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【あらすじ】安子(内山理名)と音羽(余貴美子)は尼寺で暮らしていたが、余命いくばくもない柳沢吉保(北村一輝)から手紙を受け取り、会いに行く。安子を見た吉保は「りく」と口にする。
それは綱吉(谷原章介)がまだ館林藩主だった頃、吉保は保明という名で綱吉とも兄弟のように過ごしていた。保明の婚約相手、それが里久(内山理名:二役)。その母:信乃は病気がちで、父は罪人として処刑されていた。
綱吉は鷹司家から信子(藤原紀香)を正室として貰い受け、信子は桂昌院(江波杏子)と仲良くなろうと京の話をするが、遊郭育ちの桂昌院は京の話も京から来た信子も快く思わなかった。結局、綱吉と信子の間には子が出来ず。
黒鍬者の娘:お伝(小池栄子)は年に一度、綱吉と接点を持てる唯一の機会であった「菊花の宴」で扇を奪取し桂昌院の目に留まる。お伝を信子に悟られぬようお手付きにするため、柳沢保明は里久を綱吉の宿直役にする。
だが綱吉はその里久に心惹かれてしまう。お伝は側室となり鶴姫を生んだが、綱吉は保明に里久を所望する。里久を諦めきれない保明だったが、桂昌院も保明に別の縁談を持ち掛け、里久と保明は別れる。そして里久は蜂須賀家の養女となり、病死した信乃とも会えず。
突如、綱吉が将軍候補に挙がり桂昌院は二つの準備に追われる。なかなか将軍の知らせが来ない事に業を煮やした桂昌院は、祈祷僧:隆光(火野正平)から告げられた「西より災い」の言葉を気にする。西に居住する里久を滝川に命じて殺す桂昌院。綱吉は五代将軍を拝命。
保明の大いなる恨みは桂昌院を飛び越え綱吉に向かう。保明を気遣って里久の名を口にしない綱吉だったが、保明にはそれが里久を忘れたのだと思われ、その後の大奥華の乱に繋がる。
【感想】◇
華の乱として繰り広げられた女達の対立、そしてそれを利用した柳沢吉保の陰謀、その全ての始まりは安子が大奥入りする遥か前、綱吉が館林藩主だった頃に由来したのだ…という種明し的なエピローグのスペシャル版。
これを本シリーズの後ではなく前に放送していれば、対立のための対立のようにも思えた華の乱の、うんざりした評価もいくらかは上向いたかもしれない。戦う理由が最後に明かされるか最初に明かされるかで、感情移入や重ね合わせの度合いも少しは違うから。
正室:信子は少しでも溶け込もうと京の話題を持ち出す善意があった。だが京の話は桂昌院にとってタブーで、嫌われる存在に。お伝は身分の低さを見返すために一発逆転の側室になろうとする。運にも子宝にも恵まれ、信子を凌ぐ存在になったが、その出身のコンプレックスが安子への過剰反応となって身を滅ぼす。
今回の中心的な話となったのは、柳沢保明(後の吉保)と里久のエピソード。#9で「かつて好きになった女を綱吉に寝取られた」から復讐を決意したと語ったが、その女が里久だったというわけ。今度は#3で吉保の妻:染子を自分から綱吉に差し出したのは、ある種の当てつけだったともいえる。
山場となった綱吉の将軍拝命の行方と里久の輿入れだったが、描き方が非常に不自然で必然性に欠け、かなり無理がある展開だったのが大減点ポイント。
綱吉に知らせがなかなか来ないから祈祷僧:隆光にすがる桂昌院。突如、江戸城に呼び出される綱吉。反対派の罠ではと勘ぐる牧野直貞(平泉成)。隆光の予言を勝手に解釈し里久を殺す桂昌院。結局、反対派など出てこず時間稼ぎとしか思えなかった将軍拝命の経緯と、インチキ易者によって抹殺された里久という組み合わせでは、喜劇としか言いようが無い。
最後に安子が
「みな心に傷を抱えていた。もっと早く分かり合えたら」
などと言っていたが、安子の敵討ちの感情から憎悪の対立、そして和解と悟りという一連の心の動きをシリーズを通じて描きたかった意図は理解できるとしても、視聴者としては不毛な対立ばかりが目に付き、安子にも他の人物にも感情移入できないシリーズであった。
特に大奥〜第一章を観た人達にとっては、徳川の世を守る大義名分に駆られた春日局と、尼寺から大奥入りし、悟りを持ち哀れみの心で対峙するお万の攻防の方がよっぽどドキドキしたのでは。最後に尼寺に入って悟りを得た安子にレベルを落として入れ込むほど視聴者は甘くはない。
そんなわけでこの華の乱は、番組宣伝で「シリーズ最高傑作」と謳われ、最高の予算で前評判も上々のなか始まったが、フタを開ければ女優陣は総コケ、視聴率も振るわずに終わった。この失敗で大奥シリーズがこれで終わる可能性もある。まだ7代〜8代将軍の頃の大奥の壮絶バトルもある事を思えばもったいない。関連商品の売れ行き次第の要素も残ってはいるが。
最終回記事
大奥〜第一章のレビュー
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