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【あらすじ】出雲松江ではここ3年の間に堀尾家・京極家が取り潰し・改易となり、2000人の浪人が溢れていた。彼らの拠り所とするのは、戦国の合戦で一番槍にもなった山賀治右衛門(竜雷太)。柳生十兵衛(村上弘明)は山賀の家に一晩泊まることになる。
山賀と妻:とき(藤村志保)は、娘:そで(西原亜希)と孫:清太郎とは別々に暮らしていた。息子:清次郎は横領の咎で切腹。十兵衛がその清次郎に似ているため、十兵衛から父上・母上と呼ばれ喜ぶ。浪人は幕府に弓引く事はない・もしそうでも自分が止めると聞き安心する十兵衛。
荒木又右衛門(高島政宏)は堀尾家・京極家の勘定方:原田丹波(デビット伊東)と接触。横領金が原田の仕業で、それを告発しようとした清次郎が殺されたと知る山賀治右衛門。島原に行く代わりに、原田への仇討ちを荒木と取引した山賀。
そでと和解し、原田への仇討ちを果たした山賀は、仇討ちの検分をしていた十兵衛に勝負を挑む。その頃、妻:ときは自害。十兵衛の剣が山賀の胴を切り裂く。
「十兵衛様、今一度…」
「父上」
【感想】◎
罪を犯すはずのない息子の切腹と主君の取り潰しで浪人となり、畑仕事をしていた山賀治右衛門が、息子を殺した犯人に仇討ちするために飲んだ条件。それは柳生十兵衛を裏切る事だった。
とにかく今回は竜雷太と藤村志保の身のこなしと味のあるセリフ回しの演技力が光る。堅物だが内面は情に厚い山賀治右衛門と、表立っては夫に従いつつも、娘との仲を切らさずにいた妻:とき。表情と仕草でそれが良く表現できていた。
なぜ親子が別々に暮らしているのか、なぜ息子は切腹になったのか…といった推理要素もあり、その不条理さへの怒りを抑えていた山賀も、真実を知ってからは一気に行動を起こす。娘に謝罪する温かさと仇への激情。そして十兵衛に向けられる槍には何の感情があるのか。
「武士として最後の花を咲かせたい」
とは、今も昔も老人がよく使う言葉だが、山賀にとってそれは表向きの理由でしかない。十兵衛をもてなし、息子に似ていると喜び、浪人の不満爆発を止めると約束した山賀。それを裏切ったからには自分は死なねばならない。裏切りという行為と、裏切るために飲んだ息子の敵討ちという条件。
事の善悪では判断できない正しさの優先順位。山賀が解決した不条理と新たに抱え込んだ不条理が、槍をもって十兵衛に突きつけられる。さらにその重みは山賀の甲冑で表現される。実力で遥かに及ばない山賀だが、十兵衛の剣を甲冑で何度も跳ね除ける。切っても切れない山賀は不条理そのもの。遂に山賀を斬り「父上」と呼んだ十兵衛には、本当の父:柳生但馬守宗矩(夏八木勲)がより大きな不条理となって押し寄せるのだった。
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