テレビ批評的視聴記 - 2005/10/05

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2005年10月05日(Wed)▲ページの先頭へ
攻殻機動隊SAC 2nd GIG(最終回)

【あらすじ】電脳スペースの可処分領域を確保し、難民300万人の意識を転送させよとタチコマに命じる素子。しかしタチコマは命令に逆らい、衛星の落下による核弾頭の撃墜を試みる。タチコマのAIが搭載された衛星が核弾頭に命中。

核攻撃の失敗報告を聞いた合田だが、茅葺総理が中国に助けを求めただろうから心配ないと考える。冷戦構造は完成すると読んだ合田。しかし茅葺は航空自衛軍特殊部隊に連絡を取った。

「一心独立して一国独立」の国際協調路線を選択した茅葺。高倉官房長官の目論みも外れ、クーデター首謀者として連行される。

「奴隷の国が奉仕を怠れば、消費の国が飢えるのは必然。人手不足は奴隷製造業を潤すが、権利を主張しすぎれば資本主義の血脈が硬化する」
CIAに連れられ、米帝への逃亡を図る合田。荒巻・トグサの警告も、自分は自首したから無罪との立場で無視。国家財産の流出阻止の名目で、バトーに救出された素子が合田を射殺。

その頃、CIAの手により、クゼは殺されていた。
「貴国にはコントロールできないカリスマ指導者はいらない。従順な消費者がいればそれでいい」CIA。
「先に…行くぞ…」クゼ。

【感想】◇
何だかアレヨあれよという間に事が上手く運び、合田も高倉も悲惨な末路を辿って事件は解決。これを、見事に完結させたと見るか、釈然としないと見るかで評価も大きく異なるだろう。結局は、九課でもなく合田でもなく、茅葺の決断に運命が委ねられた展開には、少々ご都合主義ではないかと言われても仕方ない気もする。

だがしかし、指導者の対比というキーワードで考えると、この最終回も結構評価できる。カリスマ指導者のクゼ、イバラの道を選択した茅葺、米帝を指導者とする道を採ろうとしていた高倉とゴーダ。いったい日本にとって必要な指導者はどのタイプなのか。それはこの結末から茅葺なんだ…との製作者の強いメッセージは十分に伝わってきた。

製作時期がテレビ版の放映より少し前だったとはいえ、2005年後半の日本にピッタリ当てはまる事に、筆者は強い驚きを覚えた。それが何を意味しているのかは、聡明な当ブログの読者なら分かっていると思うので、これ以上の記述は控える。

前回、革命の定義がおかしい…といったような事を書いたが、クゼは状況に応じて定義を修正していたのだろう。難民を「救う」事が目的で、その手段は変わりうるのだろう。これも御都合主義と言えなくもないが、好意的に解釈する。

バトーが救出に使った鉄骨が十字架の形だったり、クゼと素子がアダムとイブのようにリンゴを手にしたシーンは鼻に付いた。「無知な視聴者に、キリスト教を意味しているのだよと我々が教えてやろう。何だか壮大な物語のような気がするだろ…」というような製作側の思い上りや、視聴者を馬鹿にしているかのようなシーンだった。別に筆者がキリスト教を嫌がっているのではなく、そのようなあからさまな演出をする製作者の姿勢に疑問を持ったという事なので悪しからず。

【総評】○
まず攻殻機動隊の良さは作画レベルの高さ。荒い回もあったが、#10の本物感は驚異的なレベルだった。

そして2030年代を舞台としながらも、現代世界の事象を巧みに取り入れ、その是非は別として、現代へのメッセージをきちんと伝えていた点は絶賛されてもいいだろう。これからの日本に起こりうる移民問題、アジア諸国との関係、米国とのパワーバランス。大衆を操ろうとする扇動者と強力な指導者との違い、人と機械との関係を「電脳」をモチーフに描く攻殻機動隊。独自の世界観ながら、世間に関心のある人なら誰もが理解でき、感情移入しうる広い間口を持っている。

ただ残念なのは、攻殻機動隊は一般に認知されているとは到底言い難い点だ。一般の日本人に「アニメは観ない」意識が強いから。こう書くとすぐにアニメ信者のように扱われるのも筆者は納得が行かない。当ブログはアニメと実写に隔たりを置いていない。普通に視聴者として良い番組を観たいと思っている限り、アニメだろうが実写だろうが差を付けようなどという意識は無くなる。(これがアニメ感想系を期待して来場した読者を落胆させ、当ブログがアニメFANサイトからスルーされている原因でもあるのだがw)

一般的な認知で言えば、製作側にも責任があるのではないか。2nd最終回でもCIAの動きが全く理解できなかったが、よく調べると1stの10話で出てきたワタナベ・タナカなのだという。しかもこの1stの10話はテレビ放映されていない回だったのだ。商品を買うほどのファンでない限り分からない展開を最終回に持ってくるなんて、内向きだなぁと思ってしまう。
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