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【あらすじ】レッドフェニックスの立花(永井大)を菊田(深水元基)が訪れ、三宅川(峰岸徹)とひなの(大友みなみ)の関係の口止め料を要求。不動産屋:岡宮(松澤一之)は藤堂(伊原剛志)から圧力を受け、立花に店の保証金を要求。ホワイトイブは梨花(有坂来瞳)達を次々と引き抜く。キャスト派遣所からの派遣も断られる。奈緒(滝沢沙織)は千鶴(井上和香)が辞めれば事は収まると言うが、千鶴は「最後まで戦う」と宣言。
ケン(田中要次)にキャストのスカウトを頼む立花。しかし笑子(酒井若菜)の件で殴られる。レッドフェニックスは閑古鳥。千鶴と立花の親しげな会話を聞いた久美子(杏さゆり)も辞め病院勤務に戻る。立花は病院内に久美子がキャバクラで働いているとのメモを残すが、反って久美子を怒らせる。担当の久美子が辞めた事に憤慨した神崎(渡邊邦門)も店を去る。
奈緒が持って来た情報を得るため、叩かれながらもキスしようとする立花。奈緒は自分からキスして冬海(益子梨恵)の移籍の意向を伝える。横浜ホテルで冬海に会った立花は千鶴をクビにする条件を提示される。冬海は藤堂が千鶴を好きだという事に嫉妬していたのだ。立花は岡宮から催促され、キャスト支払い金を持って出掛ける。その途中、菊田と鉢合わせケンカに。その間に金の入った鞄は盗まれる。
追い込まれた立花は千鶴に冬海の条件を話す。千鶴は自分から身を引く。
「こんな世界、知らなきゃ良かった。立花君、成功してね。私はいつまでも立花君の味方だよ」
冬海を得たレッドフェニックスは大繁盛。一方のホワイトイブは閉店。長瀬(菅原卓磨)をからかう大滝(吹越満)。立花は藤堂に勝利宣言。
父:真一(井上康)が危篤と久美子から連絡を受け、病院に駆け付ける立花。そこには警察がおり、三宅川への売春斡旋で逮捕される。父の死に目にも会えず。その頃、藤堂は「黒い太陽は2ついらない」と呟く。パトカーに乗る立花を菊田が呼び止め腹を刺す。仰向けに倒れる立花。
「太陽は…どこだ」
【感想】△
前回記事の最後でバッドエンドはないとの予想は見事に外れた。でも、人間的経営が出来るかがポイントというのは当たった。これまで通りの非情な経営を貫いた立花は、その報いを受けたかのような最後となった。「最期」とは言い切れない曖昧さ、他の人物達のその後が描かれない不親切さが、後味の悪さとなってかなり不満の残る最終話だった。
まず良かった2点から書いていく。1つは笑子の扱い。笑顔を取り戻し「藤堂グループはイヤ」と言ってケンにキャバクラを紹介してもらおうとしていた。立花を含め何度も男に裏切られながらも、あのキャラで生きていくんだなと推測でき、納得のいくエピローグだった。
もう1つは奈緒が立花を叩くシーン。何度も叩いて喜び、最後にはご褒美のように自分からキス。立花を奴隷扱いする女王様キャラを貫いていた。ちょっと哀れな所も良い。
あとはもう悪い所だらけ。千鶴は最後まで戦うと言っていたのにあっさりと身を引く。千鶴にはこれまでにも言動不一致なクセが所々に見受けられた。それは揺れる心を表わしていたのだろうが、最終回の別れの言葉は、無理してキャバ嬢を続けてきて辞めたい気持ちが元からあり、冬海の条件を幸いに自分だけ花道を作った感じがして、不信を抱いてしまった。
立花が千鶴を選ぶか冬海を選ぶかが、非情と人間的経営の分岐点で、千鶴を切った所でバッドエンドは予想できた。しかし千鶴の方から辞めると切り出したせいで、立花の非情さを強調できず、因果応報と納得できる結末にならない要因にもなった。ま、千鶴から辞めると言い出すのは千鶴なりの優しさなのだが、ドラマ全体の流れを重視するなら余計なお世話かと。
次は久美子の行動。久美子はこのドラマで表世界の象徴であり、立花と久美子、藤堂と千鶴の関係を重ね合わせる役割も果たしていた。立花と表世界の接点を持たせ、表に引き戻す役割もあったと思うが、最終回では何の役目も果たしていない。自分だけさっさと店を辞めてしまった。それに対する立花の行動も分岐点の1つではあった。悪意メモでここでも立花のバッドエンド伏線にはなっていた。
一番納得できないのは冬海。藤堂がNo.1の自分ではなく千鶴を好きだから長瀬を捨て移籍。これまで冬海は長瀬とデキているとばかり思っていたが、ここで唐突に明かされる藤堂への思い。冬海は将来の社長:長瀬に「先行投資」していると理解していたが…。それは視聴者側の勝手な解釈だったという事か。どうもその解釈が捨て切れず、冬海は何て浅はかな女なんだ、と思ってしまう。計算上手なNo.1キャストとのイメージも崩れた。
そして、冬海の入店だけでレッドフェニックスが蘇ってしまう展開も痛い。結局、店の経営における黒服の役割って何だったのさ。キャストだけで勝負が決まるというのは、これまでの全話を否定していないか。立花の野心的経営も、長瀬のマメな努力も全否定かい。
あと疑問点は立花逮捕劇。売春斡旋を通報したのは誰かが謎。藤堂説と菊田説が出てしまう脚本のミス(というか脚本家は一度書き直しさせられたらしい)。流れから考えれば藤堂説。単なるキャバクラの戦いでは勝てなかった藤堂が、別の切り口から立花を攻めた。三宅川と面識があり三宅川のやり口を知っているから、売春斡旋で通報できたとの解釈。「黒い太陽は2ついらない」のセリフ挿入からも推測できる。
しかし最終回を見る限りでは菊田説の方が納得できてしまう。菊田は風俗嬢となったひなのから、立花が三宅川に自分をあてがったと明かされる。それをネタに口止め料を要求した菊田だったが、拒否され殴られ復讐に出たとの解釈。通報し病院に警察を待機させ、待ち伏せして立花を刺す作戦。流れから推測させる藤堂説よりも、現実的な菊田説の方がはっきりしている。
クライマックスまでの曖昧さと、立花が死んだのかはっきりしない曖昧さが後味の悪さになっている。死亡でバッドエンド説、死亡した事で裏社会から解放されたのだという好意的ハッピーエンド説、病院前で刺されて死亡しないだろう、生き伸びて続きをやるとの続編説の3つに分かれてしまう。
【総評】○
「黒い太陽」は深夜ドラマにも関わらず11%超の平均視聴率を叩き出す快挙を成し遂げた。#1から10%超えてテレビ業界に衝撃を与えた。これは原作ベストセラー、舞台がキャバクラ、永井大の裸・お尻シーンなどの話題作りが成功したと言える。それに加えて大きかったのが、他のドラマの詰まらなさと放映時期にあったようにも思う。
ゴールデンタイムで5、6%の視聴率、打ち切り多発した今期ドラマはあまりにも不作だった。そんな中、ドラマ好き視聴者が面白いドラマを求め、さ迷い着いた先に「黒い太陽」があった。W杯の影響で最後発となったこのドラマに答えがあった。各人物の役割、キャラの位置づけのはっきりしたドラマ。ダークな雰囲気でも視聴者は引き付けられた。
#2からは壮絶な展開で、テーマは金という正面作戦も功を奏す。裸土下座シーンからは話題作りではない、本物の演出意図が伝わってきた。
#3辺りから、立花と千鶴を中心にグングンと怒涛の展開。立花(太陽)・千鶴(月)の裏社会で生きて行くまでの心理がしっかり描かれ、基幹部分が骨太になった。
#4では大滝と笑子という2つの衛星が描かれ肉付けされた。この回で早くも立花は絶頂期を過ぎたとの判断をしたが、その後の展開はまさに転落人生だった。
#5から各登場人物のドラマを深める事に成功し、群像劇とまではいかないまでも、色々な人物に感情移入できるようになっていた。特に笑子の表裏が興味深く、酒井若菜の好演もあって、普段どのキャラにも入れ込まない執筆者も惹かれるものがあった。
#6は立花が千鶴に裏切られ、1つのバッドエンドを迎える回。千鶴の真意解釈が難しく、執筆者は千鶴への感情移入と他の人物の言動を併せて独自解釈を提示。
#7はとにかく笑子の運命が悲しく、熱演した酒井若菜に敬意を表して、笑子への感情移入のみで記事を執筆する例のない事を実行したが、読者からは好評だったようで、凄まじいアクセスで鯖落ちまで招いた。
そして全般的に悪評だった最終回。執筆者も続編説に考えが傾いている。製作側の偉い人達が、こんな数字の取れるドラマを完結させるわけがない。ただ、偉くない制作側の人達は8話完結を考えていたのだろう。だからこそこれまで粗削りになっても端折りに端折った展開だったわけだし。その板挟みでどっちつかずの結末になったというのが真相ではないかと思う。
視聴率が悪く打ち切りで、最後がおかしくなるドラマは多々あるが、視聴率が良すぎて最後が最後にならず、変になるドラマもあるんだ…という事例を学んだなというのが率直な感想。ま、「黒い太陽」はテレビ業界にも存在するって事で(笑)。受信するだけの視聴者はその光を浴びるしかないのさ。
週に万単位でアクセス頂いた読者の皆様には感謝するばかり。願わくば当ブログ:テレビ批評的視聴記をお気に入り登録して頂き、今後とも活用して貰いたいが、一期一会のブログではそんな事する読者は少ないわけで、これでお別れの人は、さようなら。
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