テレビ批評的視聴記 - 2006/11/04

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2006年11月04日(Sat)▲ページの先頭へ
N・H・Kにようこそ! #17

【あらすじ】部屋に居たくなかった。ネトゲーを忘れたかった。パソコンのない場所へ。その口実は何でも良かった。佐藤達広は高校時代の委員長:小林恵と喫茶店で再会。髪を染めすっかり雰囲気の変わった小林。ひきこもりだと明かす佐藤。小林は言う。
「ひきこもりなんて、何がきっかけでなるか分からないもの」
小林は佐藤に、とっても社会に貢献している仕事を紹介。一年足らずでスーパーカーを手に入れた佐川という人物に会って欲しいと。
「人間ひとり一人には凄い可能性がある。人生だって変わるんだから」

半年前まで夜中の買い出しがやっとだった佐藤。今は電車にも乗れる。症状改善の理由を聞く小林。佐藤は中原岬の姿を思い出す。
「あいつのおかげなんかじゃない。そんなわけあるか」
その頃、岬は三田ハウスの階段に座り込み、佐藤の行先を按じていた。
「もし、崖から足を滑らせたら…」

土井中 行電車の伊木と小笹の間にある薄々原(すすきがはら)駅。ススキ道を徒歩30分でボロ家の敷地にあるスーパーカー。「マウスロード薄々原 商品説明会」部屋にはたくさんの人。拍手が湧き起こる中、小林と黒川は洗剤の実演販売を始める。老いぼれの佐川も登場。
「スーパーカーは全ての人の夢。私はその夢を実現した」
マルチ商法だと気付き、逃げ出す佐藤。
「あの委員長が、まさかこんな事になってるなんて」

ススキ道で小林は佐藤に追い付き力説する。
「あなたは常に利用されている。無職のひきこもりの存在は、社会がそれを求めているの。なぜなら人間は安心して見下す事のできる存在を、常に必要としているのだから」
「世の中なんて、取るか取られるか、見下すか見下されるかのゼロサムゲームなのよ!」
「どうせ腐り切った人間関係なら、お金に換えてやり直せばいい。そうすれば佐藤君の夢だって叶う。叶わない夢なんて無い!サクセスストーリーが佐藤君を待っている!」

佐藤の部屋で手料理を置いて待つ岬。山崎薫も様子を見に来る。そこへ佐藤帰宅。
「お前らに素晴らしい商品を売りつけてやろうと思って仕入れてきた。ローンを組んでもらった。俺のサクセスストーリーは今始まったんだ。ワッハッハ」
山崎「それって典型的なマルチ商法なんじゃ…」

【感想】◇
ネットゲームで傷心した佐藤は小林の言うまま、すがるように世界中のセレブが愛用する優れた商品の実演販売へと連れられる。マルチ商法だと気付いて脱出したものの、小林の泣き落としからの力説に思わず心を動かされ、借金までして洗剤を買ってしまう。小林委員長は#12などの回想で時々出てきた人。

このマルチ商法会社のマウスロードという名称はネズミ講、宣伝ポスターの組体操ピラミッドもネズミ算の図を連想させる。さすがに騙されやすい佐藤君も今回は気付き、カモ扱いしやがって!と脱出したのに結局、自説であるN・H・K(日本ひきこもり協会)の陰謀と結びつくような説を提示され、マルチに乗ってしまうのだった。

ネズミ講は大学で流行りやすいらしい。毎年、ネズミ講注意書きが配られたりするほど。サークルの先輩と後輩という近いような近くない人間関係が一番危ないようだ。先輩から提示される儲け話。多少の信頼関係と断り辛さで加入してしまう純朴な地方出身者。早く加入した同級生が儲かったとの情報が加入意欲を掻き立てる。ホンマかいな。

小林と佐藤は大学でなく高校同級生だったが、真面目な委員長だった小林は、まずは佐藤のひきこもりという境遇に同情と理解を示し、4年も会ってない近いような近くない間柄なのに昔佐藤の言った事「頑張り過ぎ。他人のペースを考えないのはただのエゴイスト」が正しいと、佐藤の自尊心をくすぐる。

逃げ出した佐藤を追い駆け、マルチ商法だと全面肯定して開き直り、利用される人間から利用する人間への転換を勧める。そのためのマウスロードだと。決定的だったのは、ひきこもりは社会心理が欲した結果だという説。これが佐藤の持つN・H・K陰謀説(#1)と結びつく。この一点の一致で小林全面肯定へと傾く佐藤。

社会構造という表面の結果を見て、社会心理でひきこもりが求められていると論じる所にこの説の穴があるような気がするが、佐藤はもう冷静な判断が出来ない。しかもその伸し上り方法がマルチ商法で結果が金だという人間関係の金換算。

それとは対照的に描かれるのが中原岬。ボランティア的なひきこもり脱出講義(#5)、偽恋人(#7)から発展しそうになった本当の恋人関係(#8#9)、佐藤の自殺を止めようと泣き(#13)、戻ってきた事に涙した岬(#14)。だが佐藤は岬のおかげで症状改善したとは思いたくない。役に立たない講義と恋愛幻想、佐藤宅の監視と某団体への参加(#10)という岬への不信感が消えないから。

佐藤はそんな岬に商品を売り付けようと仕入れて来るのだ。山崎が居なかったら岬は1つくらい買ってしまったかもしれない。症状改善に今の所もっとも貢献しているのが山崎の存在だというオチが付いてるが。
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