの会社の人事課長だったが軍に呼ばれ訓練担当官に。今は小さな農場を経営している。
【感想】○
ナチ親衛隊のゲリラ戦もほとんどなく、あっさりとヒトラーの別荘を落としたE中隊。ここが戦争のゴールとなる。しかし古参兵でも点数が足りず帰国できない者が多数。沖縄転戦の噂も流れる中、やる事の無くなった兵達に事故死や不幸な死が相次ぐ。幾多の戦闘でも死ななかった兵があっけなく死んでいく。結局、オーストリアにいる間に第二次世界大戦は終結。各員は社会復帰していく。
ベルリン占領がロシア軍の担当となり、最終目標を失った米英仏軍の中、ヒトラーの別荘占拠を果たしたE中隊は幸運な方だったと言える。カラヒー山の走破訓練に始まり山荘の奪取で終わったE中隊。別荘で絶景を眺めながらワインを飲んではしゃぐくらいのご褒美は、今までの戦いを思えばあっても当然。
そんな幸福な時間はあっという間に終わり、帰国したくても出来ない現実が待っていた。活躍の点数が足りないというつまらない理由。鬱屈の溜まる兵達は気の緩みもあって、これまたつまらない事故で次々に死んでいく。死は戦争と平和に関係なく、古参兵にも補充兵にも関係なく訪れる。
沖縄転戦の噂は、隊員達の気を引き締め、士気を維持するための上層部の策とも思えた。ウィンターズの転属願が受理されなかったのも、経歴がどうこうより、そもそも転属の必要がないからという事だったのでは。
行き場のない兵に何とか口実を付けて隊を去らせるウィンターズの優しさ。そんな最中にドイツ将軍の言葉が感動的。戦場で戦った兵には特別な絆があると。ドイツ軍も連合軍も、兵士達の意識に対立などなかったのだ。これをドイツ側に言わせて嫌味を無くすニクイ演出。
勝った側も負けた側も、兵は戦争が終わって社会復帰をしなければならない。部下を去らせて自分は軍隊に残るか迷うウィンターズだったが、戦場で結ばれた絆は永遠だ、生き残った者にも散った者にも…と気付いて軍隊を去ったのだろう。
【総評】○
スティーブン・スピルバーグとトム・ハンクス制作で制作費も映画スケールだったバンド・オブ・ブラザース。CGを極力使わず徹底的にリアルな描写にこだわり、史実を再現しようとしていた。ただ、そこに固執したせいか、軍隊という組織の中で同じ動きの要求される兵隊という面がどうしても出てしまい、個々の兵達の人物描写が弱かった。
よってキャラを覚えるのも難しく、感情移入もしにくかった。全体的に戦闘描写が淡々と進む演出からテーマや主張を見出すのも一苦労で、ドキュメンタリードラマにそれが必要なのかという根源的な疑問を感じる時もあった。でもそれでは記事に出来ないのでこちらで勝手に見出してみたのが実状。以下、各話を振り返ってみる。
#1はスパルタのソベルによって鍛えられる隊員とそれへの反感を描いた回。訓練に必要な要素が実戦向きとは言えないという教訓。ソベルは去り隊員達の絆は既にここで生まれた。
#2はノルマンディ降下で散り散りになった兵がウィンターズの下に集まっていく様子が描かれる。兵達の身体的な距離だけでなく、急に指揮官となったウィンターズに信頼が集まっていく。
#3はカランタン攻略と戦闘拒否のブライスを描いた回。ドイツ軍の反撃で極限まで追い詰められた状況で、戦う意識と戦う理由が目覚める。それは政治的でも銃後にある発想でもなく、大義名分など関係無い目覚めだった。
#4はマーケットガーデン作戦の流れを、E中隊とブルの動きで説明しようとしていたようにも思えた意欲作。その試みは失敗気味だったが、この手法自体は興味深かった。
#5はトム・ハンクス監督回。戦いの合間という中途半端な時期を、戦争と平和にある人間の違いという全体にも繋がるテーマで描いた。主人公ウィンターズの心にも迫っていて、ハンクスがこの回を担当したのも分かる(自ら望んだのかは知らないが)。
#6はスピルバーグがこだわる「衛生兵」に焦点を当てた回。最大の激戦を、命を救う衛生兵視点で描いて戦闘モノではなく人間ドラマにしていた。
#7は指揮官と隊員の亀裂を描く。両者に信頼関係がない事が最大の敵だった。強い絆で結ばれた兵達には、その中から自然に生まれた信頼できる人物こそ指揮官だった。
#8ではさらに、元E中隊指揮官ウィンターズの温情の決断が光った回。中間管理職のような地位になったウィンターズが、上のためでなく部下のために軍規に反する行動に出る。それが事の本質のため最善の手段だったから間違いなく正しいと思えた。
#9は強制収容所の解放。この記事ではその非道さにもっと触れる必要があったかもしれないが、それは当然、人が持つべきものとの前提に立って、あえてニクソンの苦悩に目を向けてみた。
そして最終回の#10。国家と国家、国民感情の対立という戦争にあって、そんな単純なものではない戦場の兵の思いは、敵味方に関係無く存在する。戦争を実際に行う場所:戦場には何があるのか。絆や生と死は戦場以外にも存在するのに、戦場には特別な絆が存在するという。その絆が生と死に関係無く永遠だという。これを知ってなお、「戦場ドラマは格好いい」とか「戦争はいけない」との感想を持てるだろうか。
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Vol.5(9、最終話)
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