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【あらすじ】第三次世界大戦後、再び戦争を起こさぬため、リブリアの独裁者:ファーザー(ショーン・パートウィー)は薬物:プロジアムによって人間の感情を抑える。感情を持つ人間を取り締まるため、クラリックと呼ばれる捜査官を編成。感情を呼び覚ます芸術品・動物をも狩って行く。
第一級クラリック:ジョン・プレストン(クリスチャン・ベール)は、相手の感情を察知できる能力を持ち、郊外のネーダーで違反者・反乱者を容赦無く狩る。妻:イリアナは数年前、感情規制違反で処刑されている。相棒のエロール・パートリッジ(ショーン・ビーン)が違反者だと気付き、彼も射殺する。
ある日プレストンはプロジアムの小瓶を落とし、投与せずにそのまま新しい相棒:ブラント(テイ・ディグス)とネーダーに向かう。捜査したメアリー・オブライエン(エミリー・ワトソン)を殺さず逮捕。尋問で「感じるため生きている」と言われる。
プレストンの体内から薬が切れ、雨の風景に心を動かされる。デスクの配置変え、芸術品の手触り、ベートーベンの音楽、犬、メアリーの香水の匂いのする赤いリボンなどで次々と感情を呼び覚まされるプレストン。
副総裁:デュポン(アンガス・マクファーデン)の許可を得てネーダーへの潜入捜査を始めたプレストンは、地下社会を指導するユルゲン(ウィリアム・ファクトナー)と出会う。元相棒パートリッジとメアリーが恋人だったと知り、彼女を助けようとするも処刑されてしまう。ユルゲンに手を貸す事にしたプレストンは、ユルゲンらを逮捕させ、その功労でファーザーと面会し暗殺しようと計画。
だがファーザーは既にこの世になく、デュポンが映像を操っていた。プレストンは最強の武銃術:ガン=カタを駆使し護衛とブラントを倒し、感情のあるデュポンも射殺。リブリアでは違反者らが一斉蜂起し街は炎に包まれる。
【感想】◎
炸裂するガン=カタ[銃+型]
クリスチャン・ベール(主演)
見よ!≪チャンベール≫バトル!
マトリックスの後にマトリックスを超えたのがリベリオン。マトリックスの前にマトリックスを超えていたのがダークシティ。
究極の管理社会で、第一線で活動していた最強の捜査官が、その体制に疑問を持ち始め、反逆者:リベリオンとなって体制を倒す。一言で起承転結を表わすとこれだけの映画で、ガン=カタのアクションシーンの格好良さによって、マトリックスを見た時の爽快感と同じ感情を呼び起こすためか、マトリックスの二番煎じとも言われている映画。
しかし映画の中心は、感情を取り戻して行くプレストンの過程に大きく時間が当てられる(起承転結の承と転が長い)。感情とは何か?それがなければ人間は生きている意味がないのでは?とのテーマが強く訴え掛けられている。非常に丁寧にプレストンの変化を追っているため、間延びしそうになる所をガン=カタによって引き締めている感じ。
ナチスドイツを思わせるリブリアの管理社会。プロパガンダと薬物、そして監視体制に統率された人々。争いを起こさぬため嫉妬・怒り・悲しみ・憎悪を消し、喜び・愛情・高揚感をも無くしてしまった。独裁国家の極致はこういったものなのだろうか。
そこで模範となって体制に従うのが主人公プレストン。妻の処刑にも何も感じず、相棒を射殺し、芸術品を焼却し、違反者を取り締まって行く。そんな国家の忠実な下僕が、全く対極にある反逆者となるまでを、様々な要素で描いて行く。
人間の五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)それぞれが呼び覚まされて行く。味覚だけないような気もしたが、プロジアムを絶った事で表わしているのかもしれない。そして犬を助けるため最初の反逆を起こす。国家の犬が犬によって刃向かうという皮肉か?さらにメアリーの存在が決定的。妻:イリアナと重ね合わせになり救おうと走るプレストン。元相棒:パートリッジを殺してしまった贖罪も重なる。
だが結局はメアリーを救えない所が意外でもある。彼女を助けるため戦闘を開始し、そのままボスとの対戦に雪崩れ込むだろうと読んでいた視聴者は、普通のヒーロー・ヒロイン像に囚われている。あくまでもこの映画は、均衡・秩序体制への反逆がメイン。体制の中で努力してもメアリーを救えなかった、だから体制を倒すとの流れなのだ。
その絶望からの強い決意とは裏腹に、ユルゲンからファーザーを倒せるかと聞かれて「分からない」と答えるプレストンが良い。この「分からない」が逆に人間臭さを象徴している。普通「分からない」なんて答えられたら計画の実行は危ぶまれる所だが、分からないけどやる、分からないからやる、との人間らしさがよく出ているセリフだった。これでユルゲンがプレストンに任せたのも理解できる。
心理テストで計測器の針が振り切れるシーンも面白い。感情が強すぎて振り切れたのか、感情を殺し超越した心境になったため針が反応しなくなったのか。どちらの解釈も可能だが、その後のプレストンのガン=カタが、敵の配置と弾道予測で理論的に説明可能だとされる設定から来ている事を考慮すると、ユルゲンも言っていた「感情を殺して戦う」状態になったのでは。
民衆を操るデュポンに感情があったというのも皮肉が利いている。感情を持つ指導者だからこそ感情を持つ違反者を恐れ、クラリックに狩らせていたのだ。また、よく笑うブラントにも感情があったのだろう。彼の場合は感情よりも野心が強かったが。
プロパガンダとプロジアムの供給ストップで民衆のマインドコントロールが解け出す。完璧に思われた管理社会の脆さを露呈している。地下社会の一斉蜂起で最後にプレストンの口元が歪んで終幕。始まったばかりの変革を、笑顔になる前のこの口元で表現している。実は笑顔のプレストンは、犬に上着を掛けるシーンで一回使われており、どうして最後まで取っておかなかったのか少々もったいない気もした。
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