テレビ批評的視聴記 - 2006/10/24

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2006年10月24日(Tue)▲ページの先頭へ
バンド・オブ・ブラザース#3

【あらすじ】カランタン攻略。1944年6月8日、E中隊にブライスが合流。第506連隊は内陸進撃の障害となっているカランタンを占領せよ、とのテーラー将軍からの命令を受ける。第1小隊が真ん中から突撃しようとした時、ドイツ軍が町の建物から撃って来る。ウィンターズ少尉は立ち上がり、伏せる兵に進め!と鼓舞。

町に突入し手榴弾・ロケットで建物を攻撃。ドイツ軍は砲兵に支援を要請し、E中隊の兵士は次々に吹き飛ばされる。ブライスは突然目が見えなくなる。ウィンターズは足を負傷。頻繁に移動して対処し、占拠した建物から機関銃でドイツ兵を掃射。カランタンは意外にも早く陥落。町で応急処置を受けるウィンターズ達。ブライスを励ますと目が見えるようになる。

ドイツ軍の主力は既に撤退しており、カランタンには1個中隊がいただけだった。ドイツ軍の反撃に備え、高地で防御陣地を作ろうと移動する506連隊だったが、反撃のため行軍していたドイツ軍と遭遇戦に。互いに茂みに隠れ日が暮れる。夜、見張りをするブライスとウェルシュ。これはゲームだと言うウェルシュ。スピアーズ少尉にブライスは、降下した日に何もせず溝で寝て、起きても中隊を探さなかったと明かす。
「どこかで戦いを避けようとしていたんだと思います」
スピアーズは「死んだも同然と思えば、兵士として課せられた役割を果たせるようになる。情けも容赦も無く。胸も痛まない。戦争とはそういうものだ」と教える。

翌朝、両軍はほぼ同時に攻撃再開。ドイツ軍の迫撃砲を避け、前線を引っ込めて稜線に出て来るドイツ兵を狙い撃ちにする戦術に切り替え。だが、ドイツ軍のヤークトパンター・III号突撃砲G型(初期型)・マルダーII自走砲・Sdkfz251装甲兵員輸送車が出現。D、F中隊は無断で逃亡。攻撃は残ったE中隊に集中。ブライスはタコ壷の中で叫ぶ。マクグラスが近距離でIII号突撃砲の下部をバズーカ攻撃。第2機甲師団のM4A1シャーマン戦車も到着し、ドイツ軍は退却開始。

ウィンターズが叫ぶ「ブライス!ぶっ放せ!」
ブライスは退却しながら銃を撃とうとしたドイツ兵を狙撃で仕留める。戦闘後、そのドイツ兵の死体を見に行く。Dディから25日後、志願して農家の中を調べようとしたブライスは首を撃たれる。その傷が元で2年後に死亡。

【感想】○
要衝カランタン攻略戦とその郊外でのドイツ軍との攻防を、戦闘拒否気味のブライスを中心に描いた回。バンドオブブラザースはドキュメンタリードラマだが、今回のブライスの死は実際とは違うらしい。遺族の指摘により、負傷したのは右肩で1967年に死亡と判明している。また、個人的に気付いたマニアックな指摘になるが、ドイツ軍のヤークトパンター駆逐戦車は6月末から7月にかけてノルマンディに実戦配備された。従って6月9日には戦闘を行っていない。W・J・シュピールベルガー著の『重駆逐戦車』を参照の事。

とはいえ、カランタンでの市街戦シーンは迫力満点で、映画プライベート・ライアンと同じ特殊なカメラを使って臨場感を出し、建物の爆発も本当に行っている。その破片が飛び散る様やそれを避けようと頭を押えしゃがむ兵士の反応などもリアル。

加えて、第二次世界大戦の戦争映画やドラマにありがちな、戦後の退役戦車や、実在しない型の張りぼて戦車を撮影に使ったりするような事はしていない。本物と見間違うくらい精巧に作られた実物大模型と思われる。だからこそ史実にないヤークトパンターの実戦投入という粗が少し残念。

今回の物語の柱となるのはブライスの心境変化。ブライスが戦いの現実に気付くまでと、それに気付いてから待ち受ける彼の運命が描かれている。空挺降下しても戦闘に参加しようとしなかったブライス。前回で散り散りに降下した状況があったが、独りぼっちでノルマンディに置かれた彼には、戦争がまだ遠い所にも思えていたのだろうか。

やがて偶然にもE中隊に拾われ、カランタンで初の実戦に巻き込まれる。その状況を受け入れられないブライスは、ヒステリー症状で一時的に視力を失う。ウィンターズから「ここが終わればイギリスに帰れる」と聞いて安心したために視力が回復する。

だが、郊外でまたもや戦闘に突入。ここの見張りでウォルシュは「これはゲーム」と語り、捕虜虐殺の噂もあるスピアーズから、心を無くしてマシーンのように動く事を助言される。それぞれの兵は自分なりに戦闘参加の心構えを持っていた。

翌朝の戦闘でもブライスはまだ、戦う意義を見出せずタコ壷でうずくまるのみ。いよいよE中隊が追い込まれ、仲間が次々にやられ死が迫ってくると発狂したように叫ぶ。それでも諦めずに戦うウィンターズ達。そのウィンターズに手を差し伸べられ、タコ壷から這い出し銃を撃ちドイツ兵を殺すブライス。彼が現実を受け入れた理由は明確には説明されない。

戦闘後、自分が倒したドイツ兵の死体を見てさらに現実を知る様子と、将軍や大佐が言葉だけでE中隊の健闘を称えたと冷笑するウィンターズ、勲章を貰って新聞写真に収まるハンサムな兵士などが皮肉っぽく描かれる。少なくとも将軍を喜ばせるためや名誉のために戦うのではないとの主張はされている。

そして生まれ変わったように兵士として働くブライス。誰かがやらなければならない農家偵察に志願して撃たれる。戦うために戦地に送り込まれ、そして戦う兵士達。自分が死ねば替わりが送り込まれるだけ。自分が居なくても戦闘は続く。だが誰かがやらなければならない。その矛盾の中でブライスは目覚めたのだ。
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