テレビ批評的視聴記 - 2006/06/16

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2006年06月16日(Fri)▲ページの先頭へ
光の大地フィンランド オーロラは時を越えて

【あらすじ】中江有里が白夜とオーロラの光の大地フィンランドを夏と冬に旅する。2004年4月3日札幌テレビ放送、2006年6月10日東京MXテレビ。ソダンキュラにあるオーロラ観測所で仕組みを学ぶ。太陽からの帯電微粒子が北極・南極に集まり、地球の大気と触れると発生。

夏。マリメッコ・マーケット広場、セウラサーリ島の夏至祭、スオメンリンナ島の城塞を見学。日本とフィンランドの友好に尽くしたサボライネン氏はオーロラを「空が燃える」と表現。トゥルクで歴史建造物、ナーンタリのムーミンワールド、そして夜は日が沈まない白夜。

冬。北極圏へオーロラを見に行く。ロヴァニエミのサンタクロース村、サーリセルカを観測ポイントとするも出現せず。先住民族サーミの地ではトナカイのソリで移動。パウリさんはオーロラを「生活の一部」と言う。イナリ湖でオーロラを呼ぶ鈴を貰う。そのライチさんは「オーロラをこれで呼んだ」という。イナリ湖にある神の島で願掛け。

四日目、薄いオーロラが出現。急遽撮影を開始するが淡い光はイメージと違う。しかしその後、緑色のはっきりとしたオーロラに変化。様々に形を変えつつ、一晩中その輝きを放つ。

【感想】○
フィンランドといえば森と湖の国で、白夜はノルウェー、オーロラはスウェーデンといった印象があるが(何となく)、フィンランドでオーロラを見る事を旅の最終目的に据えた番組。何週間も出現していないオーロラが冬の四日間の撮影日程で観測できるのかが山場となっていた。

結果的には最後の最後で出現し、番組的に大成功となるわけだが、こういった番組構成に疑問を呈する意見も、80年代にやらせが問題化してから根強く存在するわけで、最近の本では「テレビの嘘を見破る」や「ドキュメンタリーは嘘をつく」が挙げられる。札幌映像プロダクションのこの番組がこの本を意識して作られたわけではない(時期的に)が、これがドキュメントだというメッセージ性はオーロラ出現シーンで強く感じられた。

最初に行った夏はオーロラの話を聞くだけで、むしろフィンランドという国の紹介に力点が置かれている。はしゃがず、落ち着いた雰囲気の中江有里は、ここでは番組の盛り上げを作らない方針に合致している。

そして冬。天候が悪く、オーロラが何週間も出現していないと聞き、不安と焦りが北へ北へと急がせる。北へ向かうと物語は一気に盛り上がって来る。何故か日本人は北へ向かう物語に弱い。不安げな表情では右に出るもの無しの中江有里の良さはここでも発揮される。

ダイヤモンドダストしか見えない最初の観測ポイント。ダイヤモンドダストでもライトの当て方によっては凄く奇麗な映像になるが、オーロラ一本に絞っているためそれは紹介されない。オーロラに賭けているのだ。

そして弱いオーロラが遂に出現。あまりにも淡く、カメラに映るかと心配する中江。しかしいつ消えるかも分からないオーロラを逃すまいと、待機場所からオーロラをバックにした位置に走り、息が上がったままレポート開始。番組では揺れるカメラやカウント段階から放送。焦って明かりを忘れたスタッフの声なども入っている。

その後オーロラは強まり、落ち着いて撮影もでき、動くのはカメラではなくオーロラの光。意外にも動きが速い。「コロナ状」ではなく「幕状」か「炎状」だろうか。緑色で最下部は紫っぽい。極北の大地に流れる中江の冷たい雰囲気のナレーションの声がまたマッチしている。

オーロラが見られるかどうかで惹き付け、山場を作り、普通はカットするシーンも流して現場の空気を伝え、やっと見られた喜びと感動・安堵で幕を閉じる。ここまでしなくてはいけなくなったドキュメンタリー。しかし証明に気を遣いすぎると反って白々しさも出てしまうバランスの難しさ。視聴者の目が肥えくると色々と難しいのね。

ま、執筆者個人としては、自分の納得する仕事だけをするため、個人事務所を設立し活動している中江有里が旅人というだけで信用してしまうが。
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