テレビ批評的視聴記 - 2006/09/16

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2006年09月16日(Sat)▲ページの先頭へ
怨み屋本舗 #9

【あらすじ】杉河里奈(葵)の親友:青山美香(花澤香菜)は長谷矢総合病院に盲腸で入院していたが、医師:長谷矢透(堀部圭亮)のミスで看護士:中沢(小野まりえ)から筋弛緩剤を投与され死亡。その死を看取った医師:泉田(ノゾエ征爾)は医療ミスに気付く。

だが理事長:長谷矢稔(上田耕一)は医療ミスを認めず、美香の父:青山智彦(下條アトム)は怨み屋に800万で社会的抹殺を依頼。母:青山映子(渡辺典子)は娘を失い心の病に。藁人形に自分の手ごと釘を刺す。立ち去ろうとする怨み屋を呼び止める映子。
「ご依頼内容の変更ですね」頷く映子。

透は叔父の稔に頼み、泉田も買収してカルテ改ざん。中沢のミスとして寄木警部(きたろう)に引き渡す。理事長:稔は透に跡を継がせるのを考え直すが、透は裏帳簿コピーを持っていると脅迫。それらの会話を盗聴する怨み屋と里奈。透の自宅で女:さつき(時任歩)の気を失わせ、情報屋(寺島進)と里奈は裏帳簿を盗み出す。

怨み屋は週刊誌記者:新城さやかとして透と接触。盗聴テープで告発があったと告げる。理事長:稔は業務上横領で逮捕。透は泉田が告発者だと思い、泉田を注射器で襲う。そのさらに背後から映子が透を何度も突き刺して殺す。映子は逮捕されるが精神鑑定に回される。
「人を殺しても罪にならない免許を病院から貰ったんです」
現場に里奈がいたとして尋問する寄木警部。抵抗した里奈は怨み屋の名刺を落としてしまう。

【感想】△
医療ミスで娘を失った父は社会的抹殺を依頼し、怨念のレベルが上の母親は自らの手で犯人に復讐する。精神病で母親は恐らく無罪。医療ミス・カルテ改ざん・曖昧な精神鑑定といった問題にメスを入れた今回のドラマ。個々の要素としては面白いが、先の読める展開になっていて楽しめなかった。

長谷矢透とさつきのお医者さんプレイのシーンは、患者の元へ駆けつけない事で仕事意識の低さを表わすし、透にとって現実の医療現場の重要度もその程度なのだ、との皮肉な表現となっていた。

依頼人が直接に犯人を殺すという点が新しいのだが、社会的抹殺を依頼した父と、母:映子が怨み屋を呼び止めた段階でもう、映子が殺るのが読めてしまう。そして、被害者が犯人を殺すなら怨み屋はそもそも必要ない。#1での「人を呪わば穴二つ。素人が犯人を殺そうなんて無理」の大原則はどこへいったのか。

杉河里奈は親友を失うという当事者に近い立場だったが、その使われ方は今回も上手くなかった。怨み屋は里奈に「自分の中の悪の心を引き出すのよ」と仕事へのモチベーションを高めさせていたが、スプレーで気を失わせる役も、映子を病院に運ぶ役も必要性は低い。それでいて運んだ車椅子を置いてきて証拠を残すし、そこから足が付いて寄木に尋問されるし…。里奈のヘマなのか、怨み屋の教育が下手なのか。仕事の意識向上よりテクニック伝授の方が先では。

何だかんだで里奈は、これまで合計4人も殺される現場に居合わせている。殺人目撃のショックは大きいと思うが。借金があるとはいえ、怨み屋もずいぶんと残酷な仕打ちを里奈に科すものだ。

後半に入った途端に、殺しの手口も復讐方法にも新鮮味がなくなっている怨み屋本舗だが、怨み屋の過去と父の死、寄木警部との対決といった一話完結でない部分で視聴者を引き留めようとの策か。それに乗りつつ最終回まで視聴するつもりだが、でなければもう限界のドラマだという事ははっきりしてきた。
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