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【あらすじ】柳生十兵衛(村上弘明)は島原への途上、伊予松山の浪人勢と遭遇。武士の情けで道を通した十兵衛に、手土産といって剣術指南役:小林東十郎(勝野洋)が勝負を挑む。田んぼで泥だらけになりながらの死闘。
島原では幕府軍の指揮を執った板倉が流れ弾で戦死、代わって松平伊豆守信綱(西郷輝彦)が12万5千の総大将に。十兵衛は和議を勧めるが相手にされない。一方、大納言:円条寺業平(杉本哲太)と軍学者:由比富士太郎(後の由比正雪・和泉元彌)も隠密に島原入り。キリシタン・浪人にも用はないと聞いた荒木又右衛門(高島政宏)。
荒木は十兵衛に会い、2月12日計画を明かす。「戦を止めよ」との院宣が下り、一揆勢は兵を引き恭順すると。幕府が鎮められなかった一揆を朝廷が鎮める事で、その失態の責任を柳生但馬守宗矩(夏八木勲)と松平伊豆守信綱に負わせ失脚を謀るものだったのだ。
青山外記(榎木孝明)の姪:いと(三国由奈)が天草四郎(崎木大海)を十兵衛と会わせる。百姓の解放を約束させたが原城から出て行く者はいない。幕府の間者:山田右衛門作(魁三太郎)から計画は幕府も知る所となり、幕府軍は原城へ総攻撃。十兵衛は円条寺から院宣を奪いに乗り込む。
【感想】○
続々と島原に集まる浪人・キリシタン、そして十兵衛と円条寺ら。舞台が整った所で明かされる秘中の策。それを知った十兵衛は民を救うため奔走する。だが原城と幕府軍の決戦は避けられず、朝廷と幕府の権力闘争は多数の民の死という悲劇的な結末を暗示させる。それでも諦めず乗り込む十兵衛。全体の情勢と個々人の思惑が良く描けていた。
各回に必ず真剣勝負を入れる方針のため、冒頭に無理矢理挿入された感もあった小林東十郎との決闘だが、勝野洋の演技力もあってか思いのほか感情移入できた。これは東十郎の戦いの動機である「最後の一花」が#4の山賀治右衛門(竜雷太)と同じであり、武士の情けを迫るのは#5の青山外記(榎木孝明)、浪人になって百姓生活をしていたのは#2の鈴鹿真太郎(山口馬木也)と重なる所がある。つまり東十郎のキャラ設定は、既存のキャラを取り込んだ物であるから、僅かな登場時間でも抵抗なく受け入れられる。これまでの回を上手く使った起用法だと言える。
その殺陣も泥を使った、文字通り泥臭い物だった。追い詰められた東十郎は泥を掛けて間合いを取り、十兵衛は掛けられた泥で手が滑り剣を失う。襲い掛かる東十郎を受け止め短刀で刺して勝った十兵衛。東十郎が百姓の象徴である田んぼ(しかも枯れ果てた田)に仰向けで絶命していくシーンも哀しい。泥だらけになりつつ演技を見せた二人に拍手。
2月12日に院宣が下って一揆は終わり、幕府の権威は失墜し、その責任を取って但馬守が辞任・失脚…というシナリオは、オリジナルとはいえ良く考えられたものだと思う。それを知らずに、不満分子の一掃が出来るとして一揆が大きくなるのを黙認した但馬守には、実際に責任が発生するし(十兵衛が怒っているのもこの点である)、朝廷の戦略勝ちと言える。
これから幕府側が盛り返すにはもはや戦術勝利でしかありえず、総攻撃へと雪崩れ込む展開にも納得がいく。一時は失脚やむなしと考えた十兵衛が思い直したのは、それでは結局は民の犠牲しか生まれないからであり、島原に居る自分に出来る事は何かと考えた末、円条寺から院宣を奪うという極めて局所な対処法だった。
いよいよ最終回、誰との勝負(円条寺?荒木?但馬守?)をどのような流れで持ってくるのか、どういう結末を迎えるのか楽しみになって来た。
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