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【あらすじ】昭和50年代、国鉄技術研究所の三木彬生はICに着目し、バッテリー薄型化と読み取り機の開発を始める。しかし昭和62年に国鉄は解体。3万9千人の退職者や配置転換させられる職員。車両整備の椎橋章夫もエアコン整備となった。
鉄道総合研究所で開発を続ける三木にソニーの日可部進が協力。実用実験までこぎつけたが、磁気式自動改札の導入を本社が決め、ICの入り込む余地はなくなる。不況でソニーも撤退。
香港でのICカード導入にソニーも入札するよう持ち掛けた三木。これによりソニーとの開発は再開された。椎橋は駅サービス改革を進め、1700駅を束ねる旅客設備課長になっていた。サービス向上にICカードが不可欠と思った椎橋は、導入を指揮する。
社員700人にICカードを持たせ試験運用。かざし方をタッチ・アンド・ゴーにし、液漏れはソニーの新技術:コイルでバッテリー不用にした。片方聡は、自動改札とのメンテナンスコストを比較計算。常務会で全会一致でSuica導入を取り付けた椎橋。
開始3日前のプログラムミスの発覚を永瀬秀彦が直す。その甲斐あって導入日はノートラブル。現在、Suicaは電子マネーとしても使われ、3年間で1千万人の利用者を数える。
【感想】○
革命的な新技術の実用化に伴う困難と、自動改札に先を越された中での逆転の秘策を、国鉄解体と配置転換を乗り越えた技術者達の執念と絡めて描いた良作の回。
このスイカがICカードの覇者になるかどうか、エディが出てきた今は予断を許さないが、少なくとも「IC」という言葉を普及させ、劇的な変化をもたらす起爆剤となった事は誰しもが認めるだろう。その開発のドラマを残しておくのは十分に意義がある。
全体的に、お客へのサービス意識がこのプロジェクトを成功させた…との軸がある。研究所で開発に執念を燃やした三木彬生。採算を考えなかった国鉄時代から、ソニーに香港入札を勧めるビジネス意識が分岐点となる。誇りを持って車両整備をしていた椎橋章夫は、エアコン整備に回されても腐らず、トイレ快適化やエスカレーター設置などのサービス改革で、のし上がっていく。
自動改札からの切り替えを説得するため、自動改札の部品消耗・故障修理の人件費を計算させ、ICカードの方が30%もメンテナンスコストが低い事を証明する。さらに電子マネー構想を提示して導入を決めさせた所が山場。静かな山場だが、コスト削減と付加価値の追加という、社内向けとお客向けのどちらにも利点のある事を強調した整備畑の椎橋の成長が良い。
こんな事を書くと、筆者が未だにスイカを信頼していないとバレてしまうが…。最近スイカ専用改札が増えてきて、切符・定期で通る時は非常に迷惑していたのだが、あれはコスト削減に役立っていたのか。また、スイカを使う人が増えたおかげで切符を買いに並ぶ人が減り、実にスムーズに切符が買えるようになったと感じている。
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