テレビ批評的視聴記 - 2006/09/25

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2006年09月25日(Mon)▲ページの先頭へ
N・H・Kにようこそ! #11

【あらすじ】夏コミには体験版を出品しシナリオは、さわりのみ載せる事にする佐藤達広と山崎薫。結構な枚数をCDに焼き『True World 体験版』が完成。翌日のコミケに備えて早めに就寝。佐藤は独り言
「こんなもん作ったくらいで、本当にクリエイターになれるのか?」

柏瞳は城ヶ崎彰と会食デートをし沖縄旅行の約束。帰宅し「魂の叫び掲示板」に*HANAとのHNでダメ彼とケンカしたと偽カキコ。勤め先の市役所では企画書を廃棄させられ、女性同僚から美貌を嫉妬され、キモい親衛隊がいる。城ヶ崎からは沖縄旅行キャンセルのメール。抗うつ剤を飲む柏。
「やっぱり陰謀は存在したんだわ」

ビールを買って佐藤の家へ車で押しかける柏。佐藤は高校文化祭以来の陽気な柏に会う。そのとき柏は、2年間付き合ったバスケ部短髪男と別れ、屋上で涙を流したのだった。そこで勇気を出して告白できなかった佐藤。
「あの夜こそ俺の人生の分岐点だったんだ」
今こそ人生をやり直すチャンスだと決意を固める。

佐藤は山崎に夏コミ不参加の置き手紙を書き、OFF会「天国に一番近い島ツアー」に柏と一緒に行くと申し出る。嬉し泣きする柏。家を出て車に乗り込む二人。中原岬は佐藤から絶交を言い渡され落ち込んでいたが、この二人を目撃。追い掛けるが間に合わない。佐藤は晴れ晴れとした表情。
「ひきこもり人生はもう終わりだ。俺はこの人と新しい生活を始めるんだ」

【感想】◇
中原岬との交際を絶ち、体験版ながらゲームを完成させた佐藤達広。ふいにやって来た先輩:柏瞳との関係にこそ、分岐点があったと気付く。あの時とは違う選択をする事で、違う人生を踏み出せるのではないか。佐藤は柏のオフ会に付いて行く事にする。それが自殺ツアーだとも気付かずに。この部分が「陰謀」であり、面白い部分。佐藤と柏の躁と鬱の対比を楽しめと。

佐藤の心理状態については劇中でも詳しく述べられていた。セリフで言ってしまうのは普通は演出の力不足に直結するが、今回の佐藤の心理独白は、勘違いである事を強調するためのものであって、セリフを逆に上手く使った演出だった。

普段は陰謀マニアwな柏瞳が陽気な時は、男と別れた時。知性と美貌を兼ね備えた瞳が、佐藤にだけは情けない所もさらけ出す。それが恋愛に発展する可能性があると気付きながら告白できなかった過去の佐藤。再びやって来たチャンスを今度は逃すまいと決意する。

中原岬のひきこもり脱出講義の裏に隠されたN・H・K(日本ひきこもり協会)の陰謀に気付いた佐藤は、柏瞳とのオフ会に愛の逃避行を夢見ている。どちらも勘違いだというのが笑うべきポイント。笑うに笑えないけど。

一方の柏瞳の心理はかなり複雑。特に、掲示板に彼氏とケンカしたと嘘の書き込みをする所が。リアルで言えない・書けない事をネットで書くというのは分かり易いが、ネットでも偽を書く柏は難解だ。書いた内容から察すると、うわべの優しさばかり見せる城ヶ崎彰に柏は不満を抱いているのだろう。エリートな城ヶ崎ではなく、暴力を振るうほどの本音をぶつけて来るダメ人間(佐藤をイメージ)の方がマシだと。

それに続く職場での疎外感。頭が良く分厚い企画書を書けてしまう柏。仕事も速いので上司は逆に扱いに苦労している。同僚の女達は柏の美貌を妬んで陰口。普通の男はどうせ柏には彼氏がいるだろうと近づかない。寄って来るのはキモオタのみ。薬を飲んでも効かない。

そして城ヶ崎は旅行をドタキャン。柏にはこれら全てが、自分に人間関係を築かせないための「陰謀」だと映る。これは同じく「陰謀」によって引きこもりになったと述べる佐藤(#5)と重なる。今回もやはり、ひきこもりとそうでない人との差異のなさを主張する内容になっている。

それにしてもN・H・K にようこそ!の予告は、たった15秒なのに完成度が高いよね。今回流れた予告で、自殺ツアー、置き手紙に愕然とする山崎と岬、そして城ヶ崎の「今日で人生を終わらせるつもりなんだ」のセリフから巨大な陰謀と救出を予感させるものになってる。
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