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【あらすじ】昭和40年代、TVに押された宝塚歌劇団は閑古鳥。お嬢様芸と酷評されていた。演出の植田神爾は、一ファンである鈴木田鶴子から雑誌:マーガレットを渡される。そこで池田理代子が連載していた『ベルサイユのばら』を舞台でやって欲しいというのだ。
劇団てこ入れで招いた長谷川一夫を口説き落とし、総合演出:植田、演出:長谷川、マリーアントワネット:初風諄、オスカル:榛名由梨で上演決定。しかし原作ファンからイメージを壊すとして脅迫状が送り付けられる。
歌舞伎の女形出身の長谷川一夫はその技を持ち込み、衣装:小西松茂がデザイン画を描き八頭身に見える衣装を製作。舞台装置:渡辺正男はベルサイユ宮殿の再現に凝る。戦闘シーンでは観客を敵に見立てて役者を正面を向かせて踊り、断頭台シーンでは歌舞伎の型を導入。そして長谷川は榛名に
「瞳の星を舞台の上で飛ばしなさい」
と目線を二階から一階の「い-26」席へと落とさせた。
昭和49年の初演は15万人を動員する大成功。脅迫も止む。オスカル:安奈淳とアンドレ:榛名由梨のラブシーンを山場とした再演では、究極の愛を表現し45万人を記録。宝塚には受験者も殺到した。
【感想】◇
赤字続きで時代遅れになった歌劇を、斬新な演出と漫画原作の上演で復活させた宝塚歌劇団の回。TVという新しいメディアに対抗するため、歌舞伎という伝統芸と漫画という新分野のミックスで立ち向かった所が醍醐味か。
もともと役者は相当な練習をする宝塚では、その練習の様子をネタにはできないためか、とにかく演出方法がクローズアップされていた。長谷川一夫は、観客からの目線を意識した演出を導入していった。オスカルの立ち位置を全員から良く見える位置で登場させる。正面を向いての戦闘シーンとラブシーン。照明の当たり具合までをも研究し、目に映るライトの星を生み出す。
原作ファンからの苦情というのは、歌劇に限らずドラマやアニメなどでも良くある事ではある。原作を絶対と考える人々にとっては、原作を寸分違わず忠実に再現しないと憤慨する。もともと違うメディアなのだから同一など不可能であるはずなのに。また、同一のものを望む声が、多種類のメディア特性を殺す事に繋がる事も理解しようとしない。
よくドラマやアニメの感想で、原作と違うとか、原作ではこうだったなどという文を目にするが、残念ながらその感想では何の意味もなさない。そのようなものを目にするたび筆者は、「だから何?」と思ってしまうのだが…。
前回記事
夢を描いて華やかに―宝塚歌劇80年史
愛の喜び、愛の悲しみを謳い上げる宝塚ものがたり―トップスターと名作で観る宝塚の魅力
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