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【あらすじ】柏瞳と4年4ヶ月ぶりに再会した佐藤達広。文芸部で2年間トランプに付き合った佐藤。卒業式の日、柏はお礼にと唇を近づけて来た。現在は役所で働く公務員。元気の無い佐藤に薬を勧める柏。ひきこもりだと打ち明ける佐藤。健全な付き合いをしていれば…という柏。ケータイ番号を交換し、また会えるかと尋ねる佐藤に柏は
「ひきこもりなんでしょ」と言って去る。
ゲームが完成したら中原岬との関係が終わってしまうと考え、契約書にサインして岬を待つ佐藤。ゲームもクリエイターも嘘だったとバレる。明日からカウンセリングだと言って去る岬。
「ちょっとの訓練で広い世界に飛び立って行けるよ」
山崎薫は親と電話。「牧場は継がないからな!」
中原岬の第一回ひきこもり脱出講義。秘密ノートを読む岬。ひきこもりとは周りの環境との不適合。世の中と上手く折り合いをつけていく方法が大切。佐藤はフロイトの夢分析で「巨大ヘビ・海・リンゴに太い剣・黒光りする拳銃」と答え岬は顔を赤らめる。
岬の講義に幻滅した佐藤。自室でフィギュアを脱がせる。でも目標を持っている間はひきこもりじゃないと気付かされた。ゲームを作っている山崎に佐藤は、岬との約束がなくなったからこそ期限を気にせず良いゲームを作りたいと言う。
「このゲームを完成させる事が出来たら、少しはマシな人間になれそうな気がする」
【感想】○
パッと見の面白い・詰まらないでは評価の難しい回だが、よくよく考えると深い所で全ての事象が繋がっているようにも思える、味のある回なのかもしれない。佐藤の目を通して、マシな人間とそうでない人間の境界の曖昧さを描く。
柏瞳は公務員という立派な職に在りながら、睡眠薬・抗うつ剤などの薬漬け。何かと口にしていた「陰謀話」も、精神的に病んでいたためなのか、薬の副作用なのか。柏瞳は薬漬けを暴露し、佐藤はひきこもりだとカミングアウト。健全な付き合いをしていれば…とは佐藤に対する言葉でもあり、柏自身にも込めた言葉のようだ。
柏とまた会う事で引きこもりを脱する事ができるのでは、と思った佐藤の願望は打ち砕かれる。柏との果たせぬ関係を、中原岬で果たそうとの思いもあって契約書にサインする佐藤。これは#3で指摘した「プロジェクトに乗るか反るかよりも、岬との交際を持つ事でしか佐藤は救われない」に達したという事か。
その岬も、普通の高校生ではないと佐藤は薄々気付いただろうか。フロイトやユングの本の写しを丹念に秘密ノートにまとめている岬。それは佐藤のために書いたものではなく、岬自身の現段階での生きがい。ひきこもり脱出講義は岬の完全なる趣味だった。岬との関係は、柏の代わりの恋愛には成りようも無かった。
遂に佐藤は買ったフィギュアをいじる事で何かを満たそうとする。だが、購入欲と収集欲を満たすだけのフィギュアに恋愛欲は満たされない。金ですぐに買えてしまう人形なら尚更だ。
親の牧場を継がないため、意固地になってエロゲーを作っている山崎。佐藤にはその様に見える。誰も彼もマシな人間など佐藤の周りにはいない。ひきこもり・薬物・変な趣味・反抗心…立場や心理でマシかダメかではなく、目標を持って生きる事が必要だと悟った佐藤。その宣言は佐藤の周りの人間を変える力になるのだろうか。
…とまとめつつ、別の見方も書いてみる。柏瞳の「ひきこもりなんでしょ」の意味は、柏自身が現実の辛さを陰謀話で折り合いをつけているために出てきた言葉ではないか。色々な陰謀話を考えるのが柏の生きがいでもある。そして佐藤の「マスターオブひきこもり」の言葉に柏は同じ物を感じた。ひきこもりという「プライド」を傷つけないようにお付き合いを断ったのでは。
中原岬は秘密ノートをまとめるのが生きがい、山崎薫はエロゲー作りが生きがい。そういった周囲の人を見て佐藤は、自分も生きがいを持とうと決意し、「マシな人間」宣言となった…という別解釈。
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