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【あらすじ】榎本武揚(片岡愛之助)を総裁とする箱館政府の陸軍奉行並:土方歳三(山本耕史)は、新政府軍を奇襲し酒を奪い、新選組隊士にそれを振る舞っていた。一方、五稜郭の榎本と陸軍奉行:大鳥圭介(吹越満)は、降伏の決意を固め別れの杯を交わしていた。
土方は島田魁(照英)や尾関らに箱館山に残って港と街の警備を命じる。まだ若い市村鉄之助(池松壮亮)には自分の写真と思い出の品を託し、故郷の多摩・日野に戦況報告の名目で送り出す。永井尚志(佐藤B作)から降伏の決心を聞いた土方は五稜郭に向かう。
大鳥との押し問答の末、ようやく榎本と面会した土方。降伏の再考を求めるが
「死に場所を求めているだけ」
と言われる。しかし蝦夷地に来た当初の夢を語り合う内、土方は「生きるための戦い」を、榎本は夢である新国家樹立を諦められない自分に気付く。地図を前に軍議を開き起死回生の策を練る土方。大鳥もその作戦に同意。
翌朝、新政府軍の総攻撃が始まる中、密かに間道を通り敵の本陣近くまで進出した土方。だが新政府軍は箱館山から奇襲。箱館の街は占領され新選組は弁天台場に閉じ込められる。急遽引き返した土方は、新選組と箱館の街を救うべく一本木関門から逆襲を試みる。
その時、一発の銃弾が土方の腹部を貫通。仰向けに倒れた土方は近藤勇(香取慎吾)の姿を見ながら絶命する。
【感想】○負けた戦いを負けた側から描き、それでいて暗くならず明日への希望を持たせた印象にするのは容易ではない。脚本:三谷幸喜もそこに一番苦心したのではないだろうか。どう見ても土方の戦いと最期は、榎本の指摘のように「死に場所を求め」ており、一泡吹かせたいという意地の末路というのが一般的な解釈になろう。
それをどうやって「生きるための戦い」に転換し、湿っぽくならない最期にするか?榎本と土方の対話に大きく時間が割き、夢の実現を掲げる事で土方の最期に新解釈を加えた三谷。
この榎本との対話が長かった所が、このドラマの失敗要因でもあった。もっと戦闘シーンを、もっと新選組を、と望んでいた人にとってはもどかしい時間帯だったのではないだろうか。
そして肝心の戦闘場面。じりじりと押される箱館軍から奇想天外な作戦で飛び出した土方。しかし敵本陣に斬り込む事も無く、逆に敵の奇襲で引き返す。いよいよこれから反撃という所での死。唐突であっけない…との印象は否めない。
だが、あっけないと感じた視聴者は、実は三谷マジックにかかっている。「死地を求めた土方」との固定概念が、このドラマによって「生きようとした土方」「勝利を手にしようとした土方」に思考を転換させられているからだ。
あっけないと感じた視聴者はドラマ終了後も、土方の夢の続きに勝手に思いを馳せてしまう。しかもあの長い榎本とのシーンに納得したか否かに関わらずである。それが三谷の狙いであり、その意味で成功したドラマだったのではないだろうか。
その時歴史が動いた:土方歳三(参考記事)
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