テレビ批評的視聴記 - 2006/12/12

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2006年12月12日(Tue)▲ページの先頭へ
バンド・オブ・ブラザース#9

【あらすじ】「なぜ戦うのか」1945年3月、ドイツ・シュテッツェルベルク。農家の卵と鶏を取るペルコンテとラズ、情事を楽しむ兵、高級食器を持ち出すスピアーズ大尉、ニクソン大尉は酒に溺れ連隊付から大隊付に降格。ウイスキー:バット69を探して店に押し入るニクソン。妻から離婚申し立ての手紙。ペルコンテは歩哨任務でいつ戦闘が始まるかと聞く補充兵オキーフと口論。
「戦争の中では今が一番快適。いつ戦闘がとか考えるな!」

ヒトラーのゲリラ戦に備えてアルプスのババリア地方に進軍する101空挺師団E中隊。新聞記事を読むウェブスター。ドイツ民族は悪だから戦うと書いてある。降伏した30万のドイツ軍と擦れ違う。ランズベルグに到着。降伏したドイツ兵を射殺する米兵。ペルコンテ達は民家を接収。
「こいつらナチじゃないってよ!何で会う奴みんなナチじゃないんだろうな?」

ルーズベルト大統領死去の報が伝わる。ニクソンは上級将校の家に押し入り酒を探すが、その妻に睨まれて出て行く。森を偵察した中隊は収容所を発見。ウィンターズ少佐とニクソンはリーブゴットを通訳に中に入る。衰弱し切ったユダヤ人やポーランド人。警備のドイツ兵は殺せるだけ殺して逃走。小屋の中には病気が蔓延し横たわるユダヤ人、列車に積まれた無数の死体、あちこちに死体の山。食料と水を与えたが、連隊軍医長ケントが急に与えるとショック死すると止める。移送先が決まるまで強制収容所から出す事もできない。

テーラー将軍は戒厳令を敷き地元民を死体処理に動員。何も知らなかった住民達。ニクソンは作業している将校の妻を目撃。一ヶ月後、ヒトラーはベルリンで自殺。だが戦争は終わらず、E中隊はヒトラーの別荘のあるベルヒテスガーデンへ出発。

【感想】◇
ドイツの敗北と連合軍の勝利は決定的になり、ドイツ兵は逃げ、続々と降伏してくる状況。低下していたE中隊の士気も回復して来るが、目立った戦闘も無く緊張感が薄れ、軍の規律は緩む。各自がやりたい事をやっても止める者も無く、何をやっても許される。そんな天国を味わう兵達の眼前に突如として現れる強制収容所。戦場とは違う別の地獄を見た兵達。

「なぜ戦うのか」が問われる。ドイツ兵を倒す任務が薄れた状況の中、一人ひとりの兵の行動によって答えの例が示される。食料強奪、情事、略奪、酒、処刑、悪の打倒。悪を倒す善の軍隊が行う所業。どれも正解とは言えない。長い戦闘で心に傷を負った兵は他人の悪行を笑って見るだけで止めようとしない。

勝利の結果としての、咎めを受けない快楽を享受する兵達だが、一方で誰も彼も、戦争は終わってほしいと思っている。いつベルリンに降下するかを気にしている。オキーフに言い放つペルコンテが象徴的。終わらせたいが自分が戦闘をするのは考えるのも嫌だと言う。

ニクソンは妻から離婚され、息子も犬までも失う。家族のために戦う必要も無くなったニクソンは一層、酒に溺れていく。将校の家でその妻に睨まれ、犬にも吠えられ無言で出て行くニクソンが、自分の家の状態と重なり合う。大統領死去も知り、最高司令官のためという大義も無くなる。

天国にあって全く満たされない兵達。そして発見した強制収容所。ただ殺されるために集められたユダヤ人や少数民族。最初はそこが何なのか解らない。自分達の常識を超えた光景だけが目に飛び込んでくる。すぐに解放したいがそれも出来ない。集めておいた方が効率的に治療できるから。効率的に殺すために集められた収容所に戻すしかない。

そして地元民も収容所の存在を知らなかった。怒りの持って行き場所もない。ニクソンの押し入った将校の家は、恐らくこの収容所の所長の住まいだったのだろう。所長の命令で無数のユダヤ人は殺された。だがその妻もまた、夫が何をしていたか知らなかった。毅然とした態度でニクソンを追い払った所長の妻が、死体処理を行う惨めな姿。それを見たニクソンは何も言えない。

空挺に志願し、一発の銃弾も撃たずに大尉にまで昇進したニクソン。自分が負傷したり、敵を殺傷した兵達の痛みも分からず、家族も放っておいて仕事をしていたから、戦死した兵の家族に手紙も書けない。ニクソンは妻の離婚申し立てに最初は怒ったが、惨めな将校の妻を見て悟った。知らなかった・知ろうとしなかった事の罪を。戦いによってそれを知ったのだ。
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