テレビ批評的視聴記 - 2006/03/10

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2006年03月10日(Fri)▲ページの先頭へ
その時歴史が動いた:廃藩置県

【あらすじ】明治新政府になっても実権は藩にあり、中央集権に対しては島津や毛利ら藩主が反対していた。新政府の木戸孝允、大久保利通は「府藩県三政治」から始め、各藩が支配する土地と人民を朝廷に返上させる「版籍奉還」を行う。領有権が将軍から朝廷に代わるだけと解釈した各藩は進んでこれを受け入れた。

知藩事を藩主にするか政府適任者にするかが次の問題となる。これは世襲でない藩主で妥協するが、これでは租税徴収権・軍事統率権も各藩主に残り、見せかけの改革に過ぎなかった。新政府は「廃藩置県」を漠然と考えるようになる。

そこへ、廃藩の声が藩自身から湧き起こる。財政難の解決は困難を極め、藩政改革は国家による一元化しかないとの論調であった。しかし薩長はこれに強く反発。新政府は身動きが取れなくなる。そこで西郷隆盛を政府に引き入れ、御親兵8000人を創設した西郷は内乱への備えを固める。

木戸孝允、井上馨、山県有朋、西郷隆盛、大久保利通、大山巌、西郷従道の7人が木戸邸で密議の末、知事を招集し、その上京を待たずに廃藩置県を行う事を決定。そして明治4年7月14日、廃藩置県の詔により261の藩は消滅し、3府72県となる。暴動は起きず中央集権による全国統一の改革(地租改正・徴兵・学校制度改革)が可能になった。

【感想】◇
江戸幕府を倒した明治新政府であったが、藩の力を削ぎ、中央集権による全国統一によって国力を高め、諸外国と伍していくためには、皮肉にも討幕に貢献した藩の藩主が一番の障害となっていたという回。

この辺りの事は、その時歴史が動いた:西郷隆盛と徴兵制およびその時歴史が動いた:西南戦争でやったので、今回は重複だらけになるのではと思っていたが、新政府と有力藩主、新政府と諸藩といった切り口で見るとまた違った面があるようで、なかなか興味深いものだった。それだけ明治新政府の基盤作りは、複雑な事情が絡んで困難な道だったという事なのか。

前半などは、ものすごい説明量で頭がパンクしそう。これでもかなり省いたのだろうが、上記の回を観てない人には理解が追い付かなかったのでは。VTRが終わってからの松平アナの要約も力が入っていて、これを台本なしで一気に喋る松平アナの底力が垣間見えた。

解説の時間もギリギリだったが、起こった事実からでは首を傾げるような流れ(版籍奉還の受け入れや、改革の声が挙がっても新政府が動けなかった段階、そして廃藩置県への対応)なども、事実の裏の心理に迫る部分もあり、よく時間内でまとめたなというのが率直な感想。

新政府の方針に反対するのが政府要人のかつての主君であり、それに逆らう事へのためらい。有力藩主は藩主で今までの恩を徒で返される事への怒り。そして無くなる士族の抗議の声を無視できない事情。一方諸藩からは財政難の解決のため、新政府に代わってでも議会開設などを行おうとする動き。

これらの緊張が頂点に達した所で、全てを作り変える「廃藩置県」を電撃的に実施した7人。一種のクーデターはなぜ無血で成功したのか。士族のカリスマ:西郷が「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の立場になったからか、本当は誰もが中央集権が必要だと感じていたからなのか、この時代の機運の解明にはまだまだ余地がありそう。
前回記事

廃藩置県―「明治国家」が生まれた日
廃藩置県―近代統一国家への苦悶
目からウロコの幕末維新―黒船来航から廃藩置県まで
島津久光と明治維新
廃藩置県の研究

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